オレの元地元は高級住宅街。されども過密便数のジャンボジェット機は家をときおり震動させながら低く飛ぶ、閑静ではない低級住宅街。あわせて中級住宅街。マスコミがわざとかただの怠慢か、オレの故郷を全国放送で"閑静な住宅街"と呼んだことがあるのを、訂正されるまで一生忘れない。
オレのじんせー、よくさかさまな。オレの中身、いっしょに子宝授かった妻でさえ逆さまにとらえて逃げた。
意図的にゾーンに入りたいって、最近ゾーンに入ったそのときの表情を再現しようとてみても、あるいは全身再現しようとしてみても、大してうまくいかなかった。
覚醒…。
険しそう、眠そう、その顔。
もしかして…。
瞼を思いきり開こうとしてみた。
(苦笑)
細い目になりやがったよ。
ならば?
眉間を思いきり上げようとしてみた。
(はあ…)
険しい顔になりやがったよ。
なんか、いつでも60km/h以上出せますよみたいな気配がちらちら纏え始めたよ。
これがさかさまのチカラか。
再現するためにさかてにとるときにさかさまを駆使すれば、うまくいくわけか。
なるほどなるほど…。
目をおおきくし最大限の光を受け入れ、朗らかに相手や世界を受け入れようとする…その2点だけに集中しようとすると、逆に瞼や表情は多くの光を遮り、ひつような光だけがなかに入ってくると、そういうわけかい。たしかに、どれがひつような光でどれが不必要な光か、いち人間にはわかるはずないものな。醒案如来が知っていることだものな。
これならまあ、たいへんでもない。
つづけてみようか。
オレのパパよ。
これがいつも明るく爽やかに、の、真髄なのだね。
明るく爽やかそうにするんではなくて、苦しくてもほんとうに覚悟をもって世界を受け入れようとしたときに、ひつような光だけが分かる、と、明るく爽やかになれると、そういうことやったんやね。