TURN 21 -Part 2- | Chord Brainchild
Mon, September 15, 2008

TURN 21 -Part 2-

テーマ:R2

アーカーシャの剣を囲んでいた世界が、まるでガラスが割れたかのように崩れていく。


21


「あー、始まる」

マリアンヌは心底この瞬間を待ち望んでいたようだった。

優しい色合いだったアーカーシャの剣の形式から一変し、灰色のコンクリートで固められたような冷たい景色へと変わる。

「アーカーシャの剣が神を殺すの」

うっとりと言った感じのマリアンヌ発言。

C.C.は黙ってその様子を見ていた。

「さあ、後は我らの刻印を一つにすれば、新しい世界が始まる」

そう言って近づいてくるシャルル。


21


「ルルーシュ。君は何のために世界を手に入れようとした」

スザクは動かずにルルーシュに尋ねた。

ルルーシュは静かに答える。

「くだらない質問をするな。俺はナナリーの・・・」

「ナナリーをいいわけに使うのか」

スザクの指摘は手厳しかった。

歯を食いしばったルルーシュだったが、少し振り返り、スザクを見ていった。

「そうだな。俺は、それが守りたいと思うすべてのために戦ってきた」

「結果を求めるなら、何かをなさねばならない」

「そのための手段は何かを否定することに繋がる」

「だったら」

「だが、俺は」

間近に来るシャルル、後ずさるルルーシュ。

そして、C.C.をかばうようにして、シャルルと対峙する。

「俺はお前を、お前の考えを認めない」

眉間にしわを寄せるシャルル。

「人はなぜ嘘をつくのか。それは何かと争うためじゃない。何かを求めるからだ」

その発言を聞いて、C.C.が反応する。

「ありのままでいい世界とは、変化がない。生きるとは言わない。思い出の世界に等しい。完結した閉じた世界。俺は嫌だな」

「ルルーシュ。それは私たちも否定すると言うこと?」

優しそうに聞こえるが、きつい母の指摘。

「母さんの願いは、皇帝と同じなのですか?」

「ばらばらだったみんながまた一つになることはよいことだわ。死んだ人とも一つになれるのよ。ユーフェミアだって」

顔をしかめるスザク。

「やはりそうか。お前たちはそれをいいことだと思っている。しかし、それは押しつけた善意だ。悪意と何ら変わりはない」

「みな、いずれわかるときが来る」

シャルルはそう言った。

「そんな時は来ない!!!」

ルルーシュはふらりと頭を垂れた。

「一つだけはっきりしていることがある。お前たちは俺とナナリーに善意を施したつもりかもしれない。しかし・・・お前たちは、俺とナナリーを捨てたんだよ!!」

顔を上げるルルーシュ。

「でもそれは守ろうとして」

「日本とブリタニアの戦争を止めなかったのはなぜだ」

それを指摘され、反論できないマリアンヌ。

「計画を優先したお前たちは、もう俺たちが生きていようと死んでいようと関係がなかったんだ。だから捨てた。自己満足の言い訳だけ残して」

「それは違うわ」

はっきり否定するマリアンヌ。

「今言っただろう。死んだ人とも一つになれると。未来なんか見ていないんだ」
「未来はラグナレクの接続、その先にある。ナナリーの言った優しい世界は」

「違う!!」

ルルーシュは力一杯否定した。

「お前たちが言っているのは自分に優しい世界だ。でも、ナナリーが望んだ世界は、きっと、他人に優しくなれる世界なんだ」
『そうかもしれない。少なくともユフィは最期までルルーシュがゼロだとは言わなかった。シャーリーだって。だから僕は』

