※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。


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ニノがおもむろにカバンから取り出したもの。


それはA4サイズが入るファイルで。


「……この絵、いかがでしょう?
とても、、素敵な絵だと思いませんか」


ニノがファイルを広げ、指し示したそこにあった絵は。


「「「わぁ……!」」」


俺と翔くん、相葉さんの声が重なる。


それは緑豊かな森の中で、、5人の男性が小さなカクテルパーティを開催している絵で。
みんな笑顔で、、とても楽しそうで、、
絵から幸せな笑い声が聞こえてくるかのような。


そして……その5人のモデルが。


「「「俺たちだ……」」」


再び、俺と翔くん、相葉さんの声が重なって。


「……どうです?
素晴らしい絵でしょう?」


誇らしげにそう語るニノ。


素晴らしいも何も、、
これ以上ないってくらい最高で。


……てか、、これを描いたのは、、
この絵のタッチは、、


「……気に入ってくれたのなら良かった」


大野先生がふにゃふにゃと笑う。


「……相葉さん始め皆さん気に入ってくれたみたいですし、持ち帰って早速額装しますよ」


「ち、ちょっと待ってよニノ」


俺は慌ててニノに声をかける。


こんな、、素晴らしい絵、、
そりゃみんな気に入る
気に入るに決まっているけど


これは、、紛れもなく
世界的アーティストである大野智の作品。


A4ほどのサイズで、、小さめではあるけれど
それでも最低でも7桁、いや8桁の値段はつくはず……


つか、ニノったら。。
大野先生の作品をこんなふうに、、ファイルにサラッと挟んで持ってくるって……。。


「……ん?
どうかしましたか潤くん」


ニノが含み笑いを浮かべてこちらを見ている。
俺は気を取り直してニノの方に顔を向けた。


「……いや、そりゃ、、
これ以上に素敵な絵はないけど、、
いくらなんでも、、予算オーバーだと思う……」


「……予算?
櫻井さんはセレブだから問題無いと思いますが」


ニノがふふっと口元だけで笑う。


いや、、でもそんな……
それにしたって、、


俺が反論?しようすると、大野先生がふにゃんと笑った。


「……んん?
何?カネ?
んなもんはどーでもいいよ。
そうだな、、今日のここの酒代でも奢ってくれればそれで十分だしな」


「……いえ。
いくらなんでもそういうわけには」


翔くんのキッパリとした口調とは対照的に、大野先生はのんびりと返した。


「んはは。
この絵はおいらが、、描きたくて描いただけなんだからいいんだよ。
おいらにとってもこの店は特別な、、思い入れのある店になっているんだ。
さっきの、、松本くんの話じゃないけど、、なんだか、、
……ここにいるみんなが、、この5人には、、
特別な『絆』があるような気がして」


「俺たち全員が、、昔からの知り合いみたいな、、ね」


続くニノの言葉に、翔くんが戸惑いながらも同意する。


「……そりゃ、、
俺だって、、
ここにいる全員は、、
……まるで運命のような5人だって、、感じてはいますが、、
だからといって、、飲み代で、って……」


「うははは。
そんなに言うなら、、そうだな。。
……松本くんを一生、、幸せにしてやってくれ。
松本くんはカズのギャラリーの大事な従業員で、、俺の愛するカズの大切な親友なんだ。
そんな松本くんの幸せを、、おいらは心から願う」


「え……
そんな……
大野先生……」


突然の大野先生の言葉に俺がびっくりして口を挟むと、翔くんが横から遮るように話を継いだ。


「……分かりました。
俺は絶対に潤を、、一生かけて幸せにします。
それは絶対に、、お約束しますから」


「しょ、、しょおくん……」


何だかすごい話の成り行きに俺がオドオドとしていると、大野先生がんふふと笑った。


「おーw
櫻井さん良く言ったww
おいらやカズから見て、、もし松本くんがちょっとでも不幸だと思ったら、、
その絵の代金として、、そうだな、、
1億取り立てに行こうかなww」


