ワーグナー《ローエングリン》Lohengrin - Wagner

指揮 ヤニック・ネゼ=セガン

メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
演出:フランソワ・ジラール
 

出演:
ピョートル・ベチャワ

タマラ・ウィルソン

クリスティーン・ガーキー

エフゲニー・ニキティン

ギュンター・グロイスベック


上映時間:4時間56分(休憩2回)
MET上演日:2023年3月18日
言語:ドイツ語

 

久方振りにMETのライブビューイングを観に東劇へ。METでのジラールの演出はパルジファルなどがありましたが、ローエングリンは当然につながりがあり、演出でも十分意識されているとのこと(幕間での演出家自身の解説)。まるでガミラス星(世代がばれてしまう笑)のような空間で、映像を使って多様な展開があるのかと思ったのですが、それは期待外れでほぼ空間演出は美しいものの、動きはあまりなくその点は残念でした。

 

それにしてもセガンの指揮が素晴らしい、モーツァルトのオペラはDGへの録音で十分承知していたものの、本格的にMETの演奏で聴くのははじめて。アンサンブルが精密で音楽の活きていること!メリハリも十分で音楽監督として掌握している姿が頼もしい(昨年の来日公演がキャンセルとなったのが残念)。

 

歌手ではガーギーのオルトルートが圧倒的でド迫力。演技もやり過ぎ寸前まで!しかしどんどん大きくなってきてるのかしらむ(笑)。Spotifyでシカゴリリックでのワルキューレのビュリュンヒルデを帰りに聞いたのですが、こちらも素晴らしい。今月のノット・東響とのエレクトラ、これは期待大です。

 

ベチャワも見た目は十分若いものの、すでに還暦近いはず。イタリアやフランス歌劇を中心に活躍してきましたが、近年ではローエングリン中心にワーグナー作品に出演し、ティーレマンとも共演していますが、ドイツ語っぽくはないものの、ベルカントワーグナーとしては十分で声量もありました。今後ジークムントも歌うのかな?タマラ・ウィルソンもエルダも特に後半での感情表現は素晴らしいものがありました。国王のグロイスベックはいつも通り高度に安定した歌唱、ワーグナーものは何を歌わしても貫禄十分、最近ではパーペよりも主要な歌劇場でのワーグナー・バスのロールを

独占している状態ですね。残念だったのがテルラムントのニキーティン、他の出演者に比べ聴き劣りがしたのは否めないところ、この役は難しいですが、もっと漢の悲哀を出さねば・・・・。

 

年一ペースでライブビューイングを観るのも良いのかもしれませんね、では。