2023年10月26日(木)12時開演 国立劇場

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト
初代国立劇場さよなら特別公演
令和5年度(第78回)文化庁芸術祭主催公演

近松半二=作
通し狂言 妹背山婦女庭訓  三幕四場
      (いもせやまおんなていきん)
                  <第二部>
            戸部銀作=脚本
            高根宏浩=美術

序 幕  布留の社頭の場
          「道行恋苧環」竹本連中
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同 入鹿誅伐の場


蘇我入鹿
 中 村 歌 六
漁師鱶七 実ハ金輪五郎今国
 中 村 芝 翫
宮越玄蕃
 坂 東 彦三郎
烏帽子折求女 実ハ藤原淡海
 中 村 梅 枝
荒巻弥藤次
 中 村 萬太郎
入鹿妹橘姫
 中 村 米 吉
大判事清澄
 河原崎 権十郎
杉酒屋娘お三輪/采女の局
 尾 上 菊之助
豆腐買おむら/藤原鎌足
 中 村 時 蔵

 

初代国立劇場の最後の公演、千秋楽です。9月から2か月を使っての妹背山の通し上演、客入りは必ずしも好調ではなかったようですが、国立劇場らしい演目選択で今月も見応えがありました。

 

お三輪の菊之助と橘姫の米吉の活躍が光る舞台で、特に米吉はまだまだ成長余地はあるものの、魅せるという意味では会場の視線を一身に集めていました。口跡も明瞭で見て聴いて気持ちが良い。一方、菊之助は上の世代が段々と薄くなっていく中で存在感が高まったきています。今月は少しの出番しかない鎌足役の菊五郎が休演(代演は時蔵)、かなり心配な状態ですが、團十郎襲名興行が終われば、次は菊之助の菊五郎襲名ということでしょうか、そう考える位に貫禄でも出てきました。しかし音羽屋の世話物の立役よりも、女形の方がどうもしっくりしますね。

 

この日は本当にこの劇場での最後の主催公演ということで、満員の客入りで、会場も熱気に包まれており、最後は歌六の音頭で一本〆で大団円となりました。新春公演は初台の新国中劇場とのことですが、難航している立替工事対応の話が少しでも前に進んで欲しいですね。歌舞伎を見始めた頃にお世話になった国立劇場、通し上演で歌舞伎座とは違う面白さを教えてくれた国立劇場、諸評色々ありますが、感謝の気持ちで後にしました、では。