記憶には、色んな種類がある。
漢字を覚えるような記憶や、道を覚えるような記憶。
でも、この漢字を覚える時も、道を覚える時も、何か意味のあることをくっつけると覚えやすく忘れにくい。
ただ逆に、忘れたい記憶でも、そこに感情がくっついていると、忘れたと思っていたことでも、ずっと心の奥底に潜んでいることになる。
この奥底に潜んだ記憶を全て持っていてくれたのが、インナーチャイルド。
この記憶には重さがある。
違う言い方をするなら、周波数を持ってる。
重い周波数が「地下10階」だとして、一番軽い周波数が「地上10階」だとする。
重い記憶は、自己否定・屈辱・恨み・憎しみ・痛み・悲しみ・・・
といったネガティブな周波数。
この重い記憶が悪いとか、良いとかそういうことではなく、
この世には、「鏡の法則」や「引き寄せの法則」が存在してしまっているから、
地下10階にいるという重い周波数に引き寄せられるのは、同じ重い10の周波数。
地下10階にいる限り、自己否定や、恨み、憎しみの場所から抜け出ることはできない。
地上に出るためには、この周波数を軽くしていく必要がある。
周波数を軽くする = インナーチャイルドが持った記憶にくっついた感情を外していくこと。
記憶にくっついた感情とは、
クリスマスの日に、あなたが、誰か好きな人にフラれたとしたら、あなたにとって、クリスマスは
「好きな人にフラれた日」になる。
クリスマスの日は、あくまでもクリスマスの日というだけなのに、そこに感情がくっついた。
以前、認知症の研修を受けた時、講師をしてくれた医師が、こんな話しをしてくれた。
デイサービスに通っている、おばあさんがいました。
そのおばあさんは、シャワーを浴びるのをとても嫌がったのです。
介護士の方達が、何度誘導しても嫌がりました。
ある介護士さんが、どうしてそんなにシャワーが嫌なのか尋ねました。
すると、おばあさんは、次のような体験をしていたことがわかりました。
『私が幼い時、戦争があってB29が飛んで来たとき、防空壕に隠れるようサイレンが鳴った。一緒にいた兄と2人で防空壕に向かって走った。
もうすぐ防空壕だと言うとき、ずきんをかぶっていないことに気づいた。家に取りに戻ろうとした時、兄は「そんなものはどうでもいい!防空壕へ隠れろ!」そう言ってくれたのに、私は家に取りに戻った。その時、お母さんに会い、お母さんは必死で私を防空壕へ連れて行ってくれた。
防空壕が目の前に近づいた時、B29も近づき、お母さんは「早く入りなさい!!」と私の背中を押して、私を防空壕に押し込んだ。その瞬間、私の後ろで大きな爆音が響き、振り返ると、お母さんは吹き飛ばされ死んでしまっていた。私があの時、防空ずきんを取りに帰らなければ、お兄ちゃんの言うことを聞いていれば、お母さんは死ななくてすんだのに・・・。』
このおばあさんにとって、シャワーの音は、B29が空を飛び、爆弾を落とす音と同じに聞こえそのため、このおばあさんはシャワーを浴びることができなくなってしまった。
私たちにとって、シャワーはお湯や水が出て、体を洗うのに使うモノに過ぎない。
でも、このおばあさんにとっては、あの体験を思い出し、それは自分を責めると言う感情を思い出すことに結び付く。
別にシャワーを浴びなくても、人は死ぬわけではない。
でも、このおばあさんにとっては、シャワーの音は、自分が死ぬことより辛い記憶を思い出させる「嫌なモノ」になる。
私が、このおばあさんのお母さんなら、きっと思う。
「この子が死ななくて良かった。」と。
「私のことより、自分のための人生を歩んで欲しい」と思う。
おそらく、このおばあさんは、その日から
「自分を責める」と言う人生を歩んできたんだと、そう思います。
何故なら、「自分を責める」と言う重い周波数の階にいるから、誰かに褒められても
自分を褒めることができず、「自分を責める」方に意識が向くからです。
このおばあさんが、もし、インナーチャイルドの存在を知ってて、記憶にくっついた感情を外ずすことができたとしても、自分の母親が亡くなった事実の記憶は変わりません。
お母さんを亡くした悲しみが全く無くなるわけでもありません。
でも、完全に違う感情が生まれます。
それは、「感謝」です。
お母さんは、自分を助けるために自分の命を投げ出して私を助けてくれた。
自分の命より私の命を救ってくれるほど愛してくれた、自分の母親がそんな人であったことへの感謝。この愛すること、感謝の気持ちを私の人生で返していこう。
そう思えた時、このおばあさんは、地上10階の感謝の階にいますから、
「鏡の法則」「引き寄せの法則」によって、このおばあさんは、人を愛し、人に愛され、人に感謝し人に感謝される人生を歩むことになり、あの時命を救ってくれた母親に感謝することになる。
このおばあさんにとって、シャワーは、ただのシャワーになる。
だから、記憶にくっついた感情を外す必要があるんです。
もちろん、外すも外さないも、選択はあなたの自由です。