いつも私のブログをご覧のみなさま、たくさんのアクセス、ならびにコメント、いいねをしていただき、誠にありがとうございます。
『花怜のバッサリ体験録⁉』の第10章の後編ができあがりましたので、ここに投稿させていただきます。
ストーリーは花怜ちゃん❤サイドからですが、時間的には×10―1とほとんど同じですので、ダブるところが多々ありまして、読みづらい&わかりづらい点がありますが、どうぞご容赦いただけましたら幸いであります。
それでは、始めさせていただきます。
さてさて、こちらは花怜ちゃん❤サイドから、時間的には、夕夏ちゃん❤サイドのラストシーンから少しだけ遡ります😊
「亜沙美ちゃん❤たちといると、ホント楽しいわ……😄こうして知り合えたのも何かの縁ね」
鏡越しに舞彩が微笑みながら言うと、
「あなたたち3人といいお友だちになれるといいわね」
薄いブルーのクロスで、夕夏の体をすっぽり包み込みながら芽愛も頷いた。
「なれますよ!このあたしが保証しますから──っていうか、もうガチ友だちじゃないですか!」
相も変わらす調子のいいことを言う亜沙美に、
「そうですよ!」
と、花怜も、夕夏も、ほとんど同時に頷いた。
「ふふ……ありがとう❤」
鏡越しに舞彩が微笑みながら、
「じゃ、花怜ちゃん❤後ろのところ切っていきますから……」
ちょっと下を向いててねと、花怜の頭を少し前に下げさせてから、再びチョキチョキ😃✂✨と鋏を動かし始めた。
鏡越しに、上目遣いで隣の様子を伺うと、芽愛が鏡の前に置いてある充電器に差し込まれた小型のバリカンを手に取り、夕夏の後ろに立った。どうやら襟足のトリミングの時は、自分がつけられているゴム製のエプロンのような物──ネックシャッターはしないらしい。
……あれを使うのね……。
粗切りを済ませて、いざ襟足のところを刈上げにする際、花怜はてっきりあのバリカンで刈られるのかと、内心ビクビクしたものだったが、どうやら襟足のトリミングに使うものらしい。もっとも、男性客が短いヘアスタイルに刈上げるのにも、あのバリカンを使うのだが……。
……あたしも、カットの後で襟足のところをきれいにしてもらうのよね……。
花怜自身、これまで肩よりも短いヘアスタイルにしたことがなかったから、当然襟足のトリミングも初めてだ。
……一体どんな感じなんだろう……?
1年以上ベリーショートで通している夕夏なら、もうすっかり慣れっこになっているだろう。嫌がる素振りなんか、これっぽっちも見せないところからすれば、きっと気持ちいいに違いない。
そういえば、亜沙美も、昨日カットしてもらったにも拘わらず、やってほしいと駄々をこねていた。
……あれで、襟足のところをシュリシュリってされるのよね……😌
芽愛が手にしているバリカンは、手の中に収まるほどでないにしても、テレビのリモコンの半分くらいの大きさだ。花怜がイメージしてたバリカンといえば、太いコードが付いた、見るからにゴツい感じのする代物ばかりだと思っていたが、あれくらいの大きさなら、なんだかオモチャみたいな気がする。
正面の鏡の中では……チョキチョキ😃✂✨と、クラデーションがかかるように、こまめにブロッキングしながら舞彩が、花怜の後ろの髪を切っていくのが映っている。が、花怜の視線と意識は、むしろ隣に座っている夕夏の方に向いていた。
当然のことながら、自分がどんな風にカットしてもらっているかは、もちろん気にはなる。だが、それ以上に、これから襟足のトリミングをしてもらう夕夏のことが気になって仕方がなかった。自分も後で同じことをしてもらうのはわかっているのだが、どんな風にしてもらうのか、花怜にはとても興味があるのだ。それに舞彩なら、決して悪いようにはしないという安心感があったからに他ならない。
あの亜沙美がやたらと自分たちに勧めることもさることながら、亜沙美本人のきれいにショートボブにされた髪を見ても、実際に自分が親切丁寧な対応をしてもらい、粗切りから、こうしてチョキチョキ😃✂✨されているのを鑑(かんが)みても、舞彩は120いや、200%信頼できるという確信が、花怜にはあった。
「それじゃ、夕夏ちゃん❤も、襟足のところ、きれいにしましょうね」
そう言って、芽愛がバリカンのスイッチを入れると、
「はーい♪」
