『ぐらマラ』
どうもシャチハタ丸です。今日はもう疲れました。
部活だけでも充分な精神的疲労感は与えてくれますが、そんなものではないです。
肉体にガンガン来る疲れが先ほど何があったのかを教えてくれています。
そう、それは奴と一緒にいたことから始まった『ぐらマラ』
ただ一瞬の物語。それでも、確かに僕らは力の限りに風を切った。
今日は一つ遅い汽車で帰り、モンゴルさんやくっきーなどと同じ列車だった。
しかし僕は別の友人と一緒にいたので、二人とは少し距離を取って友達と話しながら駅へと向かっていた。
他愛も無い話が尽きる前に、目的の駅へと着いて、汽車から降りる。
モンゴルさんは一つ前の駅であるので無論のこと姿は無い。
くっきーの後姿を見送りながら、知り合いが誰もいなくなった隣、僕の本日の相方がいる。
とりあえず、仮名「ぐらたん」
このぐらたん、僕の町の駅からさらに遠い所まで帰らなければならないのだが、列車の時間はまだ早い。
また、他愛もない話が再開された。
ぐらたんは夜歩き回る事が無い事、一人で飲食店に入ることが無い事、この地域のオススメスポットが知りたい事。
ぐらたんの事ばかりだが、シャチハタフィルターに掛かっているので、シャチハタ丸の発言は総じてカットされている。
なので、とりあえず、ぐらたんの意見も出してみることとする。
ぐらたんからは僕は夜、駅の周りを走り回っているように思えるらしい。
外見的に、自分は中学生に間違えられる事が無くもないから、そんな無茶は出来ないとのこと。
僕は仕事帰りのおじさんか何かに見えるのだろうか? 貫禄ありすぎるわ。
次に、一人で飲食店に入ることが出来ないらしいが、これは単なる人見知りの激しさゆえの話らしい。
ここで、ぐらたんに「お前は一人で知らない飲食店とか入ったりするの?」と聞かれたが、
実を言うと、ケースバイケース。
どの辺がケースバイケースかと言うと、親がいるときはまず一人で食いに出ることはまず無い。
親と一緒に食いに出ることがあっても知らない店に飛び込むことはまず無い。親は保守的だ。
それどころか、自分自身本当にただ一人の時でさえ知らない店に入るのは少しためらう。
普通に食べたい物が決まっている時は保守的に。知っている美味い店で選ぶ。
食べたい物が漠然としている時は、全く知らない中でも良い感じの店を探し、勇気を出して入る。
こんな感じだから一人で食いに行く事はあれど、あんまりいろんな知らない店巡りはしていない。
うん、全くもって答えになっているかが疑問である。
ついでに、人見知りの激しいぐらたんが一人で店へ入った際は
・カウンター席に座る
・店員と話せそうなら話をしてみる
・話せそうに無いなら黙ってとりとめも無い事を考えながら黙々と食う
この辺りを実践してみるといいと思う。というか、カウンター席に座れなかったら僕も一人では入れない。
一人のときはカウンター席の空いてる店を選びましょう。隣の人と喋るチャンス付きです。
ちなみに、一人で入る事がダントツで簡単なのはラーメン屋です。
ということで、ぐらたんは一人ラーメンから始めるといいと思います。多分もう出来てるか。
一人ラーメンに慣れたら一人で喫茶店行けると思います。頑張って。
ついでに、これに関してもぐらたん曰く「いろんな店を知ってそう」らしいのですが、
金銭的にケチなので友達と行く時以外は自炊するので実際はかなり回数が少ないです。
僕がそんな男に見えたならぐらたん、病院池。
そして、僕ならお勧めのスポットを知っている気がする。と、言っていただきましたが、参ったな。
我が地元オススメどころか名所が無い。
地元民なら名所の一つ二つくらい知っていますなんて思ったら大間違い。
こんなに名所の無い県庁所在地は無いぞ。県庁所在地で唯一温泉があるけど。
だが、残念だ。本当に名所も隠れスポットも無い。特に夜は何も無い。
昼なら美味いコーヒーの店くらい開いてるのに。
うん、食い物関係くらいしかまともにスポットが無いね。しかも県庁寄りだし。
地元民なのに我ながら情けない……。
とか、色々と語り合っていると、ぐらたんが、本屋に行きたい。と言い出しましたので、
歩いて約十五分くらい? のブックセンターへと歩く事に。
これがまたのんびりと歩いたもので、長い旅路に低燃費少女ハイジ の話をしたりしていました。
むしろ、低燃費少女ハイジ以外の話はしていなかった気もしますが。
そんな話ばかりしていると頭おかしくなりそうですが、すでにテンションは変でした。
まあ、こんな物の話をしてたら頭おかしくなるのも仕方ない気が。
ぐらたん曰く、公式が病気。
ついでに、面白くなるのはこの第三話から。
さて、軽く日産の宣伝を終えたところで結局子供の頃の話をしてみたりしていたらブックセンターへ着きます。
ここで、実は戻るまでギリギリの時間であり、こちらはかなりヒヤヒヤしていたのですが、ぐらたんは迷わずに店の中へ。
どうやらぐらたんは自分の思惑の本を探していたようですが、それがわずか一分足らずで発見した様子。
どうやら、四コマ漫画?