「1億円なんて安すぎるでしょw
せめて3億は……」


「じゃあ間をとって2億かww」


「ちょ、ちょっとニノ!
大野先生も……」


俺がアタフタしていると、翔くんが俺の肩にポンと手を置く。


「……潤、心配すんな。
俺が潤を不幸にするなんてことは、、絶対に有り得ないから」


「しょおくん……」


あまりの展開に感極まった俺は、、ただ翔くんの名を呼ぶことしかできなくて、、


「くふふ。
俺の店が、、名前の通り『愛場』になって良かった」


「え……?」


相葉さんの言葉に俺がキョトンとする。


「……あれ?
忘れちゃった?
この店の『Ai bar』って名前を潤くんは、、
『Ai bar…相葉…愛場で…愛の場所みたい』
って言ってくれたんだよ?
あの時俺は、、すごく嬉しかったんだよねぇ……」


相葉さん柔らかい微笑みを浮かべて、、俺たち4人を見渡した。


「……このお店が、、
しょーちゃんや潤くんの、、
……それから、和くんや智さんの、、
『愛の場所』になっているなら、、こんな嬉しいことはないよ……」


「……相葉さん、、
それは、、
少しだけ違うと思いますよ?」


「カズの言う通りだぞ?
相葉さん」


ニノの言葉に大野先生が同意し、翔くんが続ける。


「ここは俺たち『5人』の、、5人全員の愛の場所だと思う」


俺は大きく頷いた。


「そうだよ。
5人でいると最高に楽しくて幸せなんだから。
誰か1人欠けても絶対にダメな、、俺たち『5人』の『絆』がある『愛の場所』なんだよ」


「……みんな……」


相葉さんのつぶらな瞳がきらきらして……。


「じゅんくん
しょーちゃん
カズくん
さとしくん……
……本当に、ほんとに、ありがとう……」


相葉さんは鼻をグズグズさせて。
堪えきれなかった涙が目尻から溢れてきて……


「んはは。
相葉ちゃんは泣き虫で感動しいだな!
てかおいらの絵はどうよ?
相葉ちゃんの店に飾る絵だから、相葉ちゃんのイメージで考えてみたんだけどさ。
相葉ちゃんは優しくてあったけぇ雰囲気を持っているから、自然をモチーフにするのがいいかなって。
そんでいつも相葉ちゃんは、、辺りをぱあっと照らすような笑顔でキラキラしてるし、、例えば木漏れ日みたいに光差す緑のイメージが合うなって思って、、全体的にグリーンで彩られた新緑の森を舞台にしてみたんだけど」


「……もちろん、最高だよ……!
最高に決まってるよ……!
おれのことを、、そんなふうに思ってくれていたなんて……
……ほんとに、ほんとに、、ありがとう……」


相葉さんはもう涙を堪えることなくボロ泣きしている。
それを見ていると何だか俺までじーんとしてきて、、


「……え?
潤……?
潤も泣いてるの……?」


「……潤くんも感動しいですからね」


「んふふ。
この2人は泣き虫コンビだなぁ」


翔くんと、ニノと、大野先生が微笑んでいる。


俺は涙でぐしょぐしょになった顔でみんなを見渡した。


「俺たち、、
ずっと、、
5人で一緒にいようね……!」


「もちろんだよ!」


「……仕方ないですね」


「またカズはそんなこと言って。
嬉しいくせに」


「はは。
……この絆は、、きっと永遠なんだろうな……」


誰も翔くんの言葉にあえて返事はしなかったけど。
みんなの穏やかな表情が肯定を物語っていて……


「……よし!
とりあえず今夜はみんなで楽しく飲もうよ!
この絵みたいにさ!」


「「「「さんせーい!」」」」


俺の言葉に、4人の声が重なり、、
一瞬の沈黙のあと、皆でどっと笑う。


「では……」


俺の掛け声に、全員でグラスを持つ。


そして……


「「「「「かんぱーい!!」」」」」



「時計じかけのアンブレラ」
The end💖💜💚💙💛



赤ずきんさんの絵です)




ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。

あとがきも書くのでそちらもどうぞよろしくお願いします。


注1※潤くんが相葉ちゃんのお店を『愛の場所』と言ったエピソードは第14話参照です…念の為(汗)


注2※上記赤ずきんさんの絵は、ご本人さまから使用と掲載の許可をいただいております。
赤ずきんさん、ありがとうございます。