〈息子が教えてくれること〉

 

 

よく歌詞に出てくるような

「当たり前に過ぎる毎日」

「今日もいつもの毎日」

「代わり映えしない毎日」

 

 

 

そんな何事もなく、

淡々とすぎる日々なんかはない。

 

障害のある子がいる家族の毎日は、

 

 

何事もなくスムーズにすすむよう

一生懸命環境を整えたり

 

それでも思ってもみないことが起きたり

 

トラブルに対処したり

 

泣き止まず騒ぐ子どもを落ち着くまで

見守り声をかけたり

 

物を投げられ叩かれたり

 

どうしていいかわからず途方にくれたり

 

自分や子どものことが嫌になって

激しい自己嫌悪になったり

 

いつかくる未来の不安に襲われたり

 

今を大切にしようと

一生懸命自分に言い聞かせて

前を向いたり

 

我慢できず誰かに当たったり

 

涙が止まらなくなってどうしようもなくなったり

 

不安定な毎日。

 

自転車操業の毎日。

 

「そんな日もある」んじゃなくて、

「きついときもある」

「つらいこともある」んじゃなくて、

 

それが隣り合わせの毎日。

そんなことと共存していく毎日。

 

とにかく一生懸命にやるしかない毎日。

 

 

「何事もなく過ぎる」とか

「いつものように終わる」とか

そんな毎日が目の前にあるなら、

そんな毎日が当たり前になるなら、

それはどれだけ平穏なことだろう。

 

そんな落ち着いた暮らしができるなら

それはもう特別に贅沢なことに思える。

 

 

 

だから

ほんのささいなことでも本当に幸せに思う。

「いってきます」から

「ただいま」まで

最後まで笑顔で

公園に行けたなら

スーパーに行けたなら、

特別なおでかけに行けたような気分だ。

それだけで心の底から

ありがたいな、幸せだなって思える。

 

ただ生活をできる

普通に過ごせる

流れるように過ごせるっていうのは

それだけで特別で嬉しくて楽しい。

 

 

息子が教えてくれる幸せ。

 

ささいなことでも大切に思える。

 

辛いこともきついこともたくさんあるけど、

 

誰かや何かに傷つけられ苦しくなることも

たくさんあるけど

 

誰かの優しさや思いやりに

たくさん支えてもらっていることにも気づく。

 

 

 

暗闇からそっと光を見つけていくような

そんな毎日の中にいる気がする。