不良番長 王手飛車(1970) | 日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

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日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

不良番長 王手飛車
1970年 東映
監督:内藤誠 主演:梅宮辰夫、谷隼人、菅原文太、渡辺文雄、山城新伍

シリーズ6作目。しょっぱなに結婚相談所まがいで女を集めて警察に捕まる。練鑑以外の刑務所生活はシリーズ初めて。そこから2年目というところから話は動くのだが、ある意味、当初の不良番長テーストを完全に変えようとした感じの一作である。いままでは端役だった由利徹に結構な出番があったり、コメディ路線を膨らましてエンターテインメント性をまして行く方向ということだろう。

梅宮とそのグループは女商売が手入れで捕まり、でてきても女を使っての仕事をしていた。そこに客できた由利徹がビジネスコンサルティングが儲かるといい、始める。これが大当たりで客である社長の安倍徹も大喜び。そこに、旧友の菅原が現れる。彼はヤクザからたのまれてマンションをたてる地上げをしていた。梅宮はそれを手伝うことになり、一番手ごわい印刷会社をあたる。そこの娘(榊原史子)は菅原に金をパクラレ金策に苦慮していた。榊原に心が動いた梅宮は金をなんとかしようとするが、仲間たちは逃げて行き、女を使って安倍から金を奪い取ることで印刷会社をもたせてしまう。しかし、今度は菅原と組んでいたヤクザ(渡辺文雄)が安倍を脅迫し、利権をつかむと、印刷会社の社員の山城に重傷を負わせ仕事を奪い取るのだった。梅宮はエロ本や学生運動の本を刷って金をつなぐが、渡辺がだまっているわけもない。結果、御殿場で渡辺たちを退治するために武装して集結、見事打ち負かすのだった。

今回も梅宮と谷だけが生き残る話。ラストに女子高生にムラムラする二人というオチはこのシリーズがコメディ路線になったことが明確な感じである。たぶん、東映のほかのシリアスなシリーズとの差別化というのもあったのだろう。そういう意味で、シリ-ズテーストの変更は成功しているようだ。

由利徹が学者と呼ばれる女子大の総長の役で、なまりながらも、なかなか梅宮に献身的で正義の味方的な役をやっているのが光る。なかなか貰い役なのだ。梅宮とのかけあいもなかなか自然なのが良い。

そして、シリアスなやくざ映画でも悪役をやっている渡辺だが、健さんの相手だとものたりないが、ここでは実に堂に入っている感じである。あくまでも格のちがいというやつなのだろう。渡辺も、ここでは自由に動いてる感もある。

ビジネスコンサルタントという職業がはやりだした時期なのだろう。ただの甘い軍隊みたいなことをやって社畜にする的なものだ。最近はこういう風景はすっかりなくなったなと思うのだが・・・。時代的には人間蒸発とか「アッと驚く為五郎」とかいうのがセリフに入ってくる。昭和元禄を抜けたところだ。そういうことで、新宿西口に高層ビルが立ち出す。京王プラザホテルが数階までできあがっている。この風景はかなり希少価値な風景だ。

マンションのための地上げ立ち退き騒動的な話はあまりおもしろくないが、印刷所を助けるためにエロ本を刷るというのはわかりやすい。今じゃそれをやっても印刷所はつぶれる運命だけれどもね。活字を拾っているシーンもあるし、時代である。

ヒロインの榊原史子という人はよくしらないが、梅宮の相手役としてはまじめすぎるのではないか?お色気シーンもないし、不良番長がただ女を助けるというのはちょっと頂けない気もする。

ラストのバトルは富士の裾野の御殿場。ケンカの場所で自衛隊が演習をしているという凄い設定であるが、ある意味、自衛隊をおちょくっているのだろう。こんなのとったら、今後は「国の秘密を撮りやがって」とかいわれるのかね?不良番長みたいな愚連隊がいなくなったら、この国は渡辺文雄みたいなヤクザ政治家がのさばるということだよね。

そういう意味では、この映画が作られた時代はいい時代なのだ。愚連隊万歳なのだから。今回の不良番長シリーズはここまで。

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