2022年12月8日(木)14時開演 新国立劇場小劇場

2022/2023シーズン 【未来につなぐもの】Ⅱ
夜明けの寄り鯨
Beaching at Dawn
新作

 

シンプルな舞台装置ながら、なかなか見応えのある舞台でした。捕鯨の街を舞台にしているので、それ関係の話題というか、やりとりが出てくるのは想像できたものの、何気ない一言から転がるように物語が展開し、人の心の中を炙り出し、あるいは隠し。。。休憩なしの1時間35分、平日昼の小劇場でしたが、8割は入っていたのでは。憑依型女優の小島聖、活き活きとした池岡、飄々としつつ何かしら心に悩みを抱える青年を演じた小久保、その他、民宿の夫婦も含めて、俳優陣の演技の質にばらつきがなく、この種の演劇にありがちな押し付けがましさもなく、良質の舞台であったと思います、では。

 

 

 

Storyものがたり
和歌山県の港町。手書きの地図を持った女性が25年ぶりに訪れる。女性は大学時代、この港町にサークルの合宿でやってきて、たまたま寄り鯨が漂着した現場に居合わせた。まだ命のあった鯨を、誰もどうすることもできなかった。
ここは江戸時代から何度か寄り鯨があって、そのたびに町は賑わったという。漂着した鯨は"寄り神様"といわれ、肉から、内臓、油、髭まで有効に使われたと、地元の年寄りたちから聞いていた。
女性が持っている地図は、大学の同級生がつくった旅のしおりの1ページ。女性はその同級生を探しているという。彼女はかつて、自分が傷つけたかもしれないその同級生の面影を追って、旅に出たのだ。地元のサーファーの青年が、彼女と一緒に探すことを提案する。