スザクはルルーシュの発言を聞いてそう思っていた。

「だとしてもそれがなんだ?すでにラグナレクの接続は始まっている」

「どうかな。俺はゼロ。奇跡を起こす男だ」

そう言って、コンタクトを外す。

ギアスの目が現れる。

「ギアスなどわしには通じぬ。他の者にしても」

「いいや。もう一人いるじゃないか」

気づくシャルル。血相が変わる。

「そうだ。Cの世界は人類の意志」

腕を広げ天を仰ぐルルーシュ。

「そして、人は平等ではない。共にお前の言葉だ」

スザクもC.C.も黙ってそれを見守る。

「平等ではないが故の俺の力を知っているな」

「愚かなりルルーシュ!王の力では神に勝てぬ!」

シャルルは怒っているようだった。

だが、ルルーシュは天を仰ぐ。

「勝ち負けじゃない。これは願いだ。そう。俺は今こそ自分を知った」

そして、ルルーシュは言う。

その言葉はアーカーシャの剣内で響き渡る。

「神よ!集合無意識よ!時の歩みを、止めないでくれ!」
マリアンヌは異常に気づきルルーシュを止めに入る。

「ルルーシュ、あなたって子は」

だが、スザクの剣でそれは抑えられる。

「こんなことは誰も、ユフィも望んではいなかった」

「ユフィと話しをさせてあげるために助けたのよ」

「それを押しつけと言うんだ!」
スザクはひるまなかった。

「出来るはずがない。神に、人類そのものに」

大きく構えていたシャルルだったが。

「それでも俺は!」

ルルーシュの想いが強くなる。

そして、彼の右目にもギアスが生まれた。

「明日が欲しい!!」

動揺するシャルル。

天にはギアスマークが。

天に伸びた渦巻き状の奇妙な物体が上から崩壊していく。

「そんな!?」

歯車も崩壊を始めた。

「(聞き取れない)エレベーターが。わしとマリアンヌの、兄さんの夢が朽ちていく・・・」

「シャルル、もうやめよう。おこがましいことだったんだよ、これは」

C.C.はそう言って体育座りをする。

「C.C.、まだ我らの刻印がある限りは」

あがくシャルル。だがしかし、彼の肉体の消失が始まる。

「これが嘘ではない、現実の答えだ」

ルルーシュはそう告げた。

シャルルは足下から消失していく。

夫に駆け寄る妻。

「あなた」

だがしかし、妻もまた消失が始まる。

「よくも!!わしは不老不死のはずなのに。飲み込まれる!?Cの世界に」

「でも、C.C.は?C.C.はどうして消えないの?」

マリアンヌはC.C.を見た。

「この計画に賛成していたんじゃ」

「すまない。気づいてしまったんだ。お前たちは、自分が好きなだけだと」


 愛に飢えていたC.C.らしい。

 そう言うことには敏感か。


「違う。ルルーシュやナナリーのことだって」

否定するマリアンヌ。

「お前たちは知っているのか?ナナリーの笑顔の意味を」

「笑顔?」

「なぜわからないんだ。ナナリーは目も見えず、歩くことも出来なかった。だが、世の中には自分一人では出来ないことがあるって知っていたんだよ」

ルルーシュは目に涙を浮かべて続ける。

「ナナリーは、ナナリーの笑顔は、せめてもの感謝の気持ちなんだ!」

「そのようなごまかしこそが」

怒りなのか、シャルルの目つきは鋭い。

「それを嘘だとは言わせない!!言わせてなるものか!現実を見ることなく、高見に立って俺たちを楽しげに観察し。ふざけるな!!事実は一つだけだ。お前たち親は、俺とナナリーを捨てたんだよ!」
シャルルはついに動いた。

妻を押しのけて、ルルーシュに迫る。

そして、まだ残っている上半身で突進し、ルルーシュの首を掴んだ。

攻撃を仕掛けようとするスザク。

「スザク。手を出すな」

ルルーシュは首を捕まれても動じなかった。

次第に、シャルルの腕も消失を始める。

「わしを拒めば、その先にあるのは、あやつの、シュナイゼルの世界だぞ!善意と悪意は所詮、一枚のカードの裏表。それでも貴様は!」

「だとして、お前の世界は俺が否定する。消え失せろ!!」

ルルーシュの叫びのせいか、シャルルは吹き飛ばされ、マリアンヌとともに消えていった。


「あ!!そんな・・・」

ビスマルクは何かを感じ取る。

「やはりそうかい?」

シュナイゼルに問われて、ビスマルクは、陛下が・・・と繰り返した。


「C.C.、お前も行くだろう?」

「死ぬ時ぐらいは笑って欲しいだろう。お前たちこそ、これからどうするんだ」

C.C.の声には元気がなかった。

喪失感のような。

「シャルルたちの計画を否定し、現実を、時の歩みを進めることを選んだ。だが」

「ああ。ルルーシュはユフィの敵だ」

スザクは剣をかざす。


 って、スザクはナナリーの敵だろう?


