秋には遅く、冬には早い。
中途半端な季節に、只見線を走破する機会に恵まれました。
会津若松を出て、七日町、西若松と走ってきた気動車は阿賀野川を渡り、日本の米どころを貫いて行きます。
会津高田駅には、剥がされたレールの跡と、もう使われることのないプラットホームが寒風にさらされています。
映画「男はつらいよ」柴又より愛をこめてのワンシーンでは、寅さんとともに旧駅舎と、今はなき跨線橋が映っています。

そんなことをぼんやり考えながら進んでいきます。こちらは曇天ですが、遥か山裾は陽光を浴びて輝いて見えます。私は雨雲を寄せ付ける傾向があるようです。

これぞ駅、といった風格の会津坂下駅。
ここで列車の交換です。跨線橋はなく、駅長さんが見守る中、人々が線路を横断していました。

山が迫ってきました。
冬を待つ水田には、鳥たちの群れが憩います。


会津柳津駅。無人駅ですが有人駅のような立派な木造駅舎と臨時改札があります。
ここから少し坂道を下ると温泉場へ。また、福満虚空蔵尊が近く、賑わう時季があるのでしょう。

いよいよ険しい道のりになってきました。

会津宮下駅。きびきびと、車掌さんの指差喚呼。只見線全通前の会津線時代には会津から来て終点だった駅で、転車台も残っています。
冬支度の山々。
只見川に沿って、時には避けてトンネルに潜りながら、列車は慎重に進みます。

早戸駅から眺める景色。秘境感がいっぱいです。
平地にはトタン屋根の家々が寄り添う、雪国の景色。
会津中川駅。1日の平均乗車人員は5人とか。
次は会津川口駅です。
この先、只見までの区間は2011年の豪雨災害で橋が流出してしまい、現在は代行バスが繋いでいます。

只見線は135㎞に及ぶローカル線です。よくぞここに鉄路を引いてくださったものです。
そのおかげで東京から日帰り圏内で北海道のような気分を味わえるのですから、おトクですね。

つづきます。