那向醒案如来


YouTubeショートの五輪動画をみました。

太田海也さん、のぶんですね。


 これが失格になるのわかるひと教えてくださいとありましたので、どれどれ〜?とみてみたんですよ。

 3回くらいみまして、3回目は先入観たっぷりになってしまう悪口つきの音声を消してみました。するとわかったことがあります。
 左で2選手が詰まっているなぁ〜というのが見える位置にいながらコーナーのきついRに太田はんが突入する際、ほんの一瞬内側に振れているんですね。ほんとに短い距離ですけど、内側にヨレている。
 これ、おそらくフローリングバンクであること、コーナーのなかでいちばんRがきついところであることが関係しています。このRがきついというのは言いえて妙で。要するに摩擦係数の少ないフローリングにおいてそのコーナーの折り返しってのはほんと、滑りやすいんですね、内側に。バイクコントロールが大変難しい部分です。
 で、そこ、普段の右ギアのバイクならきっと、少しも左にヨレることはなかったと思います。
 そして左の2選手のうち、とくにいちばん内側の1選手はきついRをとらえきれておらず、まぁ…それは右ギアのせいだということもできるんですけど…とにかくとらえきれていないから右の選手に前輪をひっかけるようにして自滅してしまってはいるんです。
 でもほんと、運悪くその自滅より一瞬早く太田選手が左にヨレているんです。
 これ、右ギアと左ギアがいちばん難しい摩擦係数のないようなRでそれぞれのヨレ方をして避けきれなかった接触落車でして、選手はどちらも、前輪をみればわかるんですが、もちろんどちらの選手も接触しようと思って接触しているんじゃないんですよ。どちらも故意ではないのは前輪にかける体重のあり方でみてとれるんです。
 でも、故意ではなくても一瞬早く内側にヨレたこと。そして、左ギアというのは右ギアよりも常時内側に優位にアクセスできることから、内側を締めているニュアンスが、2選手…右ギア2×2枚との対比からすごくみえてしまいかねないですね。

 もし私が審判なら、ネジの向きは気になりますけど左ギアというのはバンクにおける重さの在り方としては右ギアより正しいという認識がありますので、わずかでも太田選手がそこを理解して走っているのであれば内を締め続けているとはとりませんし、その一瞬のヨレの前に力学的にもう、いちばん内側の選手が曲がりきれていないで自滅する勢いと走行ラインだったのは読み取って、失格にはしないと思うんですよ。
 でも、その審判は私では無かった。
 右ギアがふつうなのに、右ギアで勝負していればまだ判断ついたのに、わざわざ判断つきづらい左ギアにしたのは君たちマイノリティーだろ?という感覚を主に持っていたであろう審判が、もしかしてまったく左ギアのリスクを理解せずに勢いのみで走っていた太田選手に失格判定するのは、さすがに、「バカゃろ」と言えるほど愚かしいことでは無いと思うんですね。


 だって、世の中の自転車、ほとーんどが右ギアですからね?電動アシストが流行り始めていますけど、まだまだ右ギアですよ。右ギア挙動しか、基礎的な情報を、人類は頭に入れていないんですよ。


 たとえば左ギアにしたならタイヤに摩擦係数を増すようなものを採用したりとか、すこしわざとフレーム右を重くするとか、なにかしら梯団とのバランスをとるような意識的な努力をしていたとしたら、審判も失格にまではしなかったかもしれません。

 
 …と、いうわけで、知り合いの知り合いが太田選手ですけども、同じ日本人ですけども。もしも私がならば失格にしませんけれども。国際的な感性でいえばこれは失格にされるのは、ちょっとありうるな、というリスクの範囲内であることは解説させていただきました。
 今後も私があまりオススメしていない左ギアを採用するのでしたら、幾つか左ギアならではの不味いことは確実に起きることは預言しておきますよ。

 たとえば自転車って、前輪に関しては限りなく左右対称なのに、後輪、とくにフロントギアからは左右非対称になるでしょう?ということはそこから後ろの挙動というのはなかなか予想しにくいものがあるということなんです。だってひとは後ろに目がついていませんからね。
 色んな走行ラインを想定した、わざと意図して内や外にヨレるような練習を日頃からして何パターンも身体に覚えさせておいたり、コンピューター計算して、どの侵入角度とどの速度、どの位置の競争車のエアロ影響などで、どこのコーナーでは摩擦係数がどのくらいに増減するかなど、そういった座学も積んでおいたりしないと、見えない後ろ側の挙動をコントロールすることは大変に難しい。
 その挙動の差によって、今回みたいな、前輪の意識をみるかぎりは失格になりえないのに、後側の無意識に目をつけられて失格にされるみたいなことは、何パターンも出てきておかしくないと思うんです。



 私も骨格が外国人ぽいものだから、ヨレるということに関しては大変に苦労している最中で、だから河原の土手で特訓なんかもするわけですけど。
 ぜひとも日本人の…なんなら世界のトラック競技者の憧れであるジャパンのナショナルチームには、そこまでも突き詰めた探求をしてほしいものですね。
 左ギアをマイノリティーで良くないと結論づけて排斥してしまうのは、ちまたの自転車の安全を考えるうえでも結構もったいないことですから。







こんばんは🙂


以上です。