私は以前はネットの記事を我流で訳す練習をしていました。しかし、当時私はこのやり方にいまいち手応えを感じませんでした。何故なら1つは解答がない、1つは単語が全く記憶に残らないからです。


結局私なりの結論は、力が付くまでは新しい記事をどんどん訳すより、訳したものを反復して何度も読み込むことが先決だ、と。


そこで私が一番効果を感じた教材をご紹介します。


【1. 時事ロシア語 加藤栄一著/東洋書店】

 

 

政治、経済、法律、、とテーマ毎に分類された新聞記事の抜粋本です。単語も専門用語が数多く列挙されています。解説も親切丁寧、かつ日本語の言い回しも自然で的確。なるほど、プロはこう訳すのか、と大変参考になります。私はこの本を何度読み返したかわかりません。とは言え実際は読んでも読んでも追いつかないくらい情報量が多いです。長文読解用だけでなく表現パターンと専門用語を覚えるには恰好の教材です。通訳案内士試験、能力検定試験1級の受験生には必読書だと思います。


【2. Гарри Поттер и Философский камень

ハリー・ポッターと賢者の石】 

 

ドストエフスキーやトルストイではあまりに難しすぎるため、以前試しにハリー・ポッターのロシア語版を読んでみました。元々子供のファンタジーだしきっと簡単だろうと。実際はこれ以上ないくらい良い学習教材になりました。(参考までに、1冊約400ページ。全て訳し終わるのに1日2時間程度で約2ヶ月掛りました。)


良い点

1つ目は内容が具体的で分かりやすく、抽象的な表現がほぼないこと。


2つ目は日本語訳を買えば自分の翻訳の答え合わせが出来ること。私は訳し方が分からない時は日本語版を開きながら一つ一つ確認しました。


3つ目は、文法が適度に難しいこと。副動詞と形動詞が多用されていますが、ストーリーがわかりやすい為、難解な形動詞の格変化も意外と自然に読めました。


4つ目は、接頭辞を入れ替えた同じ動詞が多く使われていて、動詞の幅が広がったことです。ひょっとしたら幼い読者に向けた翻訳者の粋な言葉遊びだったのかなぁとも思えます。


何故ロシア語学習の教材にイギリスの作品を?!と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、試しに御一読ください。目の前にいるのはハリーではなく、ロシア語を話すマーリチク、ガリーになるはずです。