旦那様とお付き合いを始めて、初めて旦那様の家に招待された時、最寄り駅から家までの道のりを旦那様はあれこれ説明してくれました。
旦那様の家の手前の住宅街に、ぽつりと現れた居酒屋さん。
旦那(当時は彼氏)「ここの大将、知り合いなんだよ。今度一緒に行こうね。」
当時付き合いだして間もない頃で、まさか結婚するなんて思ってもみなかったので私は適当に応え、そのままこの会話は終わりました。
そして結婚して間もなく、それは旦那様が会社の人との飲み会があるので夕食は不要と言われていた日にそれは起こりました。
夜の10時を超えて、突然旦那様からのLINE。
旦那「会社帰りに例の近所の居酒屋で飲んでるんだ。大将紹介するって言ってたよね?今から来なよ。」
私「私は在宅勤務終えてお風呂入ってすっぴんなんだけど。。。」
旦那「大丈夫だよ、来なよ。」
私「いや、初めて会う人にすっぴんは失礼でしょ?」
旦那「そんなことないよ。どうせ近所だし、店内薄暗いし。来なよ。」
仕方なく服に着替えて軽く化粧をしてお店に向かいました。
カウンター5席と奥にテーブル席が2セットぐらいの小さなお店で、大将さんが一人で接客も調理も切り盛りしていました。
それはとても忙しそうで、旦那様は完全に放ったらかし。一人呑みをカウンターでしている状態でした。
暫くして大将さんの手が少し空いてきた頃、旦那様は大将さんに話しかけました。
旦那「大将、紹介するよ。新しい奥さん。」
『新しい』奥さん。。。
大将「ああ、どうも。話は聞きましたよ。ご結婚おめでとうございます。」
私「あ、ありがとうございます。」
大将「いやー、お前すごいな。もう1回結婚するんだね。俺はそんな気力、ないわ〜。」
旦那「はは、そうなの?」
店内が忙しかったこともかり、さらりと紹介は終わり、特に私は何を聞かれることもありませんでした。
後に聞いた話では、大将さんはずっと独身で一人暮らし。お店が休みの時は趣味の釣りに行き、取れた魚をお店に出しているのだそうです。そしてお店も一人でこなしている。
結婚願望も特になく、一人で自由気ままに毎日を過ごしているのだそうです。
そんな人から見ると、結婚して離婚して、また結婚を選んだ旦那様の行動は不思議なのかもしれないです。
私はこれ以来、このお店に行っていませんが『新しい』奥さん、と紹介されるのだな〜…となんとなくしみじみ思ったのです。