<葬 愛>
僕は君の何を知っているのだろう。
君の愛も・・・
君の想いも・・・
君が今何をしているのかさえ知らないというのに・・・
誰を愛し・・・
誰を望んでいるのかさえ・・・
僕の掌中に握ることもできない。
君を想い続けること、
君を遠くから見続けていること、
君はきっと、まだ知らない。
僕がどれだけ君を想っているのか・・・
君の耳に決して届くことはない。
でも、言ってしまいたくなるんだ。
この世界を壊してしまいたくなるのと同じように
君と僕との関係を壊してしまいたい。
「愛」とはただ与えるだけのものなのか
「愛」とはただ慈しむだけのものなのか
「恋」との違いは何なのか・・・
ただ相手を想い、相手も自分のことを望むことが「愛」なのか。
愛し愛される者達だけのために「愛」はあるのか・・・
僕の中にあるのは「愛」ではないのだろうか・・・
僕の君を想う気持ち・・・
この想いを「愛」とは言ってはいけないのだろうか?
君は僕のことを「友人」と呼ぶのだろう。
でも、僕は君を友人だとはこれっぽっちも思ってないんだ。
この現実のズレに君が気づくのはいつになるのだろう。
いや、気づくことは永遠にこないのだろう。
僕はずっと嘘を吐き続けるのだから。
僕が君を想うすべて。
そのすべてを冬の海に捨てると決めたのだから。
だから、冬になると思いだすんだ。
海に降る雪のように消えてなくなった「愛」
根雪になることも、氷になって残ることもない「愛」
葬った想いが「愛」だったのか「恋」だったのか
もう誰にも知られることもない。
ただ、雪が降ると心の奥がざわついているのに
僕自身驚いているんだ。
捨てたはずの想いがまだ残り火のように燻っている。
このしこりを今度は何に葬ろうか・・・
葬 愛・・・なんと難しいことなのだろう。
まだ、君を想い続ける僕がいる。