Y.Y.  side


「裕貴、、
俺、、BLUE GIANTをBLUE NOTEの日に観に行くけど……」


意味深な目つきで俺を見る殿。
ゆっくりと瞬きした長いまつ毛がバサッと音をたてそうな。


そ、その流し目は期待してもいいの?!?!


俺はいつも無邪気なフリして殿に愛のモーションをかけてる(←死語。。)んだけど。


ん?いいだろ別に。
若さの特権。
好きなら好きと言わなくちゃ!


だけど殿は俺のことなんか全く眼中になくて。


でも、、すごく俺のことを可愛がってくれているのは確かで。


俺はその立場を利用して、、とにかく押しに押しまくってる。

(ほとんど相手にされてないけど…涙)



だって殿は、、
すごく綺麗で、、
それでいて強い人で、、
なのに儚い、、


こんな人、、男だろーがなんだろーが、好きになってしまうのは当然じゃない?


だけど色々な、、たくさんの人がこの美しいひとに愛を囁いても。
誰もこの人の心を捉えることはできない。
だってこの人の心のなかには。


…………いや!!
そんなこと気にしていても仕方がない!
だって殿が俺に声をかけてくれたんだ!
こんな千載一遇のチャーーーンス!!
何としてもモノにしてみせる!!


が、マネージャーの無常な声が俺の欲望、、いや希望を打ち砕く。


「撮影が詰まっていてその日は厳しいですね」


そ、そんな。


く、く、くそー!


…………!!


でも俺は諦めない!!


俺は今やってる金曜ドラマの中と同じノリで水を求め、、雨乞いをする(コラ)


いやもちろん!


仕事は大事よ?
それこそ命と同じくらい。


でもでも!
殿が!
殿からのあんな、、意味深で思わせぶりなお誘い!
もしかしたら、、もしかしたら!!


絶対俺、殿と行きたい!!(大声)


俺の必死すぎる神通力が効果を発揮したのか!
なんと、、雨のため撮休!!


万歳!
ブラボー!
トレビアン!


……いや、、スタッフの方々、スミマセン。。
次の撮影の時、NG無しで頑張りますから!!


俺は殿に
「やった!殿!
行けることになりました!!」


とソッコー連絡したらば。


殿も「やったな」って喜んでくれて。
ああもう、、それだけで俺は天にも昇りそうな歓喜&幸福&欣喜雀躍……ハーレルヤ🎶ハーレルヤ🎶


当日も俺はルンルンで殿スタグラムをチェック。
もちろん通知もしてるけど、誰よりも早く「いいね」をしたいから、ヒマさえあれば見てるんだ💜


あ!
殿がインスタ更新してる!


って、、あれ、、?


殿が、、あの人の言葉展に行ったってストーリーズを上げてる、、


……。。


まぁいっか。。


とにかく今日は楽しもう。。


隣りに座れるカップルシート、、じゃなくてボックスのペアシートだから、、ますますヨコシマな気持ちが生まれる俺だけど。。。
そこは許して……。。




ーーーーー



殿が泣いてる……。。


映画に感動して。


俺、、この映画の主役やらせてもらって良かった……!!


俺は殿の涙の邪魔をしちゃいけないと思って。
殿が座ってる時に背もたれの方へ行ったら俺は前のめりになったり、その逆になったり。
とにかく顔を見ないようにしてた。
殿が自由に泣けるように。


映画が終わってから殿は、


「裕貴、、素晴らしかった、、泣いちゃったよ」


って。


そんなこと言われて、、俺も泣きそう。


殿こそ、、いつも俺や家臣団のためにありがとう……。。



ーーーーー



映画が終わって外に出て。
2人で少し歩く。


殿の目はまだ少し赤い。


やっぱり、、綺麗だな、、


俺は隣りにいる殿の手を握ろうとして、、そっと腕を伸ばす。


するとその時。


車が横付けされ、、誰かが降りてきた。



ーーーーー



「潤、、
お疲れ様……。
楽しかった?」


え?え?
この人、、


俺が慌てていると、殿はその大きな瞳を見開いた。


「しょおく、、
なんで、、」


「なんでって。
あんな大河専用インスタに急に俺に関係するプラベのこと載せてさ。
……潤が淋しくて、、そろそろ俺に構ってほしいのかなって思って。
マネージャーに潤の居場所を聞いて迎えに来た」


「そんな、、」


「違った?」


余裕の目で殿を見つめる櫻井さんの眼差し。
殿は真っ赤になって微かに震えていて、、もう泣きそう。


「……違ったなら帰るけど」


櫻井さんは躊躇なく車に乗り込もうとする。


殿は「あ……」と手を伸ばし、、俺を困ったように振り返った。


俺はにかっと顔に笑顔をつくる。


「殿!行ってください!
俺もこれからラジオなので時間ないですし!」


殿は潤んだ瞳で一瞬だけ俺を見て、、


「……ごめん裕貴、、ありがとう……」


そしてもう振り返らずに櫻井さんの方へ駆け寄る。


すると櫻井さんが俺をチラっと見た。


「……潤が世話になったね。
今度またお礼するから」


「いえそんな、、」


俺がそれ以上言えず口ごもると、櫻井さんはふっと笑い、、2人を乗せた車は走り去ってしまった。



ーーーーー



1人取り残された俺はため息をつき、歩き出す。


……さっきの殿。
泣きそうだったけど。
すごく嬉しそうだった。


……良かったなぁ……


殿…
泣いてええんやで……
今夜は愛する人の胸の中で。


てか、、
『BLUE GIANT』って、、
『あまりに高温なため赤を通りこし、青く光る巨星、青色巨星』
って意味なんだけど。
さっきの櫻井さん、なんかそんな感じだったなぁ、、
あの人のメンカラって赤って聞いたことがあるけど、、

……なんか、赤を通り越してメラメラと青い炎が背後に見えたような。


……嫉妬するなら、殿をほっとかなければ、、

……裏切らなければいいのに。
まぁ、、色んな大人の事情があるんだろうけど。。


……でも殿も、、俺とのことで、、櫻井さんを煽っているのかもしれないな、、



……。。



俺は再びため息をつき、仕事に向かうことにした。



ーーーーー



ラジオの仕事を終え、俺は家に帰る。


ふとポケットの中を探ると、、今日のデートの記念のコースター。


今夜はこのコースター敷いてカクテル作って飲もうかな。
ブルーノートで殿と一緒に飲んだスペシャルカクテルの『So Blue』。
あれ作れるかなぁ。


ブルーノート東京のTwitterにレシピ的なものがあったから、俺は真似て作ってみる。


お、なかなか上手くできた🎶
また殿と一緒に飲みたいなぁ。


俺はグラスをコースターの上に置く。


だからコースターがふやけてるのはグラスのせいであって、俺が流した涙のせいじゃないからね?




(おしまい)


──────────


こんにちは。

やまゆ&翔潤爆弾が凄かったですね。

みんなが色々書いてくれてるから、ルリはもう今回はいいかな、、と思ってスルーしようかと思ったんだけど。。

やっぱり静観できなくて(←)慌てて書いちゃいました(笑)

急いで書いたので、時系列とか色々、変なところがあると思うけどごめんなさい……🙇‍♀️

お話だからいいよねひらめき笑