と、夕夏が嬉しそうに頷いた。
自分の髪の毛を切るチョキチョキ😃✂✨という音に混じって、ヴィィ~ンというモーター音が、静かな店内に響いた。
……シュリシュリ……シュリシュリ……という音が、花怜のところにまで聞こえてくる。
少し俯き加減で、襟足の処理をしてもらっている夕夏が、目を閉じて、うっとりした表情を浮かべている。
芽愛が言うように、花怜たち3人の中では、沈着冷静で良識派の1番お姉さん格的な存在である夕夏だが、彼女にも最大の弱点があった。
それは感じやすい──と言っても、何もHな意味だけではなく、色々な面で極端なまでの敏感体質であって、それがとことん顔に出やすいものだから、なおのこと始末に悪い😭💦💦
特に擽(くすぐ)られるのが、大の苦手で、娜津(なつ)をはじめとする4人の姉たちのいずれと喧嘩になっても、最後の果てには馬乗りにされて、体のあちこちを擽りまくられて撃沈させられているところを目の当たりにしたことも、1度や2度のことではなかった。
……あぁ……とっても気持ちいい……😌
そんな声が聞こえてきそうなほどに、夕夏はうっとりした表情を浮かべて、芽愛に襟足の処理をしてもらっていた。
……襟足をきれいにしてもらうのって、そんなに気持ちいいの……?
自分も後で同じことをしてもらうことはわかってはいるのだが、夕夏のうっとりした表情を見ていると、今からドキドキ💓わくわく😃💕するのを禁じ得ない花怜であった。
「……夕夏ちゃん❤気持ちいい?」
芽愛に耳もとで囁かれて、
「ええ、とっても……」
思わず本音が出てしまい、ハッとなって顔を赤らめて俯く夕夏だったが、時すでに遅しである。隣の椅子に座ってチョキチョキ😃✂✨してもらっている花怜の耳にもはっきりと聞こえていた。
「ふーん♪夕夏って、襟足シュリシュリしてもらうの、気持ちいいんだぁ……😏」
亜沙美に相乗りしてからかってくれたお返しというわけではないが、ちょっと意地悪っぽく花怜が言うと、
「もしかして、感じちゃったとか……やだぁ、夕夏のHぃ😁」
隣の亜沙美も面白がって囃し立てる。
「ち、違うわよ💦」
大慌てでかぶりを振って否定しようにも、小型のバリカンで襟足の後れ毛を処理してもらっている真っ最中だから、下手をすれば、それこそ悲惨なワカメちゃんになりかねない。
花怜も、亜沙美も、それを充分承知の上で、ここぞとばかりに囃し立てているのだ。
「花怜もかわいいけど、夕夏のすっぽり姿もかわいい~❤カメラないのがホント残念」
亜沙美が、未だに懲りもしないことを口にする一方で、
「ねぇ、前から気になってたんだけど……」
後ろの髪をチョキチョキ😃✂✨してもらっているので、少し俯き加減で鏡越しに花怜が尋ねると、
「なぁに?」
と、同じく俯き加減で夕夏が応じた。
「夕夏はバッサリしちゃった時、どんな感じだった……?」
自分が1番知りたかったことを聞くと、
「……どんな感じって言われてもね……」
どう答えていいのか、夕夏自身が返答に窮しているようだったので、
「亜沙美は、長年のしがらみから解放されたって感じなんだって……で、夕夏はどうだったんだろうって……」
助け舟を出すみたいに花怜が言うと、
「あたしの場合、部の決まりだからって、ある意味割り切っちゃってたから……それほど抵抗はなかったけどね……」
案外あっさりした様子で夕夏が答えた。
そんな夕夏に、なんだか拍子抜けした感じの花怜だったが、
「ふぅーん……でも、あの時はホントびっくり😲したよねぇ……全然別人みたいだったしぃ」
まるで昨日のことのように亜沙美が言うと、
「それに、いきなりバスケ部だしね……」
花怜も鏡越しに目で頷いてみせた。
「それを言うんだったら、花怜だってそうじゃない😏テニスから吹奏楽だなんて、そっちの方がびっくり😲したわよ」
夕夏の言葉に、
「……あ、あれは……」
今度は花怜が口籠る番だった。
花怜がテニス部から吹奏楽部に転身した理由……それは中学3年の11月のこと、夕夏のすぐ上の姉、紗弥の高校の文化祭に連れて行ってもらった時、屋外に特設されたステージで、サックスをソロで演奏していた男子生徒を見て以来、そのカッコよさに魅せられたことにあった。
