足が悪い

介護する人?

される人?








面接の人が来たよ


普段、本社にいらっしゃる管理者にお会いした。

面接のために施設に来ていたと。


うわぁ、新しい人、入るんだ、
どのフロアかな、
どこも必要だよな、


そう思っていると
管理者が続けた言葉に
・・・
となる



足が悪いからね
下の階に入ってもらおうかと思ってね



・・・
足が悪い?
面接、って?
働く人じゃなくて
施設に入居される方のこと?

???
でいっぱいになる



でも、話しは確かに
求人募集にいらした
面接、のことだった




・・・のあと
???となって
一瞬笑ってしまった

あれ?
どっち?
介護する人?
される人?

他の職員も話を聞いて
・・・と
???と
あれ?どっち?って同じ反応をして
一瞬笑う




でも
そのあと

あぁ、そうか!と



わたしは
なにか、
新しいものを見つけた気がした

新しい
微笑みがうまれた気がした




あれ?どっち?
の笑いに
もう一段

あぁ、そうか、と
優しい風が吹く







リビングの席につくと
周りの方へ
湯のみにお茶をいれて渡しているおばあちゃん


おばあちゃんがいれたお茶は
車イスに座っている方や

自分でお茶をいれることが出来ない方の前にさりげなく置かれている。




食事中、
おばあちゃんが
おばあちゃんに
ティッシュを取ってあげたり

ほら、
口からこぼれてるよ、と

食事介助の必要な方へ、
拭いてあげて、と
わたしたち職員に
ティッシュを取ってあげたり


毎日毎日、
誰かが誰かに
優しくしている



いつもの
毎日の
見慣れたことだから
毎日のそんな場面に
特別なスポットライトがあたることはなかったのに


そういえば、と
毎日のさりげない優しさを
あらためて振り返ると

涙がたくさんあふれてきた





いつも
誰かが誰かに優しくしている

いつも、
人は人に優しくしたいんだ



おばあちゃんもある意味
職員の一部のように
自分のできることで
自分の位置から
行動を起こしているんだ

おばあちゃんもある意味
職員の一部


介護する人、される人
あの人、この人
右、左


真ん中は壁ではなくて
優しい風が吹いている


真ん中、って
そんな場所なんだ


キラリ、
見つけた
新しいなにか、は

ずっと前から
元々あったものだった


毎日に、毎日に、
その場面に、その場面に、

スポットライトをあてるんだ
スポットライトをあて続けるんだ



優しい風が吹いている
真ん中で



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