〈砂粒のような〉
いつかのただのメモ
いるちゃんが生まれてから
本当に、本当に、世界が変わってしまって
当たり前は当たり前ではなくなった。
途方もない日々に打ちひしがれるときも、
小さな幸せをすくいあげて心を繋いだ日も、
何もかもどうでも良くなって諦めかけたとき
ぐしゃぐしゃな笑顔に救われたことも。
それは砂粒のように
ひとつひとつささいで小さくて、
光ってなんかいなくて
泥臭くて、
大事に抱えていないと
こぼれ落ちてしまうような
そんなもろい幸せだ。
私たちの中に確実にあった
ほっとする全身を包みこんでくれる
「安心」は
もうどこにもない。
いつも不安で気が抜けない。
常に気を張って日常を守っている。
先の先を考えることは怖い。
だから時々考えようとしては目を背ける。
不幸だとはけして思わない。
だけど苦労は遥かに多い。
想像の何十倍以上だろう。
ここが現実だから、
事実はなにひとつ変えられないから。
生きていく術を見つけるしかないと思っている。
落ちては、前を向いて。
そんな日々を繰り返して。