そのことは、亜沙美も、夕夏も、まったく知らなかった。いや、案外鋭い夕夏だったら、薄々勘づいているかもしれない……😰💦だが、それを敢えて口にしないところが、花怜にはとてもありがたかった。亜沙美だったら、ここぞとばかりに囃し立てるに違いない。
そんな花怜の胸の内を知ってか知らずか、
「亜沙美だって、色んなトコに顔出してるけど、結局どこも決まってないんでしょ」
夕夏が、今度は亜沙美の方に話を振ると、
「あたしは、ひとつの所にいるのが、中学ン時でもう懲り懲りなの!」
と、亜沙美が鏡越しに『もうウンザリ』という表情をしてみせた。
確かに、亜沙美は自分で言うのもなんだが、ひとつのことに全力を注ぐタイプではない。あれも、これもと好奇心旺盛にかじるのだが、意外なことに中途半端で投げ出すのでなく、それなりにそつなくこなすのだから驚きだ😲‼ お料理クラブに顔を出しては腕を磨き、毎日のお弁当🍙まで自分で作って来るし、おじいちゃん仕込みの書道の腕前(毛筆6段、硬筆5段)で、部室の表札や看板まで手書きしては、書道部でも一目置かれているぐらいだから恐れ入る。
「だから、皆それぞれ事情があるわけ……あたしが耳出しベリーショートにしたのも、亜沙美が昨日バッサリしちゃったのも、花怜が今チョキチョキ😃✂✨してもらってるのもね。そんなの、いちいち詮索してまわってたら、それこそキリがないわよ😉」
薄々花怜の事情に勘づいているであろう、もっともらしい夕夏の言葉に、
「ま、確かに……」
と、花怜が頷けば、
「言われてみりゃ、そうよね……」
亜沙美も、納得したように頷いた。
ちょうどその時、芽愛が夕夏の襟足をトリミングしているバリカンの音が止んだ。どうやら、おおまかな処理が終わったらしい。
芽愛がバリカンの刃先に付いた細かい毛屑を専用のブラシで払い落とすと、鏡の前に置いてある充電器に戻した。次に出番があるのは、花怜が襟足をトリミングしてもらう時だろう。
……なんだか、やってもらう前からドキドキしちゃう……💓
舞彩に後ろの髪をチョキチョキ😃✂✨してもらいながら、花怜は胸の奥が早鐘のようになるのを禁じ得なかった。
「夕夏ちゃん❤細かいところ、きれいにしていきますから、下を向いたままでいてくださいね😃」
芽愛が、腰に吊るしたシザーポケットから、小型の細長いトリマーを取り出すと、
「はーい♪」
夕夏が鏡越しに頷いてみせた。
どうやら、微妙なバランス感覚が必要なところは、細長いトリマーを使うらしい。
……あぁ、あれも使うのね……💓
花怜がいつも行っている美容室でも、短い髪型の男性客が、あの細長いトリマーで、襟足のところや耳のところを手入れしてもらっているのを、何度も見たことがある。
「ずっと俯いたままだったから、つらくなかった?」
「大丈夫でーす😊」
芽愛と夕夏のそんなやりとりを鏡越しに見ながら、花怜はふと別のことに思いを馳せていた。
……あのバリカンって、男のひとも使ってたってことは……もしかして、悠生さんも……
ここに来る途中のエレベーターの前での出来事が、花怜の脳裡によみがえる。つぶさに眺めていたわけではないが、悠生の髪型は襟足と両サイドをすっきり刈上げた、ソフトモヒカンのような感じだった。当然、あのバリカンでカットしたに違いない。もちろん、襟足のトリミングもしてもらったはずだ。
……あたしも、悠生さんと同じように襟足をトリミングしてもらうのよね……😌
そう思うと、なんだか嬉しくなってくる花怜であった。が、冷静に考えてみれば、男女問わず、短い髪型には襟足のトリミングは欠かせないのだから、それほど気にすることでもない。現に、隣に座っている夕夏だってしてもらっているのだ。
だが、そんなことにまったく気が付かないあたり、まさしく“恋は盲目”というやつである(経験豊富な輩からすれば、恋愛の内にも入らないだろうが)。
バリカンとは違う、ヴゥゥ~ンという小さなモーター音とともに、芽愛が夕夏の襟足の微妙なところを、チュリチュリ……と処理しながら、
「……夕夏ちゃん❤こうしてもらうの、好き?」
花怜たちに聞こえるように尋ねると、
「ええ、大好きです💕」
と、答えながら夕夏が、鏡の中の花怜と亜沙美に片目を瞑ってみせる。
それを見て、花怜も、亜沙美も、ニッコリ微笑みながら、鏡越しに頷いてみせた。
(つづく)
いかがでしたでしょうか?
