<桜>
あなたと約束したこと・・・あなたは覚えているでしょうか?
春になって、桜が咲きだすとあの小さな約束がチリチリと私の胸を焦がすんです。
あなたが今目の前にいることも信じられないのにね。
あなたはなぜ私の前にいるのでしょう?
あの時の約束を果たしてくれるためにきたのでしょうか?
私はあなたのことが好きでした・・・。そう、とても、とても好きだったんです。
高校生になって、これから新しい仲間と共に生活していくんだって・・・
張り切っていた私の目の前に現れたあなたは教師でしたね。
親友とふざけた放課後。蒸し暑い教室。校庭を走っているあなたを見るのが好きだった。
時間なんて無限にあるのだと思っていた夏。
物悲しい秋には苦手な数学を友人と共に教わりましたっけ。
スーツ姿のあなたに大人のにおいを感じ、ときめいて少しでも近づきたいって思った冬。
雪が降って寒がる私の手を握って温めてくれましたね。
その優しさは・・・罪です。そう、私は罪だと感じてしまったんですよ。
あなたの優しさは私だけのためにじゃなくて・・・生徒に対する優しさ。
あなたが簡単に触れてきた手にも気持ちが揺らぐんです。嬉しいんです。
あなたはそんなことを知りもしない。
私は・・・心に蓋をしました。3年間あなたにも親友にもこの気持ちは決して言わない。
言ってしまえば、きっとあなたは困るだろうし・・・困った顔を見るのはつらいから・・・。
だから・・・蓋をして卒業してあなたに会った時に言ってしまえばいい。
それで、ダメなら仕方がない・・・。恋はいつかは終わるんだろうって思ってましたから・・・。
でも、卒業しても勇気がでなくて。あなたは卒業生として私と会ってくれましたよね。
「来年は桜を見たいな・・・。一緒に」
笑顔で言った私の言葉にあなたは優しく「いいね。行こうか」って言ってくれたけど・・・
桜を見たい。この言葉に含んだ私の気持ちをあなたは見逃しましたよね。
あなたと見たかった桜は・・・卒業生としてではないという意味だということを・・・。
あなたの気持ちは掴めないまま・・・・私もストレートに言うこともできずに・・・。
言えても・・・「私のことをどう思ってるの?」止まり。それ以上は口からはでない。
ただ「好き」の一言がどうしても言えなかった。
自分があなたのことをどう思っているかは伝えずに、あなたの気持ちばかりを聞いてしまった。
とまどうあなた。
だから、聞かなければ良かったと後悔してあなたの車を離れた。
「わからない」
そう答えたあなたの横顔にすべてがあるのだと自分で決めつけた。
二人の間には同じ時間は流れても、決して交わることはないのだと・・・そう思った。
だから、あの時から私はあなたに逢うのをやめたんです。
心が引き裂かれる思いはしたくなかったから。あなたといることを自分からやめてしまったんです。
あれから2年。桜は咲くけど・・・あなたとは・・・後悔を何度したことか・・・。
今では・・・あなたと交わした約束が遠すぎて、あなたを今目の前にしても気持が揺らぐだけで前に進めない。
やっぱり、今でも好きなんだ・・・。自然に涙が溢れ出た。
人って・・・嬉しい時は心が感じたように体に表れる。
あなたのことを見て震えた心に反応して涙が出た。好きだっていう証拠・・・。
「久しぶり・・・だね」
変わらない心地よい声。少しためらいがちに笑い、あなたがどんどん近づいてくる。
あなたがどうして来たのかなんて、もうどうでもいいって思った。
私はあなたに一歩を踏み出そうとしている・・・。
あなたが答えてくれなくてもいいと、ただそばにいたいのだと心が波打つ。
その気持ちを伝えられたら・・・・
家の前にきたあなたに何も言えずにいる私。心を落ち着かせるのに苦労して・・・
やっと言おうと決心した私にあなたが先に言ってきた言葉。
「来年は桜を一緒に見てくれないかな?俺と一緒に・・・」
やっと抑えた涙がまた溢れ出て・・・その言葉の真意を知りたい疑問符になる。
「ごめん。ちゃんと言うよ。好きなんだ・・・・」
言葉よりも先に私があなたに抱きつく方が早かった・・・。
そしてやっと・・・長く心に蓋をして籠もった気持ちを私も伝えることができる。
泣きながらでも伝えよう・・・。もう、後悔はしたくない・・・。
「私も・・・好きです」
抱きしめた体の温かさは、あの時あの冬の日に握ってくれた手の温かさと一緒だった。
あなたと約束したこと・・・あなたは覚えているでしょうか?
