それでは調整、セットアップを初めていきましょう。

 

 

まず気になったのがネック反り。

 

入手した時点で順反りの状態だったので調整していきます。

 

弦を切りたくない場合、トリガーカポを使うと作業が楽です。

 

弦を緩めた後に1fにカポをかまします。

 

ボディを裏返してネックを取り外します。

 

この時、1ヵ所をほんの少し(時計の針で5分程度)緩めるところからスタートしてください。

 

多分「ミシッ」とか音がすると思いますが、気にせず対抗する位置のネジに移動して同じく少しだけ緩める。

 

それを4か所行ったらもう少し多めに緩め始めて大丈夫です。

 

この時、弦の張力でネックが強く起き上がろうとするのは弦の緩めが足りません。もう少し緩めておきましょう。

 

 

 

ネックを外す際の重要な注意点として、ネックはボディーにスライドさせるような取り外し方は厳禁です。

 

ギターを仰向けに寝かせた状態で、ネックを上向きに引き上げながら外すという事を徹底してください。

 

これはネック取り付け時も同様です。ヘッド側からスライドさせるのではなく、上からはめ込む、というような取り付け方です。

 

これらのルールを守らないと、高確率でボディーの塗膜、下手すれば木地を傷めます。注意しましょう。

 

外れました。

 

因みに先ほどのカポのお陰でペグには弦が巻き付いている状態です。

 

ネックのトラスロッドは六角か十字切のどちらかですが、今回のようなヴィンテージスタイルのモデルは十字切が多いです。

 

使用する工具は様々存在しますが、お勧めはデッカイマイナスドライバー。柄も太く、長さもあるものがお勧めです。

 

遊びも少なくフィットしてくれると、十字切のナットを傷める可能性も下がり、何より力が伝わり易いので作業性が向上します。

 

ついでに言うと、ロッドナットがガチガチに硬くなってしまっているギターもあります。

 

そんな時も、今回私が使用したサイズのドライバーであればいけたりします。

 

 

締め具合はネックの状態、そして楽器の個体差によっても変わりますが、基本的には時計の針で5分程度から初めてみてください。

 

一般的な季節性の反り程度であれば、大体5~10分程度の締めで解決する場合が多いです。

 

ただ先述しました通り楽器には個体差が存在するので、その個体個体に合わせた判断が必要です。

 

 

それと補足ですが、今回のギターではど真っ直ぐは目指していません。

 

これはギターを鳴らした際に、気持ち順反りでのセットアップとし、弦振動をやや豊かに発生させてあげた方が得策であると判断しました。

 

弦のテンション感もキツくし過ぎない方がこの個体は活きるだろうな、という考えも加味しています。

 

 

少なくとも楽器の鳴り感がこなれてくるまでは、僅かな順反りで継続してみるつもりです。

 

 

また別の機会でも詳しくお話しますが、ネックはど真っ直ぐが必ずしも正解ではありません。

 

敢えて僅かな順反りとする事で、鳴りの硬さを軽減したり、テンション感を滑らかなタッチとしたり、ボディを豊かな鳴りとしたりなど、様々な理由で調整を変更します。

 

勿論、ど真っ直ぐの方が好印象である場合もあります。

 

この塩梅は言葉ではなかなかお伝え出来ない、完全に感覚の部分なので、気になる方は私のお客様としてご依頼ください笑

 

さて話を戻してネックをセットしていきます。
 
ネックのネジ留め時は、画像の様に片手でネック、ボディー、ネックセットプレートを固定します。

 

ネジの留め方ですが、一般的には「対角線上に少しずつ」というのが定説だと思います。

 

ただ私のやり方は少し異なります。

 

画像の"強"の方から、つまりブリッジ側の二本からまず締め始めます。

 

少しネックがぶれるな、と思えば"弱"の方も少し締めても構いません。

 

"強"の方を軽めに留めて、その後"弱"を締め始めます。

 

そして読んで字の如く、ブリッジ側の方を僅かに強めに締めます。

 

ただ力をぎゅーと込めた増し締めは厳禁です。ネジが自然に止まったところから、ほんの僅かにクッと締める感覚です。

 

"弱"の方はネジが自然に留まったところで完了です。

 

勿論弱すぎてもダメなのですが、ネックプレート含め、ギターのネジ類は締め過ぎないのが原則と覚えてください。

 

 

因みにこの強さを変える事によって鳴り感が変わります。気になる方は試してみてください。角の取れた柔らかく豊かな鳴り感に少しだけ寄るのを感じる筈です。

 

さてネジを締めた後に表面をチェックします。

 

1弦側指板サイドのラインと1弦、6弦側指板サイドのラインと6弦までの距離をご覧ください。

 

明らかに距離が歪ですね。センターがずれている状態です。

 

ネック、及びボディーの角部分などを持って横方向にネックをマッサージしてあげましょう。

 

「クッ…クッ…」と音を立てながらネックが修正できると思います。

 

画像のような位置に出来たら、念の為ネックセットプレートのネジをチェックします。

(たまにセンターズレの補正時にネジが緩んでしまう時があります。この時も締め過ぎは厳禁!)

 

 

最後はカポを外してチューニングをすれば完了です。

 

 

 

ネックを付け外しする際にジョイント部分のボディー塗装が飛んでしまったり、事故のリスクはありますが、慣れてしまえばなんて事ありません。

 

「ネック調整ぐらいなら自分でやってみたいな」という方は参考としてください。

 

「いや、やっぱり自分では触りたくない」という方は、是非私までご相談ください。

 

 

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