『すばらしきかな、人生！』
ジミー ホーキンズ/作 ダグラス・B. ジョーンズ/絵
片岡 しのぶ/訳
あすなろ書房 2006年
クリスマスの時期に読みたい絵本、その８です
今回ご紹介する絵本は、映画『素晴らしき哉、人生！』を
子どもの為に分かりやすく、絵本にされたものだそうです。
作者は、映画の中では子役のトミー役として出演されていた方。
映画では主人公は お父さんです。
この映画のすばらしさを
今の若い人にも伝えたいとの思いから
末っ子のトミーを主人公にして、この絵本を作ったとのことです。
そういった思いが込められているだけあって、
とても深いおはなしです
絵本ですが、かなり読み応えがあります。
小学生のお子さんの自力読みにも 良いと思いますが、
ぜひ、読んであげて欲しいなぁと 思います
ベイリーさんの家の末っ子のトミーが
もうずいぶんおそいのに帰ってきません。
お父さんとお母さんは、何かあったのではと心配し、
「あの子が無事にもどりますように」と祈っています。
祈りは天にとどきました
天使たちが相談し、天使のひとりクラレンスの推薦で
アーサーをつかわすことになりました。
見習いのアーサーは、
この任務をはたせたら、つばさが いただけるのです
もう家出するしかないと 思いつめている
トミーを助けに行く前に、
アーサーはトミーの 4歳の時の姿を見ます。
それは7年まえのクリスマス・パーティの最中。
トミーは、壁がへんに熱いことに気づきました。
そこで、大人たちのあいだをすりぬけて、
お父さんのところへいくと、そのことを伝えました。
そして、おまわりさんのバートを呼んで、
しらべてみてくれませんか、とたのみました。
「どうしたんでしょう？」とアーサー。
「今にわかる」とクラレンス。
「その前に、７歳のトミーを見よう」
ここは、ガウアーさんの経営するドラッグ・ストア。
奥さんを亡くされてから 寂しそう。
掃除のお手伝いをしているトミーが
よく店に現れる、ひとりぼっちの女の人に 話しかけました。
女の人は、デイヴィスさんといって、
ガウアーさんが優しそうな人なので
よく店を訪れていると話しました。
そこで、ガウアーさんにデイヴィスさんを 紹介しました。
クラレンスがアーサーに説明しました。
「トミーのおかげで ガウアー氏とデイヴィスさんは
この後 結婚したんだ。
今度は９歳の トミーを見よう。新聞配達をしているところだよ」
夏の暑い日、新聞配達の途中でトミーは カーターさんに
レモネードをご馳走になっていました。
ところが、突然カーターさんの具合が悪くなってしまいました。
急いでトミーは 道に出て 通りかかった車を呼びとめ
助けを求めました。
「わかりませんなぁ」アーサーは首をかしげました。
「トミーはいい子のようなのに、そんなに思いつめるなんていったい・・・」
「もうじきわかる」とクラレンス。
「いよいよ トミーは11歳、６年生だ。
ここのとこずっと、図書室の本を買うための 募金係をしていたんだよ」
封筒の中のお金を数えるトミー。
「すごい！80ドルも集まった！」
帰りかけたスーザンが教科書を落とし、
封筒を窓辺に置いて、拾うのを手伝いました。
その時、トミーがお父さんの会社の手伝いをする約束を
すっかり 忘れていたことを思い出し、
封筒を残したまま、あわてて行ってしまいました。
会社に着き、いとこのティリーに通販で買ったコインを
自慢する トミー。
そこへ、校長先生の元にお金が届いていないと
連絡があり、忘れたことに気付くトミー。
急いで学校に戻りますが、封筒は見当たりません。
トミーは村はずれにある橋まで 夢中で走りました。
どうしよう？あのお金、いったいどこに いっちゃったんだろう？
「どうか助けてください！」トミーはお祈りしました。
目を開けると そばに男の人が立っていました。
「やあ、トミー。私はアーサー。きみを助けに来た守護天使だよ。
君の声が聞こえたものでね」
天使のつばさが無いアーサーを疑う トミー。
「まだ見習いだからね。いただけるように、助けてくれるだろう？」
「助けてほしいのは、ぼくの方だ」とトミー。
天国にはお金が無いことを知ると、
家出しかないと 目に涙をためて嘆きます。
「明日になれば、みんなぼくなんて いない方がいいって思いますよ。
ああ、ぼく、生まれてこなきゃ よかった！」
アーサーはため息をつき、こそっとクラレンスに相談。
「わかりました、クラレンス。その手を使ってみます。
よし、トミー、きみの願いどおりにしてあげよう。
きみは 生まれてこなかったんだよ」
どーっと風が吹いて雪がやみました。
ここは、トミーが 生まれてこなかった世界というのです。
