嬉しいので、コロナ禍の話題をこの数行で済ませて、すぐ自転車技能の話を始める。わしはイベルメクチン推しです。2つ前の記事から、個人輸入の線をたどれます。
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ローラー台専用タイヤが届いたので、部室で早速使ってみた。
アマチュアの部室には、かなり古くに造られたものだが、まだまだ使える電動ローラーがある。
前輪を万力で挟み込み、サスペンションで弾力を持たせつつもしっかり固定する。
後輪は挟み込まれず、タイヤ10個ぶんくらいの幅の、アルミローラーの上を回転する。
とても頑丈で、きちんとセットすればどれだけモガイて自転車をふるわせたり揺らしたりしたとしても、器械自体は全くうごくことはない。
ピストバイクはペダルと後輪が完全に連動しているので、スイッチョンして電動ローラーが加速回転してくれれば、ペダルも勝手に回りだす。
逆に電動ローラーが意固地に、回らないよう抵抗するようにスイッチョンすれば、ペダルが重くなって鍛錬になる。
ペダリング研究&鍛錬マシンである。
このマシンから、あまり自転車の左右非対称性を気にしない、競技的なペダリングを何度も教わってはきたが、どうにもわしがやると後輪がタイヤ5個分くらい、左右に揺れるのである。
その揺れを治めたくて、まったくぶれない後輪回転を実現するためのペダリング研究を、前々からじっくりやってみたかった。しかし、じつはアルミローラーというのは、ふつうのタイヤの表面を、むしろ路上を走るより削りやすいのである。
さらにそれに、ふつうのよりもかなり高級な、本番用の軽くて薄いタイヤなんかで乗るとすぐに消費しきってしまう。一般人より結構な貯金があるようなプロ選手でも、生活の心配のない金持ちアマチュアでもないのに、そんな浪費は勿体ないを通り越して自滅行為である。
そこでローラー台専用タイヤ。安価。本番用の1/6の値段だ。
ふつうの路上では削れやすいがローラー台では削れにくい組成になっているタイヤをこのたび購入した。
これをもって、約5年間できずにいた、念願の、部室電動ローラーによる執拗なペダリング研究に没頭できた。
単純に考えると、前輪はしっかり固定してあるのだから、ぼんやりペダリングしていても後輪はブレないはずである。しかしブレる。なぜか。他のアマチュアを見る限り、そんなに、わしほどはブレていない。
たぶんわしが寧ろベテランサイクリストで、自転車の左右非対称性にまで神経を張り巡らせた実走行ペダリングができてしまうため、むしろ単純素朴なペダリングができずにブレてしまうのだ、とは理解していた。
それを抑制したつもりにしてもブレる。
できるだけ何も考えないようにしたつもりでもなおブレる。
そこで、'rute5の開門'をつかい、体を五肢と見做し、特に頭や背骨などを積極的に忙しなく動かして、なんとか制御を試みた。少しはブレを治められた。しかし、まだブレる。
いつもならその程度で諦めて終えてしまうところ、削れにくい専用タイヤなので、引き続き追求した。
この状態で後輪がブレるということは、自転車の前輪にのるフォークの付け根、自転車の首とも呼べそうなあたりを中心として、そこより後ろの体(まぁ、首や手首より後ろという、体のほとんどの部分なんだが)が右往左往しているということである。
頭をシェイカーみたいにシャカシャカ振りながら後輪の'余罪'を追求し、追求し、ふと気づいた。
わしは脊柱起立筋という、背骨の上、腰から うなじ までつながる筋を、一帯つまり一本の太い線としてつかうばかりでいたけれど、これを、右と左とで別々につかえないだろうか、と。
こういうことに気づけばあとは容易い。全身を隅々まで観られてしまう舞台役者をやっていた、わしは器用である。
すぐに脊柱起立筋という縦帯の、右端と左端を別々に操り始めた。
すると、体全体が苦い歪みを持ちつつもまとまり、たとえようのない手強さを感じて多少意外性におののく声が漏れつつも、かつてないほど後輪が安定した!!
尾てい骨付近の脊柱起立筋を左右で使い分ける、ツインレール乃至ツインテールである。
認定ピストでない部品では、お尻の動きに合わせて左右独立してしなるツインテールサドルというものや、頂点がふたつある平行線の接触面をもつツインレールタイヤというものがあり、わしは17年前くらいにそれらを愛用していたことがある。
それらを思い出しはしたが、認定ピストのサドルはシングルテールだし、タイヤはシングルレールである。つまり、部品からわずかに、しかし完全に浮いてその動作を骨肉で行わねばそれは実現しないため、苦い歪みにおののく声が漏れてしまったのである。
これぞまさに馬歩の続き。
とうとう求めていた正解のペダリングにたどり着いた!
たとえローラー台上で1インチ幅程度の差であっても、後輪がブレないということは、それだけ実走行では余計な距離を走らずに済むということで、タイム向上に直結する。
まだまだ使い始めたばかりで強く使えないのかもしれないが、尾てい骨付近の脊柱起立筋の左右。これらがわしの人生をおおきく進めてくれそうな安堵感を、腰から醸し出し始めてはいる。
名残惜しいが、おそらくこれをもって、格闘系截拳道は卒業したのではないかという気もする。左右の連動が瞬時には行われず、ある程度余裕をもって連帯するので、たぶん格闘技にはあまり使えない腰になったろう。
護身術は、また改めて考え直すとしよう。
20:33脱