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日記や何かを作るもの。
時々更新。

お久しぶりです。

何故かPCで記事が挙げられなくて困惑していた奴です。


今回は、小説を投稿サイト「小説家になろう」にて俺が投稿させて頂いている小説の

第一話です。そしてこれは完成の見込みが低すぎて打ち切ったものでもあります・・・orz


是非(?)見てください。


Crimson-Reason (新しいウィンドウで開きます。)





第一話は下からです。










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第一話 「葬式」




 残冬。まだ、桜や梅が、その花の蕾を枝に付ける前の、木に空から降り積もった雪が溶けきらない頃、一人の少女が、暗い箱の中で深い眠りについた。

 彼女の周りには、一人一本ずつの白い花を添え、彼女を美しく飾り、彼女に祈りを捧げて、その場から去っていく。まるで、全て白い花のみで造られた花畑から、白を強調させる為に間引かれる黒い花の様だ。そしてやがて、黒い花は、二輪ふたりの若い()だけになった。

 二人は、彼女を囲むように立つと、それぞれ渡された白い花を、彼女の周りに添えていく。茶髪に近い黒髪の少年は、彼女の左手の近くに、銀髪の少年は、右手の近くに花を添える。

二人は添えた花から手を離すと、静かに祈りをささげ、その場から去っていった。

 扉が、どこか古めかしい音を響かせながら時が止まった様に、しかし、確実に閉じていく。

扉が完全に閉まった、その数十秒後、部屋から、小さく燃えさかる音が聞こえた。
 その音を、少し離れた所で聞いていた二人は、焚火の音とも、ガスコンロとも、花火とも違う、飛行機に乗った時に聞こえる耳鳴りのような音を、身をすくめながら聞いていた。

ふと、銀髪の少年が顔を上げると、少し震えた声で言った。
 「なぁ、瑞樹。浅村 瑞樹(あさむらみずき)。何で……アイツは燃やされる?」
浅村瑞樹と呼ばれた茶髪に近い黒髪の少年は、両目を閉じて、答えを述べる。
 「……何度、言わせるんだよ、レナード。レナード・アウリオン。彼女は……高宮 唯(たかみやゆい)は死んだんだ。

体を数ヶ所、刃物で刺されて。お前の故郷じゃ、土葬がセオリーなんだろうけど、この国じゃ、火葬がセオリーなんだ。燃やされるのは……仕方ないよ」
 「違う!」

 瑞樹の答えに、レナード・アウリオンと呼ばれた銀髪の少年は、その答えを、力任せな声で否定した。
彼は、ぶら下がったままの右手を、瞳を覆い隠す様に顔に置く。

 「俺が聞いているのは、何で、唯が殺されなきゃ……死ななきゃならなかったか。だ!くだらない後日談なんか、ハナから考えてないからな…!」

 そう言い放って彼は顔を潰す勢いで右手を強くしめる。
 瑞樹の位置からでは、彼の表情はよく見えない。
だが、手の平からあぶれた、口の端と、指の隙間から見えるわずかな目の端しか見えないが、それだけでも、よく判る。

 彼女を殺した犯人への怒りや憎しみ。そして、高宮唯という、大切な人を失った、悲しみと絶望。

それら「負」の感情が、彼の中で渦巻いているのが、表情からも、彼の周りに張られた空気からも、それが痛いほどに伝わってくるのが分かった。

しかし、だからといって、彼の問いに正確に答えてくれる人間など、この式場には居ない。

いや、日本中、世界中を探しても、彼女を殺した張本人以外は、誰も答えられないのだ。

人は仮説や予想を立てる事はできても、それを立証できる人は、僅かしか居ないのだから。

彼は、それが理解できているからこそ、こんな複雑な感情が滲み出ているのだ。

 ふと、彼は右手を顔から離すと、

 「なぁ、瑞樹。俺達の世界は、変わるんだろうか」

と、言った。瑞樹は一瞬、目を見開くと、落ち着かせるように言った。

 「そりゃ、少なからずは、変わるだろう。だけど、時間が経てば、いずれ忘れて、日常に変わるんだ。違うか?」

 その言葉はまるで、自分自身を慰め、落ち着かせる言葉にも聞こえるが、実際、そうなのだろう。
彼もまた、大切な人を失った悲しみに、苛まれているのだ。そんな彼の答えにレナードは、

 「……そうだな」

ただ短く、まるで自分自身を納得させるかのように、静かにそう答えた。

 その、翌日のことである。
銀髪の少年、レナード・アウリオンが、行方不明となったのは