※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。


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そうやってお喋りをしつつ熱を測った時は7度半ばくらいだったのに、俺が夜勤に出かける頃にはまた翔くんの熱が上がってきていて。


「熱がぶり返しちゃったかな。。
病院に行かなくて本当に大丈夫なの……?」


「うん大丈夫。
寝ていれば治るはずだから。
……って、潤に思いっきり世話になっている身なのに、こんなエラそうなことを言うのもどうかとは思うんだけど」


翔くんが布団に横になったまま答える。
熱のせいか顔がちょっとむくんでしまっているし、声も少しかすれていて辛そう……。。


「……エラそうなんてことはないよ。
ゆっくり休んでね?
俺は今から仕事に行かなきゃいけなくて、、しょおくんと一緒にいてあげられないのがすごく心配で心残りなんだけど……」


「子どもじゃないんだから大丈夫だよ。
ほんと、寝てれば治る。
……てか、見ず知らずの俺をひとり自宅に置いておくこと自体は、、潤は嫌じゃないの?
もし俺が泥棒だったらとか、、考えないの?」


「ふふ。
見ての通り、、うちには金目のものなんてひとつもないから大丈夫だよ」


俺は翔くんにいたずらっぽく笑いかけて。



……それに。

翔くんは、、絶対に悪いひとではないと、、思う。。

ただの勘だけど。



「……とにかく温かくして良く眠ってね。
お鍋のお粥は食べる時に温め直してね。
身体しんどいのに、やってあげられなくて本当に申し訳ないんだけど、、
りんごは剥いてラップして冷蔵庫にあるから。
inゼリーやヨーグルトもね。
飲み物と薬は枕元に置いておいたほうがいい?」


「……大丈夫だから、そんなに心配しないで。
本当に、ごめん、、
会ったばかりの俺に、、
ありがとう……」


翔くんが申し訳なさそうに、熱でちょっと充血した瞳で俺を見るから。


「お礼なんていいから。
……じゃ、俺仕事行くね。
とにかくゆっくり休んでね」


翔くんが小さく頷き目を閉じる。


俺は翔くんが眠りにつくのを見守り、、職場に向かったのだった。




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口から白い息を小さく吐き出しながら急いで家に帰る夜勤明け。
ダッシュしてるから息が上がって苦しいけど、走ってる分身体が温まって寒さを感じなくていいかも。



しょおくん、、大丈夫かなぁ……。。



心配で、、家に向かう俺の足が自然と早くなる。



右腕にかけているポリ袋にはいつものように職場で貰ってきた、販売基準に達しなかったために出荷から弾かれた無料のパン。
走る度にガサガサ音を立てている。


家にしょおくんが居るし、普段よりたくさんパンを貰ってきたんだけど。
(ちなみにパンは自由に持って帰れるように、フリースペースにどっさりと置きっぱなしになっているんだ)


しょおくん、少しは体調良くなっているかなぁ、、
熱が下がっているといいけど。。


まだ早朝だし、きっと寝ているであろう翔くんを起こさないように静かに鍵をあけ、なるべく音をたてずに部屋の中に入る。


キッチンのコンロに置いてあったお鍋の中身は空っぽ。
剥いておいたりんごも全部食べてくれたみたい。
 


……あれ?
よく見たらお鍋のそばにメモ書きが。。

すごく美味しかった
ありがとうございます



俺は翔くんを振り返る。


……身体しんどいだろうに、律儀だなぁ、、
きっと真面目なひとなんだろうな。。



……やっぱり、しょおくんはいいひとなんだ……


俺は何となく心が温かくなって、、布団に横になっている翔くんに静かに寄り添う。
そしてぐっすりと眠るその額に俺はそっと自分の手を当てた。


ん……
まだちょっと熱いかな、、