ふぅ
やっと、ここまできました。


後半、かなり集中的に観て、最終話は少し気持ちに余裕を持って鑑賞できました。


全然、派手ではない。
設定も、皆にあてはまるわけではない。


でも、登場人物の、「生きていて感じる、重さややるせなさ」は、平凡に生きているはずの私の中にもあることがわかってきました。


ひたすら、「生き続けることの意味と心のありよう」を描き、観る側に問いかけるようなドラマだった、と感じます。


後半は、再び犯罪を起こした文哉の心の動きがかなり焦点化されていたように思います。


7話にて、持っていたハンマーを離そうとする彼の手が震えるさまが、今でも脳裏に浮かびます。


自分でも、自分のことがよくわからない。
だから、反省のしかたがわからない。


8話のクライマックスにて、響子と争ったときの言葉も、あまりに無神経で、静かな怒りすら覚えたほどです。


でも、実母のふるさとに向かう旅の中で、彼女の文哉に対する言動が、彼自身の心に大きく影を落としていたことがわかり、私は初めて、その心の闇にふれた気がしました。


そんな彼に対して、洋貴は、優しい言葉をかけます。


1話では、ナイフを隠し持っていたくらい、憎くてたまらなかったはずなのに。


この物語のなかで、いちばん変化が大きかったのは、彼かもしれません。


もし、双葉と出会わなかったら、そんな境地にはならなかった。
そう考えると、毎日を懸命に生きる双葉の存在が、全体に大きく影響していた、ということがわかります。


それから、耕平のうんちくは、最後まで健在でしたね。
途中出てきた、「俺は来年、アナゴさんと同い年。兄貴は、銭形警部ね」には、本編とは関係なく、へぇ~っ、と感心&びっくりでした。


人物の言葉、しぐさ、感情の流れ、それから、少し疲れた雰囲気や見た目…。
なんだかとても、「地味でも踏ん張って生活している」感がにじみ出てきていて、そういう部分は、決して絵空事ではない、自分にもそんなところはある、なんて、ダラダラと考えたりもしました。


ラスト近くの、洋貴の語り:「(響子は)時々悲しんで、時々喜んで生活している」(…文字にすると、平べったくなってしまいますが)が象徴的です。
生きる、って、そういうことの繰り返しなんだよなあ、と。


とにかく、すごく丁寧に「今を生きる人々の心」が描かれているドラマだったと思います。


進め。
悲しみの向こう側へ。


そんな、最後のダイアログが、今も、胸の中に残ります。