2023年5月14日(日)14時開演 サントリーホール

【完売御礼】 東京交響楽団特別演奏会 

R.シュトラウス:歌劇「エレクトラ」(演奏会形式)

 

 

強烈、昨年のグレゴリアンのサロメも超名演でしたが、今年のエレクトラも期待を何重にも上回る超名演となりました。間違いなくガーキーのエレクトラが飛び抜けて素晴らしい。上演の100分間、殆ど出ずっぱりで、体力・精神力と強靭な声が必要となるこのオペラのタイトルロールはいつも極めて少数の歌手しか歌うことができません。3月メトのローエングリンもオルトルートも演技も声も強烈でしたが、生で聴くガーキーの声は圧倒的、しかも低音から高音までむらなく全てが響くのがスゴイ。発売日に購入した1階正面席だったので、喉の奥まで開いて歌っているのがジンジン伝わってきました。小澤指揮の東京オペラの森で10数年前に観た時はポラスキ(バルツァがクリテムネストラ)でポラスキもかつての声を失っていて残念でした。その前、あまり話題になりませんでしたが、新国立劇場、たしか2004年だったと記憶していますが、シルマー指揮でのナディーヌ・セクンデ(クリテムネストらはカラン・アームストロング)が素晴らしい歌唱でした。ガーキーは2019年のメトでのブリュンヒルデを演じた時はややふくよか位でしたが、ここ2年ほどでかなり増量した模様(笑)、しかし声はそれで重心が低くなったのか更に強力になっていました。こんなエレクトラ、もう二度と聴けないかも・・・。

 

そしてキャンベル=ウォレスのクリソテミスは芯がしっかりした声で、こちらも会場に響くこと!しかもガーキーとの対比が声質でも明確でしかも演技が上手い、目の演技が素晴らしい。そして79歳の大ベテラン、伝説のメゾ、ハンナ・シュヴァルツ、さすがに声自体はかつての声量はありませんが、79歳としては驚異的な声、そして何よりもその舞台上の存在感。川崎ではさすがに・・という声が多かったようですが、この日の歌唱はその名に恥じないもの。新国でのエルダが今でも忘れられません。

 

ジェームス・アトキンソン、品のあるバリトンでオレストらしい誠実さがあり、エレクトラとの再会の場面での演技も堂にいったもの、出番が少ないエギストはベテラン、ファン・アーケン、もったいない位出番が少ないですが、こちらも演技が素晴らしい。また、侍女と監視の女の日本の女声陣、二期会などでは主役・準主役を張る豪華な布陣、流石の歌唱でした。

 

そしてノット東響、オケの唸りは昨年のサロメに譲るかも思いますが、巧みな音量コントロールとここぞというところでの炸裂は素晴らしいものがありました。いやはや、ノット・東響のシュトラウスシリーズ、2年連続で場外ホームランでした。来年も継続(影のない女を期待!)してくれるのかしらむ、では。

 

ティーレマン、ドレスデンシュターツカペレとの共演(ガーキー)