<冬の灯火>
振り返ると君がそこで笑っているような・・・
そんな気がするのは僕の甘えだろうか?
君を失くして初めて君の存在の大きさに気がついた。
そんなことは遅いって、とっくにわかってる。
毎日の仕事の忙しさで君をないがしろにしていた自分がいた。
君との会話や、君のすべてに煩わしさを感じて別離を切り出した。
「私と仕事とどっちが大事なのよ」
そう、なじられた台詞に真剣に応えることなく唐突に渡した別れの言葉。
君は別れたくないと言い、僕はその言葉にさえも答えを出さなかった。
連絡も何もかも切断して数日が過ぎたとき・・・
ふと君がいない・・・隣の空間の寂しさが僕の心を締め付けた。
君にも仕事があり、
君にも僕と同じような仕事のストレスがあっただろう。
でも、君はそんなことを微塵も見せないで、僕の前ではいつも笑顔でいてくれた。
泣いた顔を見たのはあの別れを言った時だけだったような気がする。
今さら遅いんだ。
僕の部屋には君の幻影が現れて僕を苦しめている。
いつも君は笑い、僕を励まし、僕を愛してくれた。
その愛に僕はただ甘えていただけなんだ。
あの柔らかく心地良い時間はもう戻らない。
傷つけた心の深さを自分の涙で気がつくことになろうとは・・・
思いもしなかった。
もう君の笑顔に近づくことも許されない。
まして、愛しているなど言えるわけがない。
たとえ君が僕をまだ愛してくれていたとしても・・・僕からは言ってはいけない。
その資格が僕にはない。
もう一度あの時に戻れるなら、僕は君を二度と失くしたりはしないだろう。
今でもふと気がつくと振り返ってしまうんだ。
君が僕の名前を呼んでいるような気がしてならないから・・・
冬になろうとしている今。
君のぬくもりを感じたいと思ってしまうのはやっぱり罪なんだろう。
見渡せばイルミネーションが光りだし、冬の訪れを告げている。
そういえば去年は君とこの光の渦を見ていた。
君はその光の螺旋を「綺麗」だと言い、僕はそんな君を「綺麗」だと思った。
どこかでもう君は、僕とは違う誰かと一緒にいるのだろうか?
そんなことを考えるだけで心が寒く凍えてしまう。
自分で捨てた愛に傷つき、
その愛をもう一度手にしたいと切に願ってしまう男の姿を誰も救ってはくれないだろう。
でも願わずにはいられない。
君をまだ「愛している」と気が付いてしまったから。
そんな馬鹿げた夢を望んだ時、
冬のいたずらな風が僕の前に吹いてきた。
冷たい風に翻ったマフラーを慌てて手に戻した瞬間、僕の瞳の中に君が現れた。
幻かと思ったけれど、君はゆっくりと僕の前に歩いてくる。
時間が止まったように感じたのは一瞬だった。
君の瞳には涙が溢れている。
その涙がこぼれたとき僕の前で君が止まった。
潤んだ瞳の中に僕がいる。
その自分自身を見つけたとき、本物の馬鹿野郎がそこにいた。
「私はまだ愛してるんだけどな・・・ホントにダメなのかな?もう・・・」
そこまで君に言わせた僕が、一番君に素直にならなければならなかったのに、
最後の台詞も君に言わせてしまったなんて・・・
思わず言葉よりも先に君を抱きしめていた。
長い間触れることのできなかった君のぬくもりを確かめたかった。
あたたかかった。
独りでいるときの冷たさ。二人で生きていくことの難しさ。
他人同士が生きていくことは確かに難しい。
でも、君を失くして初めて独りで生きていくことの虚しさを感じたんだ。
あの寂しさに比べたら、二人で生きていく難しさなど何だというのだろう。
君がいなければ味わうことのなかった数々の幸せを
これからも僕は感じていいんだろうか?
資格はない僕だけど・・・君は許してくれるだろうか?
「ごめん。愛してるよ・・・」
今まで君に言えなかった言葉を君に告げた時、
君は僕の背中に腕をまわして力強く抱きしめてくる。
そのはかない力を一番欲しがったのは何よりも僕自身。
泣きじゃくる君を抱きしめ返す僕は・・・
もう君を失ったりはしない。
振り返ると君がそこで笑っているような・・・
そんな気がするのは僕の甘えだろうか?
