土曜日の夜、実家の両親から連絡があった。

「猫、死んじゃったよ」

水を飲みたそうだったので風呂場に連れていったら、その場で痙攣を起こし、そのまま息を引き取ったそうな。

昼間に会いに行く予定だったのだが、俺が熱を出して寝込んでしまい断念したが、無理して行くべきだったのかもしれん。




ウチの子は雑種の三毛。
思えば、ペットショップでケージに押し込められ、一歳越えてたので貰い手もなく、店主も扱いに困っていた子だった。

あぁ、ここで見捨てたらこの子は一生この中か、と思ったらいつの間にか引き取っていた。

ずっと閉じ込められていたから、鳴く事も知らず、人に対して警戒心も強く、とんでもなく扱いにくい子だったけど、臆病なくせに人一倍好奇心が強く、ちょいちょい脱走もしてたな。

そんな女王様も、いつの間にか両親との三人家族で生活するようになって餌をねだる事も覚え、甘えかたも覚え、いつの間にか鳴くようにもなり、生活に溶け込んで行った時は嬉しかったもんだ。

でも、俺には決してタダでは体を触らせなかった。昨日遺体に会ってきたが、ようやく思う存分体を撫でる事が出来た。

17年も側にいたのに、ようやくな。

最後は病気で命を落としたが、こいつはウチに来て幸せだったと信じたい。