前回、ネタバレ的にお約束しておきながら、亜沙美ちゃん❤のシャンプーシーンを入れることができず、誠に申し訳ありません。花怜ちゃん❤視線で、色々と書いていくうちに、つい長くなってしまいまして……😥💨
さて、花怜ちゃん❤たちの素顔が、少しずつ明らかになってきましたね😃亜沙美ちゃん❤の多芸多才ぶり、夕夏ちゃん❤の意外な弱点、花怜ちゃん❤がテニスから吹奏楽に転向するきっかけを与えた、ある男子生徒って……?
これからも、花怜ちゃん❤たちを、よろしくお願いいたします。

※おまけの画像。明日は十五夜🎑というわけで、お月見にふさわしく着物で決めてみました。ゆるふわベリーショートは花怜ちゃん❤

こちらは、ちょっと大人の花怜ちゃん❤
なんだか時代劇っぽい雰囲気が漂います❇

こちらは、前下がり気味なのをクルッと内側に巻いてみました😄ショートボブの亜沙美ちゃん❤です😉

こちらも、ちょっと大人の夕夏ちゃん❤やっぱり、3人の中では、1番のお姉さんって感じですね☺
『花怜のバッサリ体験録⁉』の第10章の後編ができあがりましたので、ここに投稿させていただきます。
ストーリーは花怜ちゃん❤サイドからですが、時間的には×10―1とほとんど同じですので、ダブるところが多々ありまして、読みづらい&わかりづらい点がありますが、どうぞご容赦いただけましたら幸いであります。
それでは、始めさせていただきます。
さてさて、こちらは花怜ちゃん❤サイドから、時間的には、夕夏ちゃん❤サイドのラストシーンから少しだけ遡ります😊
「亜沙美ちゃん❤たちといると、ホント楽しいわ……😄こうして知り合えたのも何かの縁ね」
鏡越しに舞彩が微笑みながら言うと、
「あなたたち3人といいお友だちになれるといいわね」
薄いブルーのクロスで、夕夏の体をすっぽり包み込みながら芽愛も頷いた。
「なれますよ!このあたしが保証しますから──っていうか、もうガチ友だちじゃないですか!」
相も変わらす調子のいいことを言う亜沙美に、
「そうですよ!」
と、花怜も、夕夏も、ほとんど同時に頷いた。
「ふふ……ありがとう❤」
鏡越しに舞彩が微笑みながら、
「じゃ、花怜ちゃん❤後ろのところ切っていきますから……」
ちょっと下を向いててねと、花怜の頭を少し前に下げさせてから、再びチョキチョキ😃✂✨と鋏を動かし始めた。
鏡越しに、上目遣いで隣の様子を伺うと、芽愛が鏡の前に置いてある充電器に差し込まれた小型のバリカンを手に取り、夕夏の後ろに立った。どうやら襟足のトリミングの時は、自分がつけられているゴム製のエプロンのような物──ネックシャッターはしないらしい。
……あれを使うのね……。
粗切りを済ませて、いざ襟足のところを刈上げにする際、花怜はてっきりあのバリカンで刈られるのかと、内心ビクビクしたものだったが、どうやら襟足のトリミングに使うものらしい。もっとも、男性客が短いヘアスタイルに刈上げるのにも、あのバリカンを使うのだが……。
……あたしも、カットの後で襟足のところをきれいにしてもらうのよね……。
花怜自身、これまで肩よりも短いヘアスタイルにしたことがなかったから、当然襟足のトリミングも初めてだ。
……一体どんな感じなんだろう……?
