シリーズ「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話...の物語」Vol.2
ロビー・ヒーロー Lobby Hero
日本初演

2022年5月1日 午後3時開演

 

久しぶりにストレートプレイを観てきました。ロナーガンのロビー・ヒーローの日本初演。あらすじは下記を参考にして頂けばと思いますが、休憩時間を除いて2時間半の会話劇。舞台は高層マンションの1階ロビーのみ。上手くいかない人生を精一杯に、そして諦念から惰性的にも生きてきた4人、年齢も違う、人種も、バックグランドも。アメリカらしく、饒舌で、むき出しの感情もそのまま伝えるも、それでも最後の本当の自分は、、、。最後の証言の部分からは緊迫感もあり、あっというまの2時間半でした(休憩入れると約3時間、1列目のほぼ真ん中)。

 

プレビュー公演ということで、5月6日からの本番に向けてのもので、手直しが入る可能性ありとのことで、一部台詞が飛んでしまった場面もありました、ほぼゲネプロというような内容でした。軽薄でありながらナイーブな青年を演じた中村蒼、この会話劇でも突出した台詞量でしたが、既に体に落ちている様子。肉体派俳優として有名と聞いていた板橋も腰の据わった台詞と演技、4名共に味があり、熱もあり、キャラクター的にもバランスがとれていました。ストレートプレイもやっぱり良いですね、新国中心に年に何本かはこれからも観て行こうと思います、では。

 

 

マンハッタンにある高層マンションの広いロビー。警備担当のジェフは、人生の目的もなくこの仕事についている。クソ真面目で向上心のある上司ウィリアムは、不良の弟が殺人罪に問われて心配していた。見回りに来た有能な警察官ビルと相棒の新人見習いのドーン、どうも二人はいい仲のようだ。ロビーで待っているドーンに、ビルの訪問先は女性だと口を滑らしてしまうジェフ。動揺したドーンは、勤務時間中の行動を上に報告するとビルに噛みつくが、本採用させないぞと逆に圧をかけられてしまう。翌日。弟のアリバイを偽証したウィリアムに対して、自分が何をすべきか悩むジェフ。ドーンは本当のことを話すのがあなたの責任だと説得するが...。

 

シリーズ「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話...の物語」第二弾『ロビー・ヒーロー』は、2017年アカデミー賞脚本賞受賞で話題となった映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケネス・ロナーガンが執筆しました。 自分のやりたいことを見いだせずロビーの警備員として過ごしている若者が、おもわず口を滑らせてしまったことから起きるトラブルとその顛末を描いています。ジェンダー、上司と部下、人種など、さまざまな格差のレイヤーがある中で、彼なりに考えて起こした行動は、果たして正義なのか、正論とはいったい何なのか...。自己承認欲求がSNSであふれ出す現在、さまざまな角度から考えられ身近に感じる戯曲です。 2001年オフ・ブロードウェイ初演、翌年にはウエストエンドで上演、18年にはブロードウェイでリバイバル上演されました。新国立劇場初登場の桑原裕子を演出に迎え、日本初演でお贈りします。