※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。


--


昂っていく心と身体を抑え込み、俺は震える手でポケットから発情抑制剤を取り出し、水も使わず噛み砕くようにして喉に押し込む。
既に今日の分は服用済みだというのに


「……AIRFRANS 0125, descend and maintain FL150.」
(エールフランス0125機、フライトレベル150(15000フィート)まで降下し、維持して下さい)


空港への進入のため、タイミングを見計らい俺は更なる降下の指示を出した。



「AIRFRANS 0125, descend and maintain FL150.」
(エールフランス0125機、フライトレベル150(15000フィート)まで降下し、維持します)


低音ボイスの持ち主が確認のために俺の言葉を繰り返す。
抑制剤を追加し、少しでも気持ちを落ち着かせたつもりだったのに、鼓動が激しくなっていくのを俺はどうすることもできない。



彼の声を、、聴いているだけなのに
心と身体が、、揺さぶられて……


「……AIRFRANS 0125, turn left heading 130, descend at pilot’s discretion and maintain 7000.」
(……エールフランス0125機、針路を130°に左旋回して、パイロットの判断で降下し7000フィートを維持して下さい)


「AIRFRANS 0125, turn left heading 130, descend at pilot’s discretion and maintain 7000.」
(エールフランス0125機、針路を130°に左旋回し、パイロットの判断で降下し7000フィートを維持します)


指示の間違いがないように、俺の言葉をリードバックする彼。
耳に心地良く響く低音ボイスに頭がクラクラとしてきて……
冷や汗が俺のこめかみを伝う。


あぁ、、
早く、、早く着陸させないと……


ーー



その後も俺は、溢れ出しそうになる感情を押し殺して、とにかく冷静さを保ち、必死で彼に指示を伝え続けた。


必要なやり取りをしているだけなのに、彼の声が耳に届くと、、全身が熱くなって息苦しくなる。
いつもやっている、もう何年もしてきた仕事だというのに。


「……AIRFRANS 0125, runway 25 cleared to land. Wind 290 at 6.」
(エールフランス0125機、滑走路25への着陸を許可します。風は290度から6ノットです)


「AIRFRANS 0125, runway 25 cleared to land.」
(エールフランス0125機、滑走路25へ着陸します)


彼の復唱を聞く度に、身体中に電気が走ったみたいに痺れて、、
痛いと感じてしまうほどに
でも、やっとここまで来た
あとは地上走行してスポット(駐機場)に入るだけ……

 
――


(注※前回も書きましたが、操縦士と管制官のやり取りはネットで調べたりはしましたが、ルリが書いていることは業務内容含め当然ながら正確なものではないです💧とにかくそこは深く考えずに読んでください🙇🏻‍♀️)