ポケットに手を入れると、大事なコインがありません。
自分の家に走るトミー。
すると、あったはずの家がありませんでした。
「７年前のクリスマスイブに 焼けてしまったんだ。
何せ、きみがいなかったから、壁が熱くなっているのを
お父さんは誰にも教えてもらえなかった」
とアーサー。
漏電によるものだったという。
トミーは頭が混乱しました。
「いったい、どういうこと？みんなはどこ？
そうだ、カーターさんに 聞いてみよう」
しかし、カーターさんの家には、知らない人が。
そして、カーターさんが 亡くなられたことを知ります。
とぼとぼと歩くトミーに、アーサーが辛抱強く教えました。
「わからないかい？きみが生まれてこなかったら、
あの日、カーターさんを助けてあげる人はいなかった。
人は誰でも 大勢の人に支えられて 生きている。
ひとりでも 欠けると、えらいことに なるんだよ」
トミーは聞こえない 振りをしました。
気持ちの悪くなったトミーは ガウアーさんに
薬をもらいに行くことに。
しかし、ガウアーさんは店をやめていました。
店の人は、ガウアーさんの再婚のことは知らず、
ガウアーさんは 奥さんが亡くなったあと
店をやめて 老人ホームに入ったと言います。
アーサーがまた言いました。
「トミー。きみは 生まれてこなかったから
ガウアーさんをデイヴィスさんに紹介することも
できなかった。
きみは大勢の人を助けてきたんだよ。
まだ子どもだけど、きみは かけがえのない存在なんだ。
そろそろ わかってもらいたいね」
そこへ、ベイリー一家がやってきました。
「パパ、ママ・・・」と駆け寄るトミー。
しかし、お母さんが優しく肩を押しもどしました。
「人違いのようだね」お父さんが言いました。
怖くなった トミーはアーサーを探しましたがいません。
さっきの橋まで 走りました。
「お願いです、守護天使のアーサーさん、元通りにしてください。
家出したいなんて、もう二度と思いません。約束します」
トミーは泣き出しました。
「どうか助けて！明日の朝、無くなったお金のことで
しかられてもかまわないよ。
何とかして、必ず返します。お願い、元通りにしてください」
すると、雪が降り出しました。
もしかして・・・・トミーはポケットに手を入れると
コインがありました！
トミーは全速力で家を目指しました
映画｢素晴らしき哉、人生！」の主人公はお父さんでした。
善人ですが、運が悪く、夢や希望が次々に打ち砕かれ、
絶望の淵に立たされてしまいます。
そして「自分なんか 生まれてこなきゃよかった」と思いつめ
12月の冷たい川に飛び込もうとした時、
クラレンスという名の 見習い天使に助けられ
「生きていることが どんなに素晴らしいか」を
教えてくれる、というストーリーだそうです。
私は観たことがないのですが、
アメリカでは クリスマスが近付くと
テレビでよく放映されているのだそうです。
絵本では、そのクラレンスが指導者になっているあたり、
映画ファンの方なら、とても嬉しくなる設定なのでしょう
多くの方に愛された物語を、子どもにぜひ伝えたい、
という 想いから
この絵本を作られたようですが、
私も、とても感動しました(´▽｀)
幸せとは
どこかに探しにいくものではなく、
すぐ側に・・・どころか、
すでに自分の手の中にあるのであって、
人は、そのことを忘れている、とのことです。
幸せになることは、
幸せであることを 思い出す作業なのですね
トミーも、家に走って帰ると、
今度は押し戻されることなく、迎え入れられます
どんなに嬉しいでしょうね
そして、お金もちゃあんと・・・・
ひとつの気付きがあると、
その後、パーッと光が差すように、
すべてが上手くまわりだした、という経験が多々あります
今の自分の周りで起きていることは
すべて必然であって、起こるべくして起こったこと。
目の前に現れたひとつの問題にさえ感謝し、
目を反らさずにクリアできたとき、
次へ進むべき道が パーッと現れるような気がします
感謝の心を忘れずに、
今を大切に過ごし、
見えないものを見る目を持つ。
ということを胸に、毎日在りたいと思っています
｢生きていることこそが素晴らしく、
そしてその人生の中で、人は大勢の人と
支えあいながら 生きていて、
人は 誰ひとりとして 欠けてはいけない
かけがえのない存在」
本当にそうですね
- すばらしきかな、人生!/ジミー ホーキンズ
- ￥1,260
- Amazon.co.jp
今日も最後まで読んでいただき
ありがとうございました
ランキングに参加しています
ぽちっ と していだだかないと
世界が変わっちゃうかも