1年以上ベリーショートで通している夕夏なら、もうすっかり慣れっこになっているだろう。嫌がる素振りなんか、これっぽっちも見せないところからすれば、きっと気持ちいいに違いない。
そういえば、亜沙美も、昨日カットしてもらったにも拘わらず、やってほしいと駄々をこねていた。
……あれで、襟足のところをシュリシュリってされるのよね……😌
芽愛が手にしているバリカンは、手の中に収まるほどでないにしても、テレビのリモコンの半分くらいの大きさだ。花怜がイメージしてたバリカンといえば、太いコードが付いた、見るからにゴツい感じのする代物ばかりだと思っていたが、あれくらいの大きさなら、なんだかオモチャみたいな気がする。
正面の鏡の中では……チョキチョキ😃✂✨と、クラデーションがかかるように、こまめにブロッキングしながら舞彩が、花怜の後ろの髪を切っていくのが映っている。が、花怜の視線と意識は、むしろ隣に座っている夕夏の方に向いていた。
当然のことながら、自分がどんな風にカットしてもらっているかは、もちろん気にはなる。だが、それ以上に、これから襟足のトリミングをしてもらう夕夏のことが気になって仕方がなかった。自分も後で同じことをしてもらうのはわかっているのだが、どんな風にしてもらうのか、花怜にはとても興味があるのだ。それに舞彩なら、決して悪いようにはしないという安心感があったからに他ならない。
あの亜沙美がやたらと自分たちに勧めることもさることながら、亜沙美本人のきれいにショートボブにされた髪を見ても、実際に自分が親切丁寧な対応をしてもらい、粗切りから、こうしてチョキチョキ😃✂✨されているのを鑑(かんが)みても、舞彩は120いや、200%信頼できるという確信が、花怜にはあった。
「それじゃ、夕夏ちゃん❤も、襟足のところ、きれいにしましょうね」
そう言って、芽愛がバリカンのスイッチを入れると、
「はーい♪」
と、夕夏が嬉しそうに頷いた。
自分の髪の毛を切るチョキチョキ😃✂✨という音に混じって、ヴィィ~ンというモーター音が、静かな店内に響いた。
……シュリシュリ……シュリシュリ……という音が、花怜のところにまで聞こえてくる。
少し俯き加減で、襟足の処理をしてもらっている夕夏が、目を閉じて、うっとりした表情を浮かべている。
芽愛が言うように、花怜たち3人の中では、沈着冷静で良識派の1番お姉さん格的な存在である夕夏だが、彼女にも最大の弱点があった。
それは感じやすい──と言っても、何もHな意味だけではなく、色々な面で極端なまでの敏感体質であって、それがとことん顔に出やすいものだから、なおのこと始末に悪い😭💦💦
特に擽(くすぐ)られるのが、大の苦手で、娜津(なつ)をはじめとする4人の姉たちのいずれと喧嘩になっても、最後の果てには馬乗りにされて、体のあちこちを擽りまくられて撃沈させられているところを目の当たりにしたことも、1度や2度のことではなかった。
……あぁ……とっても気持ちいい……😌
そんな声が聞こえてきそうなほどに、夕夏はうっとりした表情を浮かべて、芽愛に襟足の処理をしてもらっていた。
……襟足をきれいにしてもらうのって、そんなに気持ちいいの……?
