南太平洋の若大将
1967年 東宝
監督:古澤憲吾 主演:加山雄三、星由里子、田中邦衛、前田美波里
シリーズ10作目は東宝35周年記念映画で1時間46分の長尺。ハワイ、タヒチロケで水泳とかのスポーツをフューチャーしたものかと思うと、メインは柔道という不思議な映画である。加山が最後に東京オリンピックの仇をうつ的な展開。そして、加山のかよう大学が、この映画だけ「日本水産大学」となっている。まあ、シリーズのマンネリを防ぐという意味もあったのだろうが、今一しっくりこない。前田美波里が前作「レッツゴー!若大将」の加山の同級生役からハワイからきた加山に近づく星のライバルに格上げ、そのダイナミックな肢体をいかしてめだっている。
加山は水産大学の演習航海でハワイ沖にいた。最後の夜、上陸許可があり、田中と江原達怡とともに日本料理店に。そこで男にからまれるスチュワーデスの星を田中が助けようと喧嘩が始まる。加山も柔道の腕をいかして応戦、店は大混乱。星が正当防衛を話してくれて落着。日本に帰ると、新入部員勧誘で大忙し。そしてたまたま星と再会し、田中のレスリング部のパーティーに誘う。加山の柔道部は女子部員をいれたおかげで新入部員獲得。そんな中、田中は星にぞっこんで、彼女の乗る飛行機をおっかける始末。加山のところにはハワイから喧嘩をした料理店の女将とその父(左朴全)、そして娘(前田)がやってきて接待。前田は加山をすっかり気にいる。そして、こんどはハワイですき焼きをやりたいということで、父(有島一郎)の抵抗もかなわず加山がコックでいくことに。飛行機には何故か田中がいて、星も搭乗していた。加山は前田とハワイをエンジョイするが、そこにラスベガスで金をなくした田中がくる。田中は星にアタックするが、星は断るために田中にタヒチで暮らすと嘘の手紙を渡す。これで、話がこじれるのだ。田中は加山をつれてタヒチへ。タヒチには後から前田もきてバカンスを楽しむが、加山が潜水病で倒れる。加山が星の名前を呼ぶのをきき前田はあきらめる。東京では、加山を大学柔道選手権がまっていた。好敵手は東亜大学に留学しているヘーシングの弟子のヘイスティング。そんな中、星は加山が前田と結婚すると勘違いして彼女におめでとうをいいにいくと、タヒチでの件をきくのだった。星は日本に急きょ戻り、武道館に駆け付ける。そこではヘイスティングをやぶる加山がいた。
前作もそうだが、親たちとの喧嘩の話は少なめに、若者たちの中の話が中心に話はすすむ。このあたりは、大学が変化し、家族のありかたも変化しだしたのを表しているのかもしれない。そして、田中の星への恋心は、乱暴だが、なかなか昔よりも切実になっている。強姦などしないし、なかなか紳士的なのは田中のイメージをかえる感じだったのか・・?それでも、星はまったく相手にはしないが・・・。
この映画でのみどころは、ハワイとタヒチでのバカンスの映像だろう。「ハワイの若大将」ではちょっとものたりなかった部分が、ここでは解消出来る感じだ。この映画もパンアメリカンの協賛で、おもいっきり観光映画になっている。これを見て、無理していった若者も多かったのだろうと思う。たぶん、このシリーズにはそういう影響力があったはずだ。そして、そこに流れる加山の歌はたまらなく格好よくきこえる。この作品では大きなヒット曲こそ歌っていないが、映画の音楽を弾厚作として担当もしている。
そして、この映画では星よりも前田の水着姿がめだっている。日本人離れした健康的な肢体は、まさに時代が変わったという感じだったのだろう。みていて気持ち良い。タヒチで鮫に襲われる潜水シーンがでてくるが、これもノースタントであるようだ。とにかく、若者の好奇心はこの映画で膨らんだ感じなのだろう。
話としては、いつも通りの星の勘違いから、脱線していくというルーティーンである。今回のメインスポーツは柔道。加山は「姿三四郎」も演じてはいるが、この競技も今一似合わない気がする。まあ、最後の試合はヘーシングの弟子との試合でオリンピックの仇をとる話だからそれなりに盛り上がる感じではあるが・・。そして、本当に日本武道館でロケをしている。アナウンサーはTBSの渡辺謙太郎氏だったりして、なかなか贅沢な柔道シーンだ。
また、「日本水産大学」はどこだがわからないが、併設していることになっている水族館は江の島である。ちょっと薄汚れたステージのイルカショーはなにかなつかしい風景だ。そして、加山が、クジラ捕りになるとかいうのも時代だろう。まだ、給食にクジラがよく食された時代の映画である。
このころになると、若大将は、それなりに金をかけられ協賛もつくということで海外ロケ中心のものになっていくが、時代の右肩上がりもその裏にはある。柔道部に女子が入ったりするのもそんな中の出来事である。そして、若者の遊びの感覚も、すぐに喧嘩になるようなものではなく、スマートさが必用になって来たのがよくわかる。とはいえ、最初のハワイの喧嘩は昔通りではあるが・・。
とはいえ、安定期の若大将の一篇である。見ると、海に行きたくなるのは、今のシーズンにぴったりです。
南太平洋の若大将 [DVD]/加山雄三,星由里子,前田美波里
