オレは寂しさのあまり児玉久美子という小悪魔と契約してしまったのだな。そして自分の魂の半分である子供らや良妻とのしあわせな日々なんてものを奪われてしまったわけだ。
 小悪魔だったから自分の魂まるごと持っていかれはしなかった。しかし、こんなに毎日泣かされなくてはならないはめになるわけだ。
 オレが救われるとしたら久美子が殺人未遂したことを謝罪して小悪魔を卒業するか、べつの天使があらわれて…それはべつに、自立した心をもった我が子でも良いわけだが…その、べつの天使があらわれるまで、オレは小悪魔と契約したことを反省しつづけなくてはならないと、そういうわけなんか。
 オレが叛逆の殺人鬼にならないためには、天使の登場を待ち望む、それしかないわけね。
 なるほど…
 なるほど………
 この世は無法地帯なんだな…
 しかし変だな。
 この状態、独身時代とほとんど変わらない。
 親が難癖つけて殴りかかってくるのが、嫁がカネを持っていくのに変わったくらいで、全体としてなんだかほとんど変わらない。
 そう考えると、オレは小悪魔とすら契約していない気がするがな。
 どーなってんだ…

 とりあえずオレの反芻ワードは、
 どーなってんだ…
 これで決まりかな。
 事態がオレの過労死レベルには達しない努力でも好転するまで、どーなってんだ…、これをおもいつづけるしかどーしよーもないや。