ゆうべのこと。


私が布団に入り目をつむってから、
隣で横になっている息子が、
何度か声を掛けてくる。

明日こそは登校して欲しいと願う母は、
息子に早く寝付いて欲しい思いから、
息子の呼び掛けに応じることなく、
目をつむり続けた。



「あ~眠っちゃったか~」

「そうだよね。寝ちゃったよね~」


…と、独りごちてから、

私の耳元で


「ほんとうは転校したくない」

「転校やだなぁー」


と 囁くのだった。


囁くという字は、
口一つに耳が三つなんだね。



その囁きに何も応えず、黙っていたけど、
母はちゃんと聞いていたからね。


囁きは、口一つ。

母は口を開かない。




友達との別れとなる転校は、楽しい予定じゃないね。

楽しい予定が来るまでは心待ちにしているけど、
辛い予定の日までは、どんな気分で過ごしたらいいかね?

引っ越しもしないのに転校があるなんて、
私も考えたことなかったよ。





別れがあれば、出会いもある。


そんな体験を、
身を持って得る機会だと思いたいね。