NBS旬の名歌手シリーズ2024-II
フアン・ディエゴ・フローレス&プリティ・イェンデ オペラ・デュオ・コンサート
 2024年2月4日(日) 15:00
 会場:東京文化会館
指揮:ミケーレ・スポッティ
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

 

【第一部】
ジョアキーノ・ロッシーニ作曲
―歌劇「ラ・チェネレントラ」
序曲 
“そう、誓って彼女を見つけ出す” フローレス
―歌劇「セビリアの理髪師」
“今の歌声は” イェンデ
―歌劇「オリー伯爵」
オリー伯爵とアデル伯爵夫人の二重唱 “ああ!なんと言うあなた様の高徳への” 

フローレス&イェンデ

ガエターノ・ドニゼッティ作曲
―歌劇「ロベルト・デヴェリュー」
序曲 
―歌劇「ランメルモールのルチア」
エドガルドとルチアの二重唱 “裏切られた父が眠る墓で~そよ風にのって” 

フローレス&イェンデ

【第二部】
シャルル・グノー作曲
―歌劇「ロメオとジュリエット」
第二幕 ジュリエットの家の庭園 間奏曲 
“恋よ、恋よ!ああ、太陽よ昇れ” フローレス
“私は夢に生きたい” イェンデ
ジュリエットとロメオの二重唱 “わたしは、貴方をお許しいたしました~ああ、

結婚の夜” フローレス&イェンデ

ガエターノ・ドニゼッティ作曲
―歌劇「連隊の娘」
序曲 
“富も栄華の家柄も~フランス万歳!” イェンデ
マリーとトニオの二重唱 “何ですって?あなたが私を愛している?” 

フローレス&イェンデ
 

“ああ!友よ!、なんと楽しい日!~僕にとっては何という幸運” 

(変更)→ 愛の妙薬より 人知れぬ涙

フローレス

 

アンコール

ヴィクター・ハーバード作曲
プリマドンナ・ソング『女魔法使い』"芸術が私を呼んでいる"イェンデ
 

"AULD LANG SYNE"... ~ "CIELITO LINDO"フローレス
"CORE N'GRATO" (AUTHOR: SALVATORE CARDILLO)フローレス
"BESAME MUCHO" (AUTHOR: CONSUELO VELAZQUEZ)フローレス
ジャコモ・プッチーニ作曲
歌劇『ラ・ボエーム』"愛らしい乙女よ"フローレス&イェンデ

 

NBSは2023年秋のローマ歌劇場はスケジュールの関係、2024年初夏のコヴェントガーデンは曲目と値段で見送りしますが、旬の名歌手シリーズは、フローレスとイェンデ、グレゴリアン2夜、ネイディーン・シエラのコンサートのチケットを入手済です。フローレスはビックネームですが、イェンデ、グレゴリアン、シエラの女声3人は正に大華が咲き声としては最盛期を迎えようとしている文字通り旬の歌手で楽しみです。

 

昔は倒産した東京プロムジカや武蔵野文化事業団が売れる直前の有望な歌手を招聘してくれていましたが(しかも安価!)、近年は集客やコストもかかるのでしょう、このようなレベルの招聘はNBSに頼るしかないようです。

 

さてこの日はフローレスとイェンデのデュオコンサート。特にオリー伯爵とロメオとジュリエット、連隊の娘を楽しみにしていました。先ずはイェンデ、流石のライジングスター、艶のある声で、しかも高音だけでなく中音が響くのが素晴らしい。テクニックも文句なしで、ソロでは特に連隊の娘のマリーのアリアはキュートで聴き手を幸せにしてくれた歌唱でした。冒頭の今の歌声については、ソプラノ用に自由なアジリタでそうかソプラノはこういうやり方があるのだなと感心しました。

 

フローレスは風邪らしく終始ゴホゴホ、最後の十八番の連隊の娘のなんと楽しい日は、人知れぬ涙に変更(こちらが泪)。しかし体調悪いながらも、舞台での観客への表情やここぞというところの高音は確りと聞かせてくれました。しかし、フレーズが長いのは堪えられないようで、そこは仕方ないか・・・。フローレスは20年ほどまでに連隊の娘の全曲上演を聴いたのが最初ですが、あの時は全身からオーラが弾けていて、声の艶と言ったら誰の追随も許さないものでした。あの時の艶は流石に求められませんが、前々回の来日でのコンサートでは健在ぶりが確認できましたが、(極めて高水準ながら)最盛期は当然に過ぎていて、今回は苦しそうなところも散見されました。しかし、イェンデとのロメオとジュリエットのデュオは文句なしに美しかったし、世界ナンバーワンのオリー伯爵でのおどけた姿は正に十八番。恒例のギターのアンコールは楽しく、そしてちょっと苦しそうだったけれど、アンコール最後のラ・ボエーム第1幕の幕切れの愛おしさは何だかほろっとしました(笑)。まだいけるはず、次回の来日では万全の体調で聴きたいものです、では。