とても遅くなってしまいましたが
書きます。
格差社会を、「中流」にこだわる女性を中心に描いたドラマ。
林真理子さんの同名小説が原作だけあって、どのキャラも、最後までブレがなかったのが楽しかったです。
時の流れにつれて変わっていくもの、時が流れても変わらないもの。
それぞれに、ちゃんとした根拠や、自然な気持ちの流れがあって、安心して見守ることができました。
中心となるのは、由美子と翔の親子関係と、由美子と翔の恋人・珠緒との、価値観の違いからの対立。
なんだか面倒くさい三角関係です。
翔は、母親との温度差に苦慮する一方、少しずつ変わっていく恋人の心のありようにも戸惑う、という、かなりしんどい板挟み状態でした。
由美子と珠緒は、いつも熱気にあふれ、個性をぶつけ合うのですが、翔は、飄々としてマイペースな雰囲気を持つ人物だと私は思っていて、全体の中でもニュートラルな立場にあると感じていましたが、クライマックスでの言動から、それは違っていたと気づきました。
自分を客観的にとらえ、かつ、よく理解していて、社会の中でどう立ち回っていけばいいかが、ちゃんとわかっている。
人の心の変化に敏感で、それに応じた距離をとれることもできる。
ぼ~っとしているように見えて、自分の生き方を確立し、ある意味、生きる力にあふれる人物なのでは?
人として賢いなあ、と、私は思いました。
あっ…ほめすぎですね
それと、由美子の、幼少期の経験からくる、「上流でなく中流」という方向性は、やや滑稽ながらも、あの世代としてはリアルな姿なのではないかな、と。
世代的には、私はあまり強くは意識していないのですが、かつて「一億総中流(←表現が少し違うかも…すみません)」という意識が広く浸透した時代が、確かにありました。
そして、その真ん中で、上昇志向のあった彼女の心にも、それがしっかり反映されていたのかもしれません。
でも今は、人々の心には、ぜいたくは要らない、ただ生きている、生活できている、それだけで十分じゃないか、という意識が、より強くなっているように感じます。
実際私も、今の生活を守るのに必死だったりします。
なので、観ていて、由美子の言動には、若干の温度差を感じていました。
そんな、ちょっと微妙な空気の中、珠緒の真っ直ぐな思いと行動には、うらやましさでいっぱいになりました。
初めは、翔と結婚したいがために医大受験を決意したのが、徐々に、自分のために医大を目指そうと、めいっぱい努力するようになります。
そこには確かな、彼女なりの上昇志向があり、今のままで良い、という翔との間には、少しずつ距離ができていきました。
そのきっかけは、珠緒を過剰に意識した、由美子のささいな一言であり、それを後押ししたのは、切羽詰まった状況を打開しようとした、翔の機転と覚悟でした。
結果、二人にとっては、そのことで大きく心をかき乱されていくことになってしまいます。
なんとも皮肉な展開です。
その陰で、福原家でも、父・健治が左遷されたり、長女・可奈が、ねじれた上昇志向から思わぬ道を選んでしまったりと、およそ「中流志向」とはいえない状況に。
家族がバタバタする中で、いちばん冷静に現状を見つめ、ニュートラルな立場にいたのは、おそらく、健治。
披露宴での告白は、衝撃的ではありましたが、「よくぞ言ってくれた!」と、私は思いました。
由美子役の黒木瞳さん、珠緒役の美波さん、翔役の窪田正孝くん、それぞれ、素なのでは?と思うくらい、はまっていました。
窪田くん、やっぱり良かったなあ。
翔の、けだるい、世の中を斜め下から見ているような雰囲気は、本当にリアルで、彼にしか出せない、独特なものがありました。
受験へとひた走る珠緒を心配そうに見つめる表情と、仲違いしていた珠緒と和解したときの優しい言葉かけが、とても印象的です。
結局、いきがって上を目指すことのむなしさを、皆が実感するという流れになりましたが、これも、今だからこそできたドラマであり、まさに、時代を反映しているなあと思います。
結末には、少しびっくりしましたが、それまでの登場人物の心の変化に納得できていたので、個人的には満足しています。
なんだか、観ていてすっきり、爽快感がありました。
