2024年3月10日(日)昼の部、17日(日)夜の部
昼の部は、やはり御浜御殿の仁左衛門が圧倒的。現役では仁左衛門と梅玉が得意としてる役ですが、今回の松嶋屋の完成度は驚異的。80歳にして声も良く通るし、説得力が並大抵ではない。細かい所作まで考え抜かれた演技。富森助右ヱ門は幸四郎、一寸多弁すぎるところが少し鼻につくところはあるものの、後半の真実味はなかなかのものでした。
寺子屋は菊之助が松王丸の挑戦でしたが、この役の大きさはまだまだ、白鷗、吉右衛門クラスへの道はこれから。愛之助の源蔵も少しバタバタし過ぎ、仁左衛門の源蔵を目指してこれからも精進して貰いたいものです。傾城道成寺は先代雀右衛門の追善興行、当代雀右衛門の所作はしっかり、それにしてもお父さんに似てきましたね。松緑はこの手の役は一寸・・・、最後の菊五郎、もう歩けないようで痛々しい、もう動く演技は厳しいようで寂しいですね。
夜は伊勢音頭、通しで観るのは初めてです。やはり投資で観るといきさつが明確になり、有名な油屋以降の場面の伏線が良く理解できました。今田万次郎の菊之助、この手のつっころばし的な役処も上手いですね。福岡貢、今後は隼人なども挑戦する役だと思いますが、当面は幸四郎、勘九郎が演じることになるでしょうね。最後に梅玉の貢も観てみたいですが、幸四郎は無難な印象でした。お紺の雀右衛門は流石、愛之助の喜助も様になっています。万野の魁春はもう厳しい、彌十郎のお鹿、田之助や左團次のお鹿の印象が強いですが、人柄の良さも出ていました。時間の都合で喜撰は観ることができず歌舞伎座を後にしました、では。