素敵な文章に出会いました。

 

先日、

「効率よく生きたいなら

 生まれてすぐ死ねばいい」

ってショーゲンさんのお話のことを

書いたのですがその関連で

無駄は大事というお話を

シェアさせていただきます。

 

幻冬舎さんの本からですが。

107歳で亡くなられた世界的な美術家

篠田桃紅さんのエッセイ集

「103歳になってわかったこと」から

 

1+1が10になる生き方

 

☆☆

 

(ここから引用↓)

 

人は、用だけを済ませて生きていると、

真実を見落としてしまいます。

 

真実は皮膜の間にある、

という近松門左衛門の言葉のように、

求めているところにはありません。

 

しかし、どこかにあります。

 

雑談や衝動買いなど、

無駄なことを無駄だと

思わないほうがいいと思っています。

 

無駄にこそ、次のなにかが

兆(きざ)しています。

 

用を足しているときは、

目的を遂行することに

気をとらわれていますから、

兆しには気がつかないものです。

 

無駄はとても大事です。

 

無駄が多くならなければ、だめです。

 

お金にしても、

要るものだけを買っているのでは、

お金は生きてきません。

 

安いから買っておこう

というのとも違います。

 

無駄遣いというのは、

値段が高い安いということではなく、

なんとなく買ってしまう行為です。

 

なんでこんなものを

買ってしまったのだろうと、

ふと、あとで思ってしまうことです。

 

しかし、無駄はあとで生きてくることがあります。

 

私は、三万円だと思って

買ったバッグが三十万円だったことがありました。

 

ゼロを一つ見落としていたのです。

 

レジで値段を告げられて驚きましたが、

いい買い物をしたと思っています。

 

何十年来とそのバッグを使っています。

 

そして、買ってしばらくしてから、

そのバッグの会社オーナーが

私の作品を居間に飾っていることを

雑誌で知って、あらお互いさまね、と思いました。

 

時間でもお金でも、

用だけをきっちり済ませる人生は、

1+1=2の人生です。

 

無駄のある人生は、1

+1を10にも20にもすることができます。

 

私の日々も、無駄の中に

うずもれているようなものです。

 

毎日、毎日、紙を無駄にして描いています。

時間も無駄にしています。

しかし、それは

無駄だったのではないかもしれません。

 

最初から完成形の絵なんて

描けませんから、どの時間が無駄で、

どの時間が無駄ではなかったのか、

分けることはできません。

 

なにも意識せず

無為にしていた時間が、

生きているのかもしれません。

 

つまらないものを買ってしまった。

ああ無駄遣いをしてしまった。

そういうときは、私は

後悔しないようにしています。

無駄はよくなる必然だと思っています。

 

☆☆

 

以上、引用させていただきました。

 

にしても、100歳を超えても

現役でご活躍されるなんて

篠田さんってすごい方ですね。