何処へ
1966年 東宝(製作:東宝、宝塚映画)
監督:佐伯幸三 主演:加山雄三、星由里子、池内淳子、東野英治郎
加山雄三の作品を続ける。石坂洋次郎の代表作の4度目の映画化である。この作品、同じ年に勝呂誉主演でテレビドラマにもなっていて、私的にはその印象が強い。そう、加山には田舎に赴任した教師としては垢ぬけている感じがするのが今一イメージにはあわない。昨日の作品に続き、加山がふられまくる話である。石坂の映画化作品としてはけして出来はいいとは思わないが、見どころは当時17歳で生徒役をやっている火野正平である。当時は本名の二瓶康一という名で出ている名子役といったところである。
加山は静岡から岐阜の中学に赴任してきた。前の学校で生徒を殴ってしまい、田舎にきたのだ。来る早々芸者の星につかまり、そのまま街に行くと、やはり芸者の池内の胃痙攣で大騒ぎ。飛んだ災難である。そして下宿先には出戻り娘(稲野和子)が色っぽくおでむかえ。みな、加山に興味があるらしい。次の日、学校に行くとやはり美人の教師(矢野潤子)にも目が行く。その叔父である体育教師(渥美清)は体罰はするべきだと、悪い生徒を平気で殴る。そして、学校は校長(東野)をよくおもわないグループとのつばぜり合いがあった。東野は池内にご執心であったが、当の池内はPTAの会長(田崎潤)にほれていたりする。そんな中、東野の書いたラブレターが反校派の手に渡り問題になる。東野は加山に取り戻せというが、田崎のさばきで和解になるのだった。そんな中、生徒(二瓶康一)の姉(沢井桂子)に相談をもちかけられ、柿をもらい、加山は惚れられたと思うが、実は、沢井には婚約者がいた。そして、稲野も再婚することになり、矢野も同僚の教師(久保明)にゆずることに・・・。結局は加山はみなにみむかれず、沢井の新婚旅行を見送った後、外にいた星とやるせない時間を過ごすのだった。
1966年というと、テレビの青春ドラマもはやっていて、同じようなものを加山で撮ろうという企画であったのではないか?この原作も石坂の学園ものの基本をなぞっていて、わかりやすく時代を越えて生かせる題材という事での映画化だと思われる。
原作は東北の話だが、ここでは岐阜の話になっている。冒頭、新幹線の岐阜羽島駅に着くと、周囲にはなにもない風景。今もたいしてかわらない駅前だが、当時は本当に何もなかったのが良くわかる。その景色が左遷されてきたという感じにシンクロするということで、この土地をえらんだのだろう。他に岐阜ということは特に描かれていないので、駅の様相を映画の舞台の様相にうまく重ねたというロケ地のようだ。
話の筋は、戦前の小説を戦後にうまく置き換えた感じだ。体罰については、戦前はこんな議論はしなかっただろう。その、体罰肯定の教師が渥美清で、なかなか意見が明確なよくいる雰囲気の先生を演じている。加山との共演というのは、なかなかめずらしいが、結構うまく交わっている。
星は若大将とは違い、加山を翻弄する役。最後に加山が星のおでこにキスするようなシーンもあり、いつものスミちゃんのイメージと違うものをうまく演じている。私的には、こういう、少しはじけた星のほうが好きではある。とはいえ、最後に、2人で外でゴーゴーを踊りだす感じは、今の人にはわからないだろうね。あくまでも1966年のテーストである。
その星のお姉さん芸者にあたる、池内淳子の演技がここでは光る。最初に胃痙攣で卒倒する役で印象付けると、あとは、学校の先生たちを翻弄する人気芸者という雰囲気を見事に出していて、「いい女優だ」とおもわせる。この当時、「女と味噌汁」なども含め、池内淳子を世の中にアピールした時代だったのだろう。
多くの女優が加山を囲む中、実際に一番加山が惚れた感じなのが沢井桂子である。「お嫁においで」と同じく、最後には加山とは結ばれないのだが、当時、加山の相手役というイメージで売りこもうとしたのだろう。でも、少し地味な感じなのが残らなかった理由でしょうが、東宝の女優さんらしい雰囲気の人である。
その弟役が先にも書いた、火野正平である。今、自転車に乗って、ちょっとガラガラ声で話す彼とは違うし、プレイボーイでならした頃の彼とも違う、いたってまじめな感じの芝居がちょっと笑える。と、この当時の昌平さん、今の濱田岳君に似た感じです。この人が半世紀後に自転車に乗ってかせいでるとはだれもおもわなかったでしょうな。
出演者がなかなかにぎやかな一篇ですが、作品の出来は50点位のもの。加山雄三の先生ものとして珍しく見ていただければいいのではないでしょうか?
何処へ [VHS]/加山雄三,星由里子,渥美清
