金沢駅、4番線。
漆芸術のような車体。「花嫁のれん」が、ゆっくりと入線です。
ホーム入口には、花嫁のれんのおもてなし。

車内に足を踏み入れれば金色に包まれて、旅立ちの気分がさらに高揚します。
1号車の足下は庭園の敷石のような絨毯に、個室風の席。個室風の席は、腰掛けも深めでゆったりしています。

2号車は、オープンな雰囲気。窓向き座席の後ろ側にイベントスペースがあります。椅子の向きも変えられるんです。

発車準備をされていたスタッフさんに見送られ、和倉温泉に向かって出発進行!
手を降られると、なぜ涙腺が緩むのでしょうね。感受性が豊かだからなのか、それともただ歳を取ったせいなのか。

そんな私の手もとに、車掌さんから届けられた記念乗車証。中にキップを挟めるようになっているところがミソです。特急券にはオリジナルの検札スタンプを押してくださいます。
車内では列車により、スイーツや加賀屋プロデュースの食事を楽しめるのですが、4日前までの予約ですので注意が必要です。

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途中の羽咋で若干の停車がありました。
ホームへ降りてみましょう。
かつては、北陸鉄道能登線が乗り入れ、また、氷見線がこちらを目指す計画もあったようで、風格のある駅です。
北陸鉄道能登線の乗り入れもなくなった今日では、東京でも実現していない、UFOが乗り入れる宇宙人のまち!
ではなく、
UFOのまち!なのです。

なぜ、UFOのまちなのかといいますと、焼きそばUFOの消費量日本一だから。

ではなく、
江戸時代の頃から空飛ぶ円盤が目撃されていた、という伝承があるからなのですね。
江戸時代ですからUFOなんて言葉があるはずもなく、「そうはちぼん」と呼ばれていたそうです。真言宗で使われるシンバルのような仏具「そうはちぼん」に似ているところから、そう呼ばれたとか。

そうはちぼんは羽咋市の眉丈山の辺りを飛んでいたらしく、子どもたちは「そんなに遅くまで遊んでいると鍋の蓋が降ってきて拐われるぞ!」と帰りを促されたそうですよ。

そろそろ、花嫁のれんに戻りましょう。
いや、もうひとつ。
羽咋駅は、車が走れる砂浜として有名な千里浜がありまして、その砂像が飾ってありました。よく見れば、宇宙人。そして、花嫁のれんも走っていますね。そうか、宇宙人も宇宙からの旅人。私と同じですね。

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それでもいいわ。近頃少し地球の男に飽きたところで、発車の時刻になりました。

無駄話で乗り遅れ注意です。
庭園の敷石のような通路を、アテンダントさんがご案内に。車内から温泉旅館に居るかのような気分になれます。
能登半島の景色を眺めながら、
みんなの幸せを乗せて走ります。
「の」を中心に、車体のロゴ。
イベントスペースのモニターに映し出される花嫁さん。
晴れの日にふさわしい七尾駅駅名標。
それぞれが、花嫁のれんの旅を盛り上げる脇役を担っています。
終点、和倉温泉に到着すると、
のと鉄道の「のと里山里海号」が迎えてくれました。
和倉温泉に着いた旅人は、夢気分のままで和倉の温泉街へ。

改札の若い駅員さんも、真っ赤な法被でおもてなし。
古都金沢から宇宙経由で温泉へ。
みんな幸せ、花嫁のれんの旅路でした。