※このお話は個人の妄想(BL)であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。


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「いらっしゃいませー!
……あれ?
しょーちゃん、じゅんくん!!
水曜日じゃないけど来てくれたんだー!」


相葉さんがぱあっと辺りを照らすようないつもの笑顔でお店の中に迎え入れてくれる。


翔くんが仕事から帰ってきて。
せっかくだから外で夕飯を食べて飲みにも行こうって話になって。
そうなると、お酒も食事も美味しくて、1番居心地の良いお店といえば、やっぱり相葉さんのところで。


「……あれ?」


「おや?
潤くんと櫻井さんじゃありませんか」


先客としてそこにいたのはニノで。
隣には大野先生。


「……ニノ、、
来てたんだ……」


俺はニノに声をかけ、大野先生にも「こんばんは」とペコリと頭を下げる。


「……時々この店に飲みに来てるって前に言ったじゃないですか。
潤くんこそ、櫻井さんと2人で仲良く来たってことは……」


「……え?
あ、うん、、
その……」


俺がごにょごにょと口ごもっていると、何もかも見透かしているかのような薄茶の瞳がわずかに細められ、優しいアーチ型を描いた。


「良かったですね。
櫻井さん、潤くんを大切にしてあげてくださいよ。
もちろん、潤くんも櫻井さんを大切にね」


いきなり話を振られて翔くんはちょっと驚いていたようだったけど。


「……もちろん、潤は俺の誰よりも大切な恋人ですよ」


「ちょっ……!
しょおくんてば……」


サラっと答える翔くんに俺は恥ずかしくて慌てふためく。


「……さすが櫻井さん。
堂々としていますね」


「隠すようなことは何もしていませんからね」


ニノの言葉に翔くんが鷹揚に微笑んで。


「……ところで、、
そちらの方は、、
……もし良かったら、紹介していただいても?」


翔くんが大野先生に穏やかに視線を向ける。


するとニノが答える前に、大野先生が口を開いた。


「俺は大野 智。
ニノの、、カズの恋人だよ」


俺はびっくりして大野先生を振り返る。
いや、ニノとの関係をあっさりバラすのにも驚いたけど、それ以上に、『大野 智』ってフルネームで自己紹介したことに。


だって。
大野先生は世間に騒がれたくないから顔出しをしていなくて……。
世界的アーチストとしての自分の正体を基本的には伏せているのに。


そりゃ、、
『大野 智』って氏名自体は、、そんなに珍しくない苗字と名前だとは思うけど。。
櫻井さんはニノの画廊のお客様で、、大野先生の展示室の鑑賞もしたことがあるから、、
きっと『大野 智』って聞いたら『世界的現代アーティストの大野 智』ってすぐに翔くんの頭の中で繋がっちゃうと思うんだよね……。。


前に大野先生に「相葉さんの店に飾る絵を探している」って話をした時に翔くんの話をしたから、、大野先生もそのことは予想がつくはずなのに。


い、いいのかな……。。

大丈夫、、なんだろうか……。。