それをかなりのハイテンションで手にとって、それからライトノベルコーナーを色々と見渡し、それからレジへ。
僕も、ろくに無い時間を自分の趣味の本探しに費やし、ぐらたんが本を買ったことを確認して、店の外へ。
ここで、時計を確認した所、
ぐらたんの乗るべき列車の発車五分前。
これ、もう間に合わんよ。
そう思い、次の列車に乗ることを進言する僕にぐらたんはいたって冷静に言った。
「仕方ない。走るか(΄◉◞౪◟◉‵)ノ」
男前発言をしつつ、前述したハイジの事をまた語りながら歩く。
↑ぐらたんが好きだという第四話。爺さんが良いキャラしすぎ。
↑シャチハタ丸が個人的に笑った第五話。もう、夢に出るわ!
しかし、歩いているうちに、ぐらたんは静かに身の回りを整理? し始めていた。
それには薄々気がついていた。だから、僕もまた、重い荷物をしっかり肩へと固定していた。
僕は走りづらい靴を履いていたが、相手も重い荷物を背負っている。足手纏いにはならないはずだ。
そう思いながら、吹き抜ける風に身を委ね、蹴りだした一斉の足音。
五分間マラソンが始まった。
弾丸のように突き抜ける二人。明かりはしばしばの車のライト。それ以外は何も無い。
バッグは体にフィットしながらも体に合わせて激しく揺られる。暗闇に騒音だけを響かせる。
これだけ走ったのは何年ぶりか。
少しだけ気を抜きたい気もする。気を抜けない。すぐに置いて行かれそうだから。
あちらはどう思っているか? わからない。足音は突き抜けるのみ。
重い荷物を背負っている。息が上がる。止まれない。
苦し紛れに先に声を出したのはぐらたんだった。
「ハイジ~ハイジ~! お爺さんだよ~!!」
こいつ、もう駄目だ。
これを参考に。シャチ×ぐらが選ぶ低燃費少女ハイジのベスト回。
突然の不意打ちに思わず思い出し笑いを堪え、ぐらたんが僕の前へと進む。
必死に離されまいと続く僕。暗闇の道を抜ける直前。目の前の信号は青信号となった。
立ち止まる暇は無いようだ。
そのままのスピードで暗闇から飛び出し、街灯の光が包む町へ。
変わらないスピードで緩やかなカーブを走る。長い。遠い。次の信号までは300mくらいか?
オーバーヒートしそうな心臓と、ネジの抜けそうな両足。
冷静なのは頭と好き放題揺れている腕だけだ。
立ち止まりたい。立ち止まれない。立ち止まらない。
それでは列車に間に合わない。
僕には奴を駅に送る義務がある。
残り50m。次の信号が赤に。それでも走り続ける。
やっとたどり着き、足を止め、荒い息と熱くなり過ぎた足の裏を黙らせる。
「結構長いな……」
ぐらたんがこんな事を言ったが、ここまで実は三分ほどで走っていた。
十五分かけて歩いた先ほどの道ではないが、別ルートとはいえ、かなりの早さだ。
そんなことを言っていられるぐらたんの余裕に敬服した。
「わざわざこんなことにつき合わせてすまんな」
そう言う、ぐらたん。
「僕は別にいいんだけどね」
そう何とか言い返した僕はもう走り続けていられる自信が無い。
もう脱落宣言でもしておいた方がいいんじゃないだろうか、とも思った。
だが、そんな言葉をかけるより早く、信号が青く光った。
残った力の全てを燃やして、あと100m。目指すは駅まで一直線。
僕とぐらたんは風を切って突き抜ける。いつの間にかぐらたんを追い越した。
人を避けてぐらたんに追い越される。ぐらたんが走り抜ける。まだ逃がさない!
必死にぐらたんの後ろへ喰らい付く。それが今という一瞬のジャスティス。
そして、分かれ道がやってくる。
「またな!」
そう言うぐらたんに言葉を返すほどの気力はすでに残っておらず、力なく腕を掲げ、足をゆっくりと止める。
遠くへと走り去っていくぐらたんの背中を目で追いながら、どれだけ走っていなかったのか考える。
思い出せないが、もういい。
今、力の限り走ったのだから、そんなことはどうでもいい。
そんな、妙な満足感を感じながら、ぐらたんが果たして列車に間に合ったのか、多少不安混じりに踵を返した。
精一杯に走り抜けた。それは、たった五分間の青春。
彼とともに走った。ぐらたんマラソン。略して『ぐらマラ』
なんだか、とてもすがすがしい心と、ぐらたんに伝えたい事が二つ。
一つ。
青春をありがとう。
二つ。
計画性を持ちましょう。