こんばんは。


 お絵描きアプリまで駆使して、いったいなぜにここまで解説しているんだろうと、自分でも不思議な rute5です。



 サンを理解した走り、を解説します。

 上図は、足、競技用ペダルシューズなどを横から見た図です。
 ちょっと寸法がヘタッピなのはご愛嬌でよろしくお願いします。要所は間違ってませんので。

 靴底にあるコの字の溝がある部品が サン です。ペダルから出ている金属のでっぱりに引っかかっています。
 靴先の曲線がクリップです。
 クリップの果ては輪っかになっていますが、ここをストラップが通り、ペダルもろとも靴を縛り付けます。

 サンはプラスチック、ペダルは金属で、接触してもツルツルです。ゴム靴とプラスチックペダルのようには摩擦力がないし、横からの図ではわかりにくいですが、ペダルとサンはじつはあまり面で接触していません。
 いちばん接触しているのはサンとペダルからのでっぱりです。そこが要所です。あとは接触していても強くは接触していません。そこしか、大きなチカラの伝達に向く部分がないのです。

 ふつうの靴とプラスチックペダルとの接触関係とは、直角反転している…角度が 90°ズレているのがお解りでしょうか。
 ふつうの自転車のペダルに、ふつうに靴底を押し付けるように、ぺたーんと踏んでも、サンの底にでっぱりの先端が届くか届かないかで、チカラがなかなか伝達できないのです。
 常に、ひっかかったサンの溝をどう使うかを要求されます。

 それで、サンのあたりにクローズアップしまして、このたび、カッターかねりん ver. で身につけましたチカラの使い方が下図です。


赤い矢印が、足を引き上げるか、踏み返すかの違いです。

青い矢印は、足で赤い矢印の向きにチカラを入れたときの、サンとペダルのでっぱりの接触による反力…跳ねっ返りです。壁を押すと、体が押し返されるでしょう?その押し返されるチカラを青い矢印で描いています。

黒い矢印は、自転車が持つ推進慣性と、自転車と身体のどちらにもかかる重力方向です。青い矢印が黒い矢印に、加算されたり減算されたりすると思ったらいいと思います。

 一瞬の出来事を切り取った図ですが、身体が前に進むためのチカラの向きがどちらかがハッキリしています。
 下から上へとチカラを入れないと、身体は前に進んでくれません。
 上から下へとチカラを入れても身体は後方へと跳ね返されるだけなんです。

 つまり、ふつうの自転車のようにペダルが前に来たときに踏んでも、身体は後ろに跳ね返される…つまり後退するような意味合いになってしまいます。
 もちろん、その跳ね返る反力に打ち勝ち、ペダルを押し下げることに成功したならば、ギアが回転し、一応、自転車の機構によって自転車は前に進みます。その進む自転車にしがみついて行けば、前進することは可能です。しかし、いちいち反力と踏む力で力比べをせねばならず、疲れやすくなるでしょう。
 ふんばって壁を押し続けるのと、壁を押して跳ね返されるのをピョンピョン楽しむのとではどちらが疲れるかを思えばわかるかと思います。

 ペダルが前に来たときに、足を引き上げて、身体を前へと跳ねかえらせると、そもそも力を込めなくても少し重心を寄せるだけで、足の自然な重みでペダルは下に下がり、自転車は前に進もうとしますから、どうせなら体を固くしてしがみつくよりは、反力を利用し前へと体を進めたほうがいい。
 そういうチカラの使い方です。

 逆に、ペダルが真下(下死点)を過ぎて、足が前へ行こうとしてしまうとペダルを一回転させられないようなタイミングでは、潔く踏みます。そして逆側の足に重心を移します。

 とある青い矢印が斜め上に向いていますが、そのチカラはストラップで抑え込まれるので、靴や足がペダルから離れることはありません。

 こうして、ふつうの靴とふつうのペダルではできないペダリングが可能になります。
 

 どうしてふつうのペダルで競輪やってはいかんのでしょうか。
 それは固定ギアで高速回転したとき、急には止まってくれないペダルに、足や体をついていかせるのがとても大変だからです。単純に加減速でも大変ですが、コーナリングでも大変です。
 いわゆる遠心力で足はペダルから離れようとしてしまいます。それを防ぐために、ストラップ、そしてサンが開発されたのだと思います…たぶん。

 ストラップだけでは足が後方にスッポ抜ける恐れがありますし、サンだけでは足が上方に跳ね飛ばされる恐れがありますものね。
 サンストラップのような立体接触ではなく、ふつうのペダルの面接触では、フットブレーキの反応が遅れることにもなり、危ないです。じゃあブレーキつけりゃいいって、ブレーキレバーもなかなか尖っていたり、ロックしてタイヤが滑りやすかったりして危ないです。

 けれどもその機構のために、チカラの伝達方法、方向が変わった。
 きっと昔のツール・ド・フランスでは…今でも? 新しい部品が出るたびに、馴染める選手と馴染めない選手と出て、表彰台の顔ぶれが変わったことでしょうねー。

 


 映像ですら観られない?
 過去の競争に思いを馳せるため、だったのでしょうか。私的な備忘録を超えた詳細な解説。

 なにをそこまで。ちょっとそこまで。

 でした。


0:05南無鶴度仏蘭西