ルルーシュはスザクに振り返り、あっさりと言った。

「だから?」



1ヶ月後。

「あの、フレイヤ弾頭の被災から、一ヶ月が経ちました。本日はシャルル皇帝陛下より重大な発表があるとのことでペンドラゴン後宮より国際生中継にてお伝えします」

キャスター、ミレイがTVにてそう言った。

「ひと月の間、公の場にお出ましになられなかった皇帝陛下ですが」


「陛下は行方不明とか言ってなかった?」

と、カリーヌ。

「報告してきたビスマルク本人がいないのでは・・・」
ギネヴィア。

「そんなことより、シュナイゼルたちは・・・?」

オデュッセウスもその場にいた。

皇族は勢揃いである。

シュナイゼル、コーネリアを除いて。

「さあ?カンボジアでは連絡も」

ギネヴィアが答えた。

そして、皇帝が現れる。

「皇帝陛下、ご入来!」

兵士の一声で皇帝が現れる。


細身。

黒のズボン。

まるで制服・・・

群衆は驚く。

「陛下は?」

「え、な、何で?」

アッシュフォード学園の制服を着た少年は皇帝陛下が座るいすに堂々と座った。


その映像を見て、ミレイも驚き、

リヴァルも何が起こっているのかわからない様子だった。

「ええ!!そんな・・・」


21


「うそ・・・・・・・・・どうして?」

カレン、黒の騎士団員たちも驚きのあまり、声も出ない。


新皇帝は足を組んだ。

「私が、第99代ブリタニア皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです」


「なんと・・・」

ビスマルクはつぶやいた。

ナイトオブラウンズもこの様子を見ている。

「ルルーシュ・・・」

ジノはそうつぶやいた。


 そうだったね。

 学園で知り合っていた。


「えっ!?ホントに」

カリーヌの発言に付け足すようにして

「生きていた?」

と、ギネヴィアが言う。

ルルーシュもその発言を聞いていた。

「そうです、姉上。地獄のそこから舞い戻って参りました」

オデュッセウスが前に出る。

「よかったよ、ルルーシュ。ナナリーが見つかったときにもしかしたらと思ったけど・・・しかし、いささか冗談が過ぎるんじゃないか?そこは父上の」

ルルーシュは見下して答える。

「第98代皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアは、私が殺した」

「は?」

何の冗談を言っているんだと言わんばかりのオデュッセウスの反応。

周りはざわめき始める。

「よって、次の皇帝には私がなる」

「何言ってんの?ありえない」

カリーヌがわめく。

ギネヴィアは振り返り、後ろに控えている兵士にルルーシュを排除するように命じる。

「皇帝陛下を嗜虐した大罪人です」

兵士は槍を持って突進する。

ルルーシュは微動だにしない。

かかっていた3人の兵士は、あっという間にその場に倒れる。

上からスザクが降りてきたのだ。(飛んできたのほうが正しいか?)

落下中に攻撃を完了し、きれいに着地する。

ルルーシュの目の前に。



「スザク・・・どうして?」

カレンはまたもや困惑していた。



「紹介しよう。我が騎士、枢木スザク。彼にはラウンズを超えるラウンズとして、ナイトオブゼロの称号を与える」

民衆も生放送でこれを見ている。

全世界でこれが放送されているわけだ。

「あの方と、スザクが?」

神楽耶も驚いているようだった。

スザクがそこにいることに。


 ついに来たよ!待ち望んでたこの瞬間。

 スザクとルルが共に!!

 あー、いいね。

 ときめく。


「いけないよ、ルルーシュ。枢木卿も。国際中継で、こんな悪ふざけを」

オデュッセウスがルルーシュの真ん前に立つ。

「そうですか。ではわかりやすくお話ししましょう」

ルルーシュはそう言って立ち上がる。

「我を認めよ!!!」

両目となったギアスを発動。

「だから、そんな冗談はもうやめないか・・・」

オデュッセウスの発言が途中で止まる。

ギアスにかかった。

「イエス、ユア マジェスティ」

それに続くように、その場にいた全員は声をそろえて言う。

「オール ハイル ルルーシュ!」

その様子を物陰から見つめるC.C.


 あれ?C.C.まだいるの?



「ありがとうルルーシュ。君が表に出てくれたのなら、もはや問題はない」

シュナイゼルもこの国際中継を見ていた。


 なんの問題があったのだろうか。

 そして、シュナイゼルは何を企んで・・・


「しかし、なぜ枢木まで」

コーネリアの問いにカノンが答える。

「もともと裏切りの連続で成り上がった男ですから」

「かまわないさ。ルルーシュにすべて差し上げるとしよう」

シュナイゼルは手に、白のチェス駒を持っていた。

「ブリタニアという国すらね。問題はその先にある。世界を握るのはルルーシュのギアスか、それとも・・・」

不敵な笑み。



 だから、こんなんで終わるの!?

 っておもってましたけど。

 昨日の見てて、何となくちゃんと終わるような気がしています。

 

 大変長らくお待たせいたしました。

 溜めていると、最新情報が得られている状況での書き込みのために、少々コメントが少なく・・・

 書いている意味がないような季もいたしますが。

 通常で授業が始まれば、ね・・・

 もっと、なかなか大変なことにも・・・


 ただ、今月で最終回ですので。

 とりあえず、続きがあるとしても、R2を書き上げるのみで。

 それ以上は無理でしょうね。



 でもまあ、これを読んで楽しんでいただけていれば幸いです。



 そして、TURN24に向けて。

 ルルーシュがんばれ!!

 負けるな!!