足もとには、

剥がしたメッキの粉が積もっている。

静かな部屋に

金属を擦る音だけが響いていた。

シャッシャッ・・・

シャッシャッ・・・

 

・・・

ずっと、

もやもやしていた。

時間が経つ毎に膨らんでくる。

必要ない箇所まで

やっているかもしれない・・・。

完成形を見てないから、

どこまでやる必要があるのか

わかってなかった。

 

全部塗れば、

後悔することはないし、

余計なことを考えなくて済む。

失敗を避けるには、

それが一番だと思っていた。

そのせいで、

延々とやすりがけが続いていた。

 

試しに1枚だけ完成させることにした。

プライマー、マスキング、ペンキ、

アイアンペイントを塗り終わり、

乾いた後、マスキングを剥がして、

設置してみる。

 

いろいろ見えてきた。

設置場所が高いから、上面は見えない。

枠の裏側なども目に入らない。

下面は影で目立たない。

結局、

全部塗る必要はなかった。

アイアンペイントも、

目立つ部分だけでよかった。

 

ペンキを塗る過程で、

メッキをどこまで剥がさなければ

プライマーが乗らないのかもわかった。

なにより、

完成したシェルフは、

思っていたよりずっとよかった。

実際に目にした瞬間、

霧が晴れた気がした。

 

無駄かもしれないまま進む作業。
必要だとわかって進む作業。

 

 

先にやるべきなのは、

ゴールと最短距離を知ることだった

 

 

 

▶ 次の記録を読む
もう元には戻れない - スチールラックリメイクの結末【スチールラック編最終話】

 

◀ 前の記録を読む
違和感が恐怖に負けた瞬間 - スチールラックを削り続けた話