ずっと小5までの記憶がないと思っていた
フラッシュバックを重ねているうちに
少しずつ現れてきた
幼稚園、小学生の各学年と
私の目に映っている情景は
そのほとんど全部に
大きな真っ黒な縁がついていて
その一部、真ん中より少し上に小さく
景色や音のある穴のような部分があって
そこが動画になっている
以前にもいくつかの情景が浮かんで
それは
'記憶が消えゆく様'
なのかと思っていたけど
ほとんど全てがそうなっていることから
そうではなかったと気づいた
恐らく極幼少期から小5くらいまでずっと
私が外界を眺める眼は
薄目もしくは半目だった
記憶自体が少ないのは
それ以外は眼を閉じていた
恐らく
物理的に閉じていたことと
感情や感覚を閉じていたことの
両方だろう
過覚醒=警戒と回避の状態と
解離という意識の逃亡の混濁
こんなに幼く
外界が怖くてまともに
眼を見開くことができなかったんだと思う
それがそのまま記憶されていた
幼稚園や小学生以前から繰り返し
祖母や叔母からの
執拗な叱責と暴言に晒され
祖母による親族への叱責と暴言と支配
の姿を眼前で晒され続けて
大人はたくさんいたのに
誰一人助けてくれない果てしない時間
そこを離れた家庭でも
父には祖母の生写しのように支配され
母への抑圧を眼前で晒され続けて
安全であるはずの
家庭でさえそんなだったから
家を離れた世界、外界は
それは言葉にできぬほどの
訳の分からぬ恐ろしい
世界のように
私は怯えていたんだろうと思う
だから感情や感覚さえも全部
凍りついてしまっていたんだと思う
寝て自分の世界に逃げ込んでも
毎夜毎夜
やたらリアルな幽霊や怪獣、UFOの夢
に怯え
小5まで毎晩のように夜尿症に苦しんだ
安全を求めて家に帰っても
家はすでに安心できる場所でなかった
どこにも居場所がない根無草
ただその薄目が開いた瞬間の記憶もある
小5の最後の記憶
クラブという時間割の中で
美術を選んで
ある時コーヒーカップのデッサンをした
教師による講評を皆で聞く場面
何を言われるか無視されるかと
怯えていたのに
彼は満面の笑みで皆にその絵の
素晴らしさを説いた
その瞬間に私の目は
カッと開いた
眩しい光が一気に入り込んだ
生まれて11年間で初めて
自分が存在することを
認めてもらえたような
許してもらえたような
言葉にならない
解放されたような感情を覚えている
ただ
何かがそれから開けるような淡い期待も
ふいに上気した母の
「今日でここは最後
もうここには帰ってこないのよ」
という
私には現実身がない
けれどとても突然でリアルな
引越しという出来事で
消えた
脳の中のzipファイルが
自動的に解凍され続けている
勝手に垂れ流されているような感覚
それが人の自然治癒のプロセスに
必要な健全な現象なのか
それが精神障害の破滅的結果に至る
収拾不能なプロセスの一途上なのか
私は知らないし分からない
主治医は前者だと言う
そう言うしかないのかもしれない
こうしている間も
左胸から左耳裏に至る激しい動悸と
心臓の器官形態が浮かぶような振動
胸から腹の痛みとざわつきの苦しさが
止まらない
身体的に見れば狭心症と診断されるのか
ならばいっそ心筋梗塞に進んで
50年超の
生贄→洗脳→支配→依存という
つまらない構図に苛まれた
つまらない苦しみから離れたい
ありがとうございました