でんきくらげ(1970) | 日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

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日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

でんきくらげ
1970年 大映
監督:増村保造 主演:渥美マリ、川津祐介、根岸明美、西村晃

軟体動物シリーズ第三弾は、増村演出に変わる。そして渥美は、あたりまえのように、はっきりとセリフをいう芝居になっている。まあ、内容は前二作とさほど変わらないのだが、増村が描く渥美マリは、ちょっと凄みがあり怖い感じになる。だが、増村作品としては、駄作の部類に入る。画的にもこった構図もないし、別におもしろい演出もない。セリフまわしや、格式ばった芝居が増村的なだけの作品である。

渥美は水商売の母(根岸)とその男(玉川良一)と一緒に住んでいた。ある日、玉川は渥美をポーカーに誘う。渥美はまじめだが、博打だけは好きだった。だが、その際に玉川は渥美を犯し処女を奪う。それを知った根岸は玉川を刺し殺してしまう。根岸は刑務所に入り、残された渥美は根岸の店のマダム(中原早苗)に誘われ夜の世界に。彼女はすぐに人気がでる。そんな渥美に眼をつけたやくざがいたが、それを救ったのは弁護士くずれのスカウトマン(川津)だった。川津は渥美を自分の女(真山知子)の店に入れる。店の客(永井智雄)が渥美を夜にさそうと、ポーカーに勝ったら抱かせるという。そして、その噂を聴いて渥美と勝負する客が続出。他の女たちは渥美をせめる。渥美は店でやるのをやめてホテルでポ-カーをやる。そこに警察が入る。刺したのは真山だった。そして川津の上司(西村)が彼女を自分の妾にしたいといい、それを受け入れる川津、そして渥美だった。渥美は川津が好きだった。西村を喜ばす渥美だったが、ある日、西村が風呂で死ぬ。遺産の権利は渥美にはなかったが、遺族の悲しい争いをみて、渥美はどうにかならないかと川津に相談。子どもがいれば、遺産はすべてその子のものだと聴き、渥美は川津に「私を妊娠させて」という。そして、思い通りに遺産は渥美の元に。川津は渥美に結婚を申し込む。だが、渥美は子供をおろし、川津を捨て、我が道を歩き出すのだった。

このシリーズ、結果的には、男を喰い尽くす女が、くらげやいそぎんちゃくみたいな、なにか浮遊感とエグさ、したたかさを持っているというシリーズである。それはそのまま渥美のイメージになる。結果的には、それが彼女の女優生命をそれだけにしたのだろう。この映画も前二作と役柄の相違は感じない。

ただ、ここで、大映の巨匠、増村保造の登場で、いままでのセリフの少ない暗い渥美が、憎まれ口をはっきりいう女に変貌してしまう。より、大映の女優らしい感じになったが、それが作品を良くしている感じでもない。まあ、したたかな女を強調するには、増村演出は利いているが、過去のそれにくらべて、どうも一本筋が通っていない感じの作品である。

陰鬱な彼女が最初に抱かれるのは玉川良一というのも、なんか今観るとよくわからないが、その玉川とやるポーカーで使うカードはヌードが書いてあるもの。昔、よく日本人が海外から持ち帰ったりしていたものだ。そう、日本人は世界のエログッズをおみやげにして喜んでいた国民だったのだ。この映画は万博の年の映画である。これ以降、日本人の海外旅行も変わって行ったという感じなのだろう。

それにしても、渥美の相手は川津以外は、ジジイばかり。ということは、あまり若い男のファンはいなかったということなのだろうか?まあ、舞台がクラブだったりするからということもあるが、渡辺淳一だって、じじいとの恋の裏に、その女を狙う若い男がいたりするよね?渥美と西村や永井の濡れ場を見ても、今一興奮はしない感じだ。

渥美は裸のシーンが多い割には、胸を一生懸命隠そうとする。この時代になるとテレビの11PMなどでもおっぱいが飛びだす時期だが、映倫への配慮か?渥美自身の防衛策なのか?よくわからないが、隠そうとするほど、エロく感じるものである。

最後は、遺産相続話で、無理やり子供を作るような、むりな話で終わる。まあ、ここでも、「身体はいい」という以外はよくわからない役である。大映晩期の増村も、今一、キレがない中、渥美に対しての思いもあまり感じられない演出という感じの一篇だ。



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