リュストーにはメランジェというパン菓子があります。ダノワーズ(デニッシュ)生地でリンゴや
くるみが入った「餡」を包んで焼いたものですが、これにはデニッシュの切れ端や余ったパンを
利用して作っています。作り方は、切れ端などを細かくなるまでミキサーにかけ、そこに砂糖や卵、くるみ、リンゴのシロップ煮、味の決め手のシナモン、さらにラム酒をドバドバと加えていきます。
とても余りものとは思えないリッチさです。食感もシナモンの風味も温かみのある甘さもよく、私も大好きなパン菓子です。
フランス菓子には様々な再生菓子があります。売れ残ったクロワッサンやブリオッシュをシロップにつけアーモンドクリームをのせて焼いた、クロワッサン・オ・ザマンド、ボストック、ブリオッシュをメレンゲで覆ったポロネーズ。スポンジくずを集めて酒やレーズンを加えてマジパンでくるんだフィグやポムドテールなどなど。
とにかく昔の人たちは食べ物を無駄にしません。オレンジをむいた後の皮も何日もかけてシロップにつけてコンフィ(砂糖漬け)にして利用したり。いま私たちはどれだけのことができているのか。食べ物を扱う職のものとしてしっかりと考えねばならないですし、これからの子供たちにも伝えていかなければならないことです。食べ物だけのことではなく、「もったいない」の精神ですね。 si