初めて目にした時から、この桜の木に惹かれた。

これは三年程前の姿で、流れるように参道まで伸びていた枝は残念ながら切られてしまい、この圧倒的に美しく気高い様子はもう目にする事はできない。

ずいぶんな樹齢らしく、今は根の治療中だった。
今年もうっとりするような満開の姿を見せてくれる事を楽しみにしている。





この桜の木には、この曲が似合う。

源氏に所縁があるというこの神社で桜を眺めながらこの曲を聴いていて、静御前の思いを描いてみたくなった。そして書き上げたのがこの短編。

『静御前』 小説家になろうバージョン



物語について……ずっと溜め込んできた事、描きたい事は描ききったのかな、と最近思う。
平成という時間が終わる前に、その時間の中で成長してきた自分の心を物語というカタチで紡ぎきれた。
この時間の中に、自分の証を残せた。
言葉の欠片の一片も残さず。だから、悔いはない。

けれどやっぱり、何かを描いていないと落ち着かない。
だから、言葉を、物語を紡ぎ続けるのだろう。これからも……。