書きます。
格差社会を、「中流」にこだわる女性を中心に描いたドラマ。
林真理子さんの同名小説が原作だけあって、どのキャラも、最後までブレがなかったのが楽しかったです。
時の流れにつれて変わっていくもの、時が流れても変わらないもの。
それぞれに、ちゃんとした根拠や、自然な気持ちの流れがあって、安心して見守ることができました。
中心となるのは、由美子と翔の親子関係と、由美子と翔の恋人・珠緒との、価値観の違いからの対立。
なんだか面倒くさい三角関係です。
翔は、母親との温度差に苦慮する一方、少しずつ変わっていく恋人の心のありようにも戸惑う、という、かなりしんどい板挟み状態でした。
由美子と珠緒は、いつも熱気にあふれ、個性をぶつけ合うのですが、翔は、飄々としてマイペースな雰囲気を持つ人物だと私は思っていて、全体の中でもニュートラルな立場にあると感じていましたが、クライマックスでの言動から、それは違っていたと気づきました。
自分を客観的にとらえ、かつ、よく理解していて、社会の中でどう立ち回っていけばいいかが、ちゃんとわかっている。
人の心の変化に敏感で、それに応じた距離をとれることもできる。
ぼ~っとしているように見えて、自分の生き方を確立し、ある意味、生きる力にあふれる人物なのでは?
人として賢いなあ、と、私は思いました。
あっ…ほめすぎですね
それと、由美子の、幼少期の経験からくる、「上流でなく中流」という方向性は、やや滑稽ながらも、あの世代としてはリアルな姿なのではないかな、と。
世代的には、私はあまり強くは意識していないのですが、かつて「一億総中流(←表現が少し違うかも…すみません)」という意識が広く浸透した時代が、確かにありました。
そして、その真ん中で、上昇志向のあった彼女の心にも、それがしっかり反映されていたのかもしれません。
でも今は、人々の心には、ぜいたくは要らない、ただ生きている、生活できている、それだけで十分じゃないか、という意識が、より強くなっているように感じます。
実際私も、今の生活を守るのに必死だったりします。
なので、観ていて、由美子の言動には、若干の温度差を感じていました。
そんな、ちょっと微妙な空気の中、珠緒の真っ直ぐな思いと行動には、うらやましさでいっぱいになりました。
初めは、翔と結婚したいがために医大受験を決意したのが、徐々に、自分のために医大を目指そうと、めいっぱい努力するようになります。
そこには確かな、彼女なりの上昇志向があり、今のままで良い、という翔との間には、少しずつ距離ができていきました。
そのきっかけは、珠緒を過剰に意識した、由美子のささいな一言であり、それを後押ししたのは、切羽詰まった状況を打開しようとした、翔の機転と覚悟でした。
結果、二人にとっては、そのことで大きく心をかき乱されていくことになってしまいます。
なんとも皮肉な展開です。
その陰で、福原家でも、父・健治が左遷されたり、長女・可奈が、ねじれた上昇志向から思わぬ道を選んでしまったりと、およそ「中流志向」とはいえない状況に。
家族がバタバタする中で、いちばん冷静に現状を見つめ、ニュートラルな立場にいたのは、おそらく、健治。
披露宴での告白は、衝撃的ではありましたが、「よくぞ言ってくれた!」と、私は思いました。
由美子役の黒木瞳さん、珠緒役の美波さん、翔役の窪田正孝くん、それぞれ、素なのでは?と思うくらい、はまっていました。
窪田くん、やっぱり良かったなあ。
翔の、けだるい、世の中を斜め下から見ているような雰囲気は、本当にリアルで、彼にしか出せない、独特なものがありました。
受験へとひた走る珠緒を心配そうに見つめる表情と、仲違いしていた珠緒と和解したときの優しい言葉かけが、とても印象的です。
結局、いきがって上を目指すことのむなしさを、皆が実感するという流れになりましたが、これも、今だからこそできたドラマであり、まさに、時代を反映しているなあと思います。
結末には、少しびっくりしましたが、それまでの登場人物の心の変化に納得できていたので、個人的には満足しています。
なんだか、観ていてすっきり、爽快感がありました。