※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。


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さっそく次の日から翔くんは俺の勤務するパン工場でライン作業のアルバイトをすることになって。


俺はバイトさんを統括する業務を任せられているんだけど、基本、俺の裁量で採用していいことになっている。



それは別に俺の仕事ぶりが抜きん出ているから、とかそういう理由じゃなくて、前も言ったけど離職率の高い職場だから長く働いている社員が少なくて、たまたま俺がその職務を任せられているだけ。


でも翔くんは、
「それは違うよ!潤が真面目に働いているからそういう責任ある仕事を任せて貰えているんだと思うよ?」
って言ってくれて。


そんなことは無いと思うんだけれど、、翔くんにそう言ってもらえるのは、、うれしい。。


……あ、ちなみに。
俺がアルバイト採用関連の仕事をしているから、応募の時は俺と新入りバイトさんの顔合わせを兼ねた面接をするんだけど(とはいえ慢性人手不足だから不採用の人なんて滅多にいない)。



逆に彼らが辞めていく時に、こちらに辞職の断りを入れてくれるバイトさんなんてほとんどいない。
彼らはただシフトを入れなくなり来なくなるだけ。
最初は何も言わずにいなくなってしまう彼らに驚いたけど、、工場のライン作業のアルバイトなんてそんなものらしい。。


そしてうちはバイト希望の人には、工場指定のB5サイズの簡単な履歴書をその場で記入してもらうんだけど(だから面接の時は手ぶらで良い)。



翔くんが書いてくれた履歴書を見てみると、、
住所は俺の家の場所を記入していたし、電話番号は(もちろんというか何というか)空白だったし、卒業学校名は書かれてはいたけど(職歴は無かった)、、それが本当なのかどうかは。。


……まぁ、、いいけど。
そもそもうちみたいな日雇いバイトがたくさんいるところは、他のバイトさんだってどこまで本当のことを書いているのかなんて分からないしね。。
……本当のことを書いていたとしても、俺は自分が中学までしか行ってないから、学校名とか全然詳しくないし。。


俺は翔くんの履歴書をファイルに仕舞う。


余談だけど、翔くんが工場に来る前に、


「……体調不良が良くなったばかりなんだからそんなにすぐ働かなくても、、
もう少しゆっくりしたら?」


って、俺は翔くんを止めたんだけど。
翔くんは「早く仕事して、潤に世話になっている分をせめてお金で返したいから」って言って聞かなくて。
俺が勝手にしたことだし、、そんなの別に気にしなくていいんだけどなぁ。。
翔くんって根が律儀で真面目なんだろうな。


……うん。
翔くんの正体は分からないけれど、、


……やっぱり、しょおくんは、いいひとなんだと、思う……。。