春になって、桜が咲きだすとあの小さな約束がチリチリと私の胸を焦がすんです。
あなたが今目の前にいることも信じられないのにね。
あなたはなぜ私の前にいるのでしょう?
あの時の約束を果たしてくれるためにきたのでしょうか?
私はあなたのことが好きでした・・・。そう、とても、とても好きだったんです。
高校生になって、これから新しい仲間と共に生活していくんだって・・・
張り切っていた私の目の前に現れたあなたは教師でしたね。
親友とふざけた放課後。蒸し暑い教室。校庭を走っているあなたを見るのが好きだった。
時間なんて無限にあるのだと思っていた夏。
物悲しい秋には苦手な数学を友人と共に教わりましたっけ。
スーツ姿のあなたに大人のにおいを感じ、ときめいて少しでも近づきたいって思った冬。
雪が降って寒がる私の手を握って温めてくれましたね。
その優しさは・・・罪です。そう、私は罪だと感じてしまったんですよ。
あなたの優しさは私だけのためにじゃなくて・・・生徒に対する優しさ。
あなたが簡単に触れてきた手にも気持ちが揺らぐんです。嬉しいんです。
あなたはそんなことを知りもしない。
私は・・・心に蓋をしました。3年間あなたにも親友にもこの気持ちは決して言わない。
言ってしまえば、きっとあなたは困るだろうし・・・困った顔を見るのはつらいから・・・。
だから・・・蓋をして卒業してあなたに会った時に言ってしまえばいい。
それで、ダメなら仕方がない・・・。恋はいつかは終わるんだろうって思ってましたから・・・。
でも、卒業しても勇気がでなくて。あなたは卒業生として私と会ってくれましたよね。
「来年は桜を見たいな・・・。一緒に」
笑顔で言った私の言葉にあなたは優しく「いいね。行こうか」って言ってくれたけど・・・
桜を見たい。この言葉に含んだ私の気持ちをあなたは見逃しましたよね。
あなたと見たかった桜は・・・卒業生としてではないという意味だということを・・・。
あなたの気持ちは掴めないまま・・・・私もストレートに言うこともできずに・・・。
言えても・・・「私のことをどう思ってるの?」止まり。それ以上は口からはでない。
ただ「好き」の一言がどうしても言えなかった。
自分があなたのことをどう思っているかは伝えずに、あなたの気持ちばかりを聞いてしまった。
とまどうあなた。
だから、聞かなければ良かったと後悔してあなたの車を離れた。
「わからない」
そう答えたあなたの横顔にすべてがあるのだと自分で決めつけた。
二人の間には同じ時間は流れても、決して交わることはないのだと・・・そう思った。
だから、あの時から私はあなたに逢うのをやめたんです。
心が引き裂かれる思いはしたくなかったから。あなたといることを自分からやめてしまったんです。
あれから2年。桜は咲くけど・・・あなたとは・・・後悔を何度したことか・・・。
今では・・・あなたと交わした約束が遠すぎて、あなたを今目の前にしても気持が揺らぐだけで前に進めない。
やっぱり、今でも好きなんだ・・・。自然に涙が溢れ出た。
人って・・・嬉しい時は心が感じたように体に表れる。
あなたのことを見て震えた心に反応して涙が出た。好きだっていう証拠・・・。
「久しぶり・・・だね」
変わらない心地よい声。少しためらいがちに笑い、あなたがどんどん近づいてくる。
あなたがどうして来たのかなんて、もうどうでもいいって思った。
私はあなたに一歩を踏み出そうとしている・・・。
あなたが答えてくれなくてもいいと、ただそばにいたいのだと心が波打つ。
その気持ちを伝えられたら・・・・
家の前にきたあなたに何も言えずにいる私。心を落ち着かせるのに苦労して・・・
やっと言おうと決心した私にあなたが先に言ってきた言葉。
「来年は桜を一緒に見てくれないかな?俺と一緒に・・・」
やっと抑えた涙がまた溢れ出て・・・その言葉の真意を知りたい疑問符になる。
「ごめん。ちゃんと言うよ。好きなんだ・・・・」
言葉よりも先に私があなたに抱きつく方が早かった・・・。
そしてやっと・・・長く心に蓋をして籠もった気持ちを私も伝えることができる。
泣きながらでも伝えよう・・・。もう、後悔はしたくない・・・。
「私も・・・好きです」
抱きしめた体の温かさは、あの時あの冬の日に握ってくれた手の温かさと一緒だった。