自分も後で同じことをしてもらうことはわかってはいるのだが、夕夏のうっとりした表情を見ていると、今からドキドキ💓わくわく😃💕するのを禁じ得ない花怜であった。
「……夕夏ちゃん❤気持ちいい?」
芽愛に耳もとで囁かれて、
「ええ、とっても……」
思わず本音が出てしまい、ハッとなって顔を赤らめて俯く夕夏だったが、時すでに遅しである。隣の椅子に座ってチョキチョキ😃✂✨してもらっている花怜の耳にもはっきりと聞こえていた。
「ふーん♪夕夏って、襟足シュリシュリしてもらうの、気持ちいいんだぁ……😏」
亜沙美に相乗りしてからかってくれたお返しというわけではないが、ちょっと意地悪っぽく花怜が言うと、
「もしかして、感じちゃったとか……やだぁ、夕夏のHぃ😁」
隣の亜沙美も面白がって囃し立てる。
「ち、違うわよ💦」
大慌てでかぶりを振って否定しようにも、小型のバリカンで襟足の後れ毛を処理してもらっている真っ最中だから、下手をすれば、それこそ悲惨なワカメちゃんになりかねない。
花怜も、亜沙美も、それを充分承知の上で、ここぞとばかりに囃し立てているのだ。
「花怜もかわいいけど、夕夏のすっぽり姿もかわいい~❤カメラないのがホント残念」
亜沙美が、未だに懲りもしないことを口にする一方で、
「ねぇ、前から気になってたんだけど……」
後ろの髪をチョキチョキ😃✂✨してもらっているので、少し俯き加減で鏡越しに花怜が尋ねると、
「なぁに?」
と、同じく俯き加減で夕夏が応じた。
「夕夏はバッサリしちゃった時、どんな感じだった……?」
自分が1番知りたかったことを聞くと、
「……どんな感じって言われてもね……」
どう答えていいのか、夕夏自身が返答に窮しているようだったので、
「亜沙美は、長年のしがらみから解放されたって感じなんだって……で、夕夏はどうだったんだろうって……」
助け舟を出すみたいに花怜が言うと、
「あたしの場合、部の決まりだからって、ある意味割り切っちゃってたから……それほど抵抗はなかったけどね……」
案外あっさりした様子で夕夏が答えた。
そんな夕夏に、なんだか拍子抜けした感じの花怜だったが、
「ふぅーん……でも、あの時はホントびっくり😲したよねぇ……全然別人みたいだったしぃ」
まるで昨日のことのように亜沙美が言うと、
「それに、いきなりバスケ部だしね……」
花怜も鏡越しに目で頷いてみせた。
「それを言うんだったら、花怜だってそうじゃない😏テニスから吹奏楽だなんて、そっちの方がびっくり😲したわよ」
夕夏の言葉に、
「……あ、あれは……」
今度は花怜が口籠る番だった。
花怜がテニス部から吹奏楽部に転身した理由……それは中学3年の11月のこと、夕夏のすぐ上の姉、紗弥の高校の文化祭に連れて行ってもらった時、屋外に特設されたステージで、サックスをソロで演奏していた男子生徒を見て以来、そのカッコよさに魅せられたことにあった。
そのことは、亜沙美も、夕夏も、まったく知らなかった。いや、案外鋭い夕夏だったら、薄々勘づいているかもしれない……😰💦だが、それを敢えて口にしないところが、花怜にはとてもありがたかった。亜沙美だったら、ここぞとばかりに囃し立てるに違いない。
そんな花怜の胸の内を知ってか知らずか、
「亜沙美だって、色んなトコに顔出してるけど、結局どこも決まってないんでしょ」
夕夏が、今度は亜沙美の方に話を振ると、
「あたしは、ひとつの所にいるのが、中学ン時でもう懲り懲りなの!」
と、亜沙美が鏡越しに『もうウンザリ』という表情をしてみせた。
確かに、亜沙美は自分で言うのもなんだが、ひとつのことに全力を注ぐタイプではない。あれも、これもと好奇心旺盛にかじるのだが、意外なことに中途半端で投げ出すのでなく、それなりにそつなくこなすのだから驚きだ😲‼ お料理クラブに顔を出しては腕を磨き、毎日のお弁当🍙まで自分で作って来るし、おじいちゃん仕込みの書道の腕前(毛筆6段、硬筆5段)で、部室の表札や看板まで手書きしては、書道部でも一目置かれているぐらいだから恐れ入る。
