「『春はあげもの。』

何年か前のこのウイスキーの広告コピーってめっちゃ秀逸だよなあ!

くー!美味い!!」



リクエストされて俺が作った揚げ物をつまみに、翔くんがハイボールを美味しそうに飲んでいる。



「…やうやう太くなりゆく腹際、、って、こっちは誰が考えたんだろうね?

てか、最近翔くん痩せてスマートになったけど、油断するとすぐお腹にお肉がついちゃうよ?大丈夫?」



俺は翔くんのウエスト辺りを軽くつまんだ。


「キャハ☆くすぐったい!
潤が俺に触ってくれるのはいいんだけど、もっとエ ロい触り方にしてよ!(`・3´)」



俺は翔くんを華麗にスルー(死語)する。



「…今触った感じ、まだ大丈夫だけど、翔くんはむくみやすい体質でもあるし、常に食生活には気をつけなきゃね?」



「…いやでもさ、最近ドラマ撮影とかでめっちゃ忙しくて生活不規則になるしさ、バラエティでは激辛パスタ食わなきゃいけなかったりとかさ、摂生しにくいんだよー!」



翔くんはリスみたいに頬を膨らませもぐもぐ食べながら口を尖らせる。



「…そんなこと言ってたら、サウナ行った時、またお腹だけ隠すハメになるよ?

下半身は隠さないのに」



「あっ!そのエピソード!

潤は俺の番組良く見てくれてるよねー!

俺嬉しいっ♡感激!」



喜んだ翔くんに俺はガバッと抱きつかれる。

そのまま翔くんに上半身を撫で上げられ、俺の身体のラインをチェックされた。



「…潤は相変わらずほっそいなぁー。

なんなのこの腰。

ただ痩せてるだけじゃなくて体幹もあるし筋肉のつき方も綺麗だし…。

最近寝てばっかりいるくせに何でぷよらないの?」



「…失礼だなぁ。

寝てばっかりって言ってもちゃんとジム行ってトレーニングはしてるし、食生活だって気をつけてるよ?

翔くんのさっきのは言い訳じゃない?」



「…そんなこと言ったって…。。

…ライブもしばらくないから、身体作りのモチベーションも保てないし…」



翔くんが心なしかシュンとする。

俺は翔くんに元気を出してもらうために冗談のつもりで提案した。



「またセクシーグラビアで雑誌出たら?

10年以上前にやったよね?

そしたら身体作る良いモチベーションになるんじゃない?」



「えぇ?

いやぁ〜♡

需要あるかなぁ?」



そう言いながらも翔くんはウフンと片腕を上げ、誘うような目つきでもう片方の手でパンツを少しズリ下げるポーズを取る。



「需要…

あるんじゃないの?」



あまり言い過ぎると、また翔くんが良からぬ方向に調子に乗って馬鹿になるから、俺は短く返事をする。



「てかさ、潤だって同じ雑誌でグラビアやってたじゃん!

今度は一緒に出ようよ!」



「…は?」



「うん!

俺と潤の2人で一緒に出るならめちゃくちゃ需要あるでしょ!

増刷に次ぐ増刷よ?」



「いやぁ、、

アラフォー男2人のセクシーグラビアなんて微妙なんじゃないかなぁ、、?」



まさか翔くんがこんなにセクシーグラビアに前向きになるとは思わなくて、俺は少々焦る。



「何言ってんだよ!

30代最後のオトコノカラダ!

俺らなら絶対イケる!

…でも確かに大人の男の知性も打ち出した方がいいかな…?

よし!

誌面上でzeroの時みたいに対談もやろうか?!

で、そのあと俺たち2人の濃 厚なカラミから、めくるめく官 能の世界へ…

『翔潤対談からの翔潤快感』だな!

どうよこのキャッチコピー?!」



「…全然ダメだと思うけど…」



「えー?

『春はあげもの。』並にイケてるコピーだと思ったのにー!」



翔くんがガッカリした顔をする。



「てか、あの時のグラビアさ?

俺は1人で撮影だったけど、潤はモデルの女性とバスタブの中にいたりさ、ベッドに入ってたりさ…。

…くそー…!色々思い出したらムカついてきた!

よし!今から同じことやるぞ!

潤と一緒にフロに入って、その後ベッドだ!」



「ええっ、、ヤだよ…」



「何でイヤなんだよ!(`・3´)」



「…しょおくんと一緒にお風呂入ると、、長くなるんだもん…」



俺が赤くなって拒否すると、翔くんがにまーっと笑った。



「…何それ?

長くしてほしいっていう前フリ?」



「ち、違うよ!

おれはただ…!」



「わかったわかった♡

ゆっくり湯船に浸かろうな♡

…あ、今夜は泡風呂にしようか?

なるべくヌルヌルにしたほうがいいよね?」



「…ちょっと?!

何考えてるのっ??」



翔くんは俺の腰に手を回す。



「はぁ、、やっぱほっそい腰!」



「ねぇ!

フリじゃないってばぁっ!

聞いてるのっ?!」



「あ、バブルバスの入浴剤どこにあったっけなー?」



俺は翔くんにガッチリと腰を掴まれ、そのまま引きずられるようにバスルームへと連行されていった。



(終)