あばよダチ公(1974) | 日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

あばよダチ公
1974年 日活
監督:澤田幸弘 主演:松田優作、大門正明、河原崎健三、佐藤蛾次郎

ロマンポルノ量産時に撮られた、日活青春路線の一篇。「太陽にほえろ」でネームバリュ-ができた優作でヒットを狙ったのだろうが、話としてあまりおもしろくなく高揚感のない映画だ。日活ニューアクションの監督である澤田幸弘の元、もう少し格好いい映画にしてほしかったというところ。そして、主役の4人の男の中で優作自体が目立っていないのも映画がはじけない理由だろう。彼のとっぽい感じの危うさが前面に出るのはまだまだ後年のことである。

三年ぶりに故郷に帰って来た松田は、昔の友人たち、大門、河原崎、佐藤にあい、豪遊。しかし、入った店で法外な支払いをいわれ、払う気もなく喧嘩に。そして、警察。釈放されるも、方向性のない欲望だけで何をやっていいのかわからない4人。そこに大門の知り合いの女(加藤小夜子)がやってくる。彼女の父親(山本麟一)がダム建設反対で家に居座っているというのだ。目的は金のつりあげなのだが、それを聴いた4人は合法的にその金が獲れないかと考える。そして松田が加藤の婿に入り、山本の替わりに座りこむことにする。と、話はとんとんと進み、4人はバリケードをはることに。だが、建設会社の社長(郷えい治)は役所とくんでいて、早くどけろといわれる。4人の中で松田だけが加藤とSEXし、他の3人は干上がる。そんな中、外で青姦するものがいたり、街で買ってきた女からラブレターがきたり不思議なことがおこる。ラブレターにつれられ佐藤がいくとつかまってしまう。場所を明け渡せば佐藤を渡すというのだ。そんな中に乗り込みとりあえず佐藤を助け、金をあきらめる4人だったが、このまま終わっていいかと引きかえす。郷たちをしばりつけ金を持って逃げようとするが警察に囲まれ危機一髪。彼らは金が燃えてしまうとみて腹の中に入れろとばかりに札を喰いだす。だが、鉄の塊をぶつけられそれにつかまり外に。腹に札を入れてどこへともなく逃げる4人だった。

バカなチンピラの話だが、泣けるとか同情するとかいうところがまったくない話だ。だから、松田優作もただの頭の悪い背の高い兄ちゃん以外の何物でもない。そして、結果的には「あばよダチ公」などというところもなく、バカな4人はつるんだまま。最後に金を手にするために札を喰うという発想はただのバカということなのだろうが、面白くはない。こういうバカの話には痛快感がないといけないのだが、ネジがゆるんだままエンドマークとなる作品だ。

そして、汚い男がヤギとやろうとしたり、SEXが頭の中を走ってる話で、特に佐藤蛾次郎はその象徴のような役なのだが、あまりにも女優陣が弱い。松田と結婚することになる加藤にしても顔自体が印象に残らず、体も貧相で色気を感じない。そしてロマンポルノを撮っていた会社にも関わらず裸要因もきれいどころはいないという感じなのはいただけない。丘奈保美でみんながイイ女だというレベルだ・・。いろいろと製作に規制はあったのだろうが、そういう道具がしっかりしていないと映画ははずまないものである。

そして、最初の舞台は浦安。まだ、ここの近くにディズニーランドができるなど誰も想像していない浦安駅前はひなびた街であり、まあそういうテーストの中で4人が溶け込んでしまっているのも映画をさえなくしているといっていいだろう。

松田優作という人は、根本的にはまじめな俳優だったのだ。「太陽にほえろ」をみればわかるが、そんなに悪ふざけな怪優ではなかった。ここでも、チンピラ自体が似合わない。たぶん、当時は刑事の方が似合っていたのだ。今観ると、そんな彼が無理している感じがするのも観ていてつらい。

とにかく、脚本がおもしろくないのだ。そして、4人の男を主人公にしながら佐藤以外はキャラがあまりはっきりしていないのも観ていて凡庸な理由であろう。この映画も松田優作の主演作という事でDVDにはなっているが、旧日活の青春映画と比較してもパワーは落ちる。

ラスト近くの警察が鉄塊で建物を壊すシーンはあさま山荘事件がヒントであろう。そういう、思想的なものがあればまた違った話になってはいたのだろうが、相手役の郷も小粒だし、日活がロマンポルノ路線に変わって3年目、

アクション映画のとれない 、もう違う会社になっていたという事なのだろうと思う。


あばよダチ公 [DVD]/松田優作,大門正明,河原崎建三
¥3,990
Amazon.co.jp