君を失くして初めて君の存在の大きさに気がついた。
そんなことは遅いって、とっくにわかってる。
毎日の仕事の忙しさで君をないがしろにしていた自分がいた。
君との会話や、君のすべてに煩わしさを感じて別離を切り出した。
「私と仕事とどっちが大事なのよ」
そう、なじられた台詞に真剣に応えることなく唐突に渡した別れの言葉。
君は別れたくないと言い、僕はその言葉にさえも答えを出さなかった。
連絡も何もかも切断して数日が過ぎたとき・・・
ふと君がいない・・・隣の空間の寂しさが僕の心を締め付けた。
君にも仕事があり、
君にも僕と同じような仕事のストレスがあっただろう。
でも、君はそんなことを微塵も見せないで、僕の前ではいつも笑顔でいてくれた。
泣いた顔を見たのはあの別れを言った時だけだったような気がする。
今さら遅いんだ。
僕の部屋には君の幻影が現れて僕を苦しめている。
いつも君は笑い、僕を励まし、僕を愛してくれた。
その愛に僕はただ甘えていただけなんだ。
あの柔らかく心地良い時間はもう戻らない。
傷つけた心の深さを自分の涙で気がつくことになろうとは・・・
思いもしなかった。
もう君の笑顔に近づくことも許されない。
まして、愛しているなど言えるわけがない。
たとえ君が僕をまだ愛してくれていたとしても・・・僕からは言ってはいけない。
その資格が僕にはない。
もう一度あの時に戻れるなら、僕は君を二度と失くしたりはしないだろう。
今でもふと気がつくと振り返ってしまうんだ。
君が僕の名前を呼んでいるような気がしてならないから・・・
冬になろうとしている今。
君のぬくもりを感じたいと思ってしまうのはやっぱり罪なんだろう。
見渡せばイルミネーションが光りだし、冬の訪れを告げている。
そういえば去年は君とこの光の渦を見ていた。
君はその光の螺旋を「綺麗」だと言い、僕はそんな君を「綺麗」だと思った。
どこかでもう君は、僕とは違う誰かと一緒にいるのだろうか?
そんなことを考えるだけで心が寒く凍えてしまう。
自分で捨てた愛に傷つき、
その愛をもう一度手にしたいと切に願ってしまう男の姿を誰も救ってはくれないだろう。
でも願わずにはいられない。
君をまだ「愛している」と気が付いてしまったから。
そんな馬鹿げた夢を望んだ時、
冬のいたずらな風が僕の前に吹いてきた。
冷たい風に翻ったマフラーを慌てて手に戻した瞬間、僕の瞳の中に君が現れた。
幻かと思ったけれど、君はゆっくりと僕の前に歩いてくる。
時間が止まったように感じたのは一瞬だった。
君の瞳には涙が溢れている。
その涙がこぼれたとき僕の前で君が止まった。
潤んだ瞳の中に僕がいる。
その自分自身を見つけたとき、本物の馬鹿野郎がそこにいた。
「私はまだ愛してるんだけどな・・・ホントにダメなのかな?もう・・・」
そこまで君に言わせた僕が、一番君に素直にならなければならなかったのに、
最後の台詞も君に言わせてしまったなんて・・・
思わず言葉よりも先に君を抱きしめていた。
長い間触れることのできなかった君のぬくもりを確かめたかった。
あたたかかった。
独りでいるときの冷たさ。二人で生きていくことの難しさ。
他人同士が生きていくことは確かに難しい。
でも、君を失くして初めて独りで生きていくことの虚しさを感じたんだ。
あの寂しさに比べたら、二人で生きていく難しさなど何だというのだろう。
君がいなければ味わうことのなかった数々の幸せを
これからも僕は感じていいんだろうか?
資格はない僕だけど・・・君は許してくれるだろうか?
「ごめん。愛してるよ・・・」
今まで君に言えなかった言葉を君に告げた時、
君は僕の背中に腕をまわして力強く抱きしめてくる。
そのはかない力を一番欲しがったのは何よりも僕自身。
泣きじゃくる君を抱きしめ返す僕は・・・
もう君を失ったりはしない。