「だから、皆それぞれ事情があるわけ……あたしが耳出しベリーショートにしたのも、亜沙美が昨日バッサリしちゃったのも、花怜が今チョキチョキ😃✂✨してもらってるのもね。そんなの、いちいち詮索してまわってたら、それこそキリがないわよ😉」
薄々花怜の事情に勘づいているであろう、もっともらしい夕夏の言葉に、
「ま、確かに……」
と、花怜が頷けば、
「言われてみりゃ、そうよね……」
亜沙美も、納得したように頷いた。
ちょうどその時、芽愛が夕夏の襟足をトリミングしているバリカンの音が止んだ。どうやら、おおまかな処理が終わったらしい。
芽愛がバリカンの刃先に付いた細かい毛屑を専用のブラシで払い落とすと、鏡の前に置いてある充電器に戻した。次に出番があるのは、花怜が襟足をトリミングしてもらう時だろう。
……なんだか、やってもらう前からドキドキしちゃう……💓
舞彩に後ろの髪をチョキチョキ😃✂✨してもらいながら、花怜は胸の奥が早鐘のようになるのを禁じ得なかった。
「夕夏ちゃん❤細かいところ、きれいにしていきますから、下を向いたままでいてくださいね😃」
芽愛が、腰に吊るしたシザーポケットから、小型の細長いトリマーを取り出すと、
「はーい♪」
夕夏が鏡越しに頷いてみせた。
どうやら、微妙なバランス感覚が必要なところは、細長いトリマーを使うらしい。
……あぁ、あれも使うのね……💓
花怜がいつも行っている美容室でも、短い髪型の男性客が、あの細長いトリマーで、襟足のところや耳のところを手入れしてもらっているのを、何度も見たことがある。
「ずっと俯いたままだったから、つらくなかった?」
「大丈夫でーす😊」
芽愛と夕夏のそんなやりとりを鏡越しに見ながら、花怜はふと別のことに思いを馳せていた。
……あのバリカンって、男のひとも使ってたってことは……もしかして、悠生さんも……
ここに来る途中のエレベーターの前での出来事が、花怜の脳裡によみがえる。つぶさに眺めていたわけではないが、悠生の髪型は襟足と両サイドをすっきり刈上げた、ソフトモヒカンのような感じだった。当然、あのバリカンでカットしたに違いない。もちろん、襟足のトリミングもしてもらったはずだ。
……あたしも、悠生さんと同じように襟足をトリミングしてもらうのよね……😌
そう思うと、なんだか嬉しくなってくる花怜であった。が、冷静に考えてみれば、男女問わず、短い髪型には襟足のトリミングは欠かせないのだから、それほど気にすることでもない。現に、隣に座っている夕夏だってしてもらっているのだ。
だが、そんなことにまったく気が付かないあたり、まさしく“恋は盲目”というやつである(経験豊富な輩からすれば、恋愛の内にも入らないだろうが)。
バリカンとは違う、ヴゥゥ~ンという小さなモーター音とともに、芽愛が夕夏の襟足の微妙なところを、チュリチュリ……と処理しながら、
「……夕夏ちゃん❤こうしてもらうの、好き?」
花怜たちに聞こえるように尋ねると、
「ええ、大好きです💕」
と、答えながら夕夏が、鏡の中の花怜と亜沙美に片目を瞑ってみせる。
それを見て、花怜も、亜沙美も、ニッコリ微笑みながら、鏡越しに頷いてみせた。
(つづく)
いかがでしたでしょうか?
前回、ネタバレ的にお約束しておきながら、亜沙美ちゃん❤のシャンプーシーンを入れることができず、誠に申し訳ありません。花怜ちゃん❤視線で、色々と書いていくうちに、つい長くなってしまいまして……😥💨
さて、花怜ちゃん❤たちの素顔が、少しずつ明らかになってきましたね😃亜沙美ちゃん❤の多芸多才ぶり、夕夏ちゃん❤の意外な弱点、花怜ちゃん❤がテニスから吹奏楽に転向するきっかけを与えた、ある男子生徒って……?
これからも、花怜ちゃん❤たちを、よろしくお願いいたします。

※おまけの画像。明日は十五夜🎑というわけで、お月見にふさわしく着物で決めてみました。ゆるふわベリーショートは花怜ちゃん❤

こちらは、ちょっと大人の花怜ちゃん❤
なんだか時代劇っぽい雰囲気が漂います❇

こちらは、前下がり気味なのをクルッと内側に巻いてみました😄ショートボブの亜沙美ちゃん❤です😉

こちらも、ちょっと大人の夕夏ちゃん❤やっぱり、3人の中では、1番